「NISA」について消費者意識調査 

2013年08月29日
野村総合研究所(NRI)は、2014年1月から始まる少額投資非課税制度「NISA」について、2013年7月時点で消費者の認知や利用意識を尋ねるアンケート調査を実施。

NISAの認知度や利用したいと考えている人の割合は、2月時点の同じテーマの調査に比べて高まっており、政府が目標とする投資総額の25兆円を5年以内に達成する可能性のあることが分かりました。

【主な調査結果】

■ NISAの内容まで知っている人は、5カ月間で倍以上に増加
 NRIでは、NISAの導入が閣議決定された直後の2013年2月にも、「NISAに関する意識調査」を実施した。その結果によれば、NISAについて「聞いたことがあり、内容も知っている」人は5%、「聞いたことはあるが、内容は知らない」人は18%でした。7月の調査では、それぞれ13%、25%となり、5カ月の間に認知度が大きく向上しました。
 情報源としては、「ラジオやテレビ」(43%、複数回答)の割合が最も高くなっています。また、前回の調査よりも「金融機関の窓口や営業担当者」を情報源として挙げる人が多く、「証券会社」については前回の7%から13%、「銀行」については前回の4%から11%へと大幅に増えており、各金融機関がNISA口座獲得に向けて、積極的に営業を展開していることがうかがえます。

■ NISA口座の投資総額は、政府の目標を早期に上回る可能性
 NISAを「利用したい」(10%)、「どちらかと言えば利用したい」(22%)と回答した人の割合を基にすると、利用者数は950万人から3,100万人の範囲と推計されます。また、5年間のNISA口座への投資額の平均値は220万円(「利用したい」人の平均値は295万円)と推計されました。これらの値をかけあわせると、5年後の投資総額は、28兆円から68兆円の間と考えられます。政府は7年間で利用者数が1,500万人、投資総額を25兆円とすることを目標としていますので、投資総額の目標は5年以内に達成できると推定されます。

■ NISA口座を開設する人は、年内に最大で約970万人
 NISA口座の正式な受付は、本年10月1日から開始されます。また、実際にNISA口座を利用した資産運用の開始は2014年1月からです。アンケート結果によると調査を実施した7月時点で、既にNISA口座の開設を金融機関に申し込んだ人は200~240万人と推計されます。また、9月末までに口座開設を予定している人を含めると520~620万人になると推計されます。さらに、年内に開設を予定している人を含めた合計は、780~970万人と推計されます。

■ 口座獲得は証券会社がリード。銀行は年末にかけて増加予定
 7月時点でNISA口座を既に申し込んだ人の約50%が、店舗でお客さまと対面してサービスを提供する「一般の証券会社」(ネット専業証券会社以外の証券会社)を選択しています。一方で、「一般の銀行」を選択した人は約26%にとどまっています。現在株式に投資している人は、それ以外の人に比べ、NISAに関心が高く、早めに口座開設手続きを進めており、これが証券会社の集客が比較的先行している一因になっているようです。しかし、「一般の銀行」で口座を開設したいと考えている人は、「一般の証券会社」よりも多く、今後、銀行の口座獲得数が伸びると予想されます。

■ NISA口座での運用資金の原資は主に預貯金
 NISAを「利用したい」、「どちらかと言えば、利用したい」人を対象に、NISA口座での運用資金の原資を聞いたところ、最も多かったのが「預貯金」で65%(複数回答)でした。若年層ほどその傾向は顕著であり、20代男性は74%、20代女性は90%となっています。保有している投資商品を売却・解約した資金を原資に挙げる人は、「預貯金」の半分にも満たず、「保有している株式を売却した資金」(23%)、「保有している投資信託を解約した資金」(18%)という結果となっています。これらを挙げる人の比率は高齢になるほど高くなり、70代男性ではそれぞれ50%、26%となっています。

■ 制度改善で、利用率は10%向上する可能性
 NISAを「利用したい」、「どちらかと言えば、利用したい」人を対象に、NISAについての改善要望を聞いたところ、「条件が多くて分かりにくい点」が最も多く、45%にのぼっています(複数回答)。2番目は「買換ができない点」21%、3番目は「金融機関の変更ができない点」20%、さらにそれに続くのが「住民票の提出」16%でした。
 一方、「利用意向がない」人に対して、制度が改善された場合に「利用したい」かどうかを確認したところ、「住民票の提出が不要」もしくは「制度の恒久化」が実施されれば「利用したい」及び「どちらかと言えば、利用したい」人の比率が10%高まるという結果が得られました。また「金融機関の変更が可能」や「投資対象に公社債が含まれる」が実施されれば、同比率は7%ほど増えるという結果になりました。

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[野村総合研究所]
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