ユーザー企業のIT活用実態調査(2013年) 

2014年02月28日
野村総合研究所(NRI)は、日本企業におけるIT(情報技術およびそれを利用したシステム)活用の実態を把握するためのアンケート調査を2013年12月に行いました。この調査は、2013年12月に行い、2003年から毎年行っているものです。全業種にわたる599社の大手企業から回答を得ました。

ITが果たす役割によって、企業を4つのタイプに分けて分析すると、「ITが競争優位につながるコア技術」と考える企業ほど、事業創造や変革へのIT活用と、IT分野での新技術活用に積極的であることがわかりました。

調査では、企業でITが果たす役割によって、「ITが競争優位につながるコア技術でありかつ基幹設備であると考える企業(コア・基幹)」「コア技術であるが基幹設備ではない企業(コア・非基幹)」「コア技術ではないが基幹設備である企業(非コア・基幹)」「コア技術でも基幹設備でもない企業(非コア・非基幹)」(それぞれが当てはまる企業の割合は、33.7%、19.9%、37.9%、7.5%)の4つのタイプに分けて分析しました。

「コア技術」:本業を変革または強化する上で、ITが中核となる技術である場合
「基幹設備」:ITが建物、機械、土地、人員と同じように商品やサービスなどを生み出す本業の主要な生産手段となっている場合

【調査結果】

日本企業全体のIT投資は、横ばいから微減へ。
ITがコア技術の企業では増額する企業も


日本企業全体のIT投資を2007年度から比較すると、2008年度の金融危機(リーマンショック)で低下して以降、2009年度から2012年度まで増額する企業が増え、緩やかに回復基調でした。その後は横ばいで、2014年度についての予想では、「減らす」と回答する企業の割合が15.6%から18.0%へとわずかに増加しています。
タイプ別では、“コア・基幹”で2014年度のIT投資を増額すると回答した企業が40%と他のグループに比較してやや多いものの、増額率は2013年度よりも下がっており、減額する企業も増えています。他のタイプでは、“コア・基幹”よりも増額する企業は少なく、しかも増額する企業の割合が2013年度よりやや減っていました。

ITをコア技術とする企業は、ビジネスの変革のための投資の比重が大

IT投資の総額が増えない中で、投資配分の適正化に向けて既存システムにかかる費用の削減が行われています。いずれの企業でも、「IT基盤の見直し」「業務機能の棚卸」、「過剰なサービスレベルの見直し」「アウトソーシングの活用」「業務アプリケーションパッケージの活用」による費用の削減が行われ、IT投資配分の適正化の内容は、タイプによって大きな違いはありませんでした。ただし、ITがコア技術である企業のほうがより適正化の努力をしていることが伺えます。
その結果、年間のIT費用をRUN(ビジネスの維持)とCHANGE(ビジネスの変革)に分けた比率を見ると、“コア・基幹”“コア・非基幹”はRUNが67%、“非コア・基幹”“非コア・非基幹”は75%で、ITがコア技術である企業の方がビジネスの維持のための費用を削減し、変革のための投資にお金を回していることがわかりました。

「事業創造」「変革」「新技術活用」のいずれもITをコア技術とする企業が積極的

「IT人材」「CIO」「経営者の参画」のいずれも“コア・基幹”が充実


【調査概要】
調査名:「ユーザー企業のIT活用実態調査 2013年」
調査目的:日本企業のIT活用とITマネジメントの実施状況に関する定点観測
調査時期:2013年12月
調査方法:調査票を郵送し郵便にて回収
調査対象:日本の売上高上位企業3,000社の情報システム担当役員、情報システム部門長宛てに送付有効回答数:599社(回収率20%)

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[野村総合研究所]
 マイページ TOP