2014年版 税務環境調査(アジア太平洋地域) 

2014年04月17日
デロイトは、「2014年版 アジア太平洋地域における税務の複雑性に関する報告書(2014 Asia Pacific Tax Complexity Survey Report)」を発表した。

本報告は、アジア太平洋地域の20の国および地域の800人を超える金融・税務の専門家に対して行われたアンケート調査の結果を取りまとめたものである。調査結果は企業のベンチマークとして、また、経営方針の決定のためのガイドラインとしての活用が期待される。

今回2014年の調査では、企業がアジア太平洋地域への投資の意思決定にあたり税政策の一貫性をより重視するようになっていることが浮き彫りとなった。前回2010年の調査結果では多くの企業が当該地域への参入または撤退の決定に際して、税制の複雑性および予測可能性を重視していたことから変化が見られた。世界金融危機の影響により歳入の減少を経験した各国がその確保のために積極的に課税ベースの拡大を行ってきたこと、加えて新興国や新しいビジネスモデルの出現もかつてないほどの圧力となって税政策に影響した結果が今回の調査に表れたと考えられる。

【調査の主要な結果】

・税政策の一貫性-アジア太平洋地域への投資決定において税制は重要な検討事項だが、回答者の多くは、その税政策の一貫性が課税の予測可能性または税制の複雑性より重要であると考えている。85%の回答者は、アジア太平洋地域への投資を検討する際、税政策の重要度は高いと回答している。したがって、各国の税政策の継続性・一貫性の動向については慎重に検討すべきである。

・80%を超える回答者が、2017年までに最も分かり難い税制になっている国として回答したのはインド、中国(本土)およびインドネシアである。香港およびシンガポールの税制は最も分かり易くなると考えられている。

・租税分担(tax sharing)に関して現在進められている、税務に関するグローバルな取組み(OECDの「税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting(「BEPS」)プロジェクト)については大変関心が高く、アジア太平洋地域にさらなる複雑性、混乱および変化をもたらすであろうとする回答も見られた。

・回答者は、税務上の問題が自社の業務や広範な社会に与える影響を非常に重視している。50%を超える回答者が、現在、取締役および経営幹部が税務問題に関与していると回答し、積極的な税務プランニングの検討に際して風評リスクを考慮するという回答も多かった。この風評リスクについては日本・インド・インドネシアが最も敏感であり、反対に香港・中国・マレーシアでビジネスを行う回答者は懸念する割合は相対的に低い傾向にあった。

・アジア太平洋地域の経済成長により、税務当局は、最新の関連法制の把握および税務調査官の養成等、前例のない課題に直面している。調査官の育成および税務調査の迅速な実施は税務当局にとっての優先課題である。

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[トーマツ]
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