父親の子育てに関する調査 

2014年04月18日
第一生命保険のシンクタンク、第一生命経済研究所は、「父親の子育てに関する調査」を実施。1都3県に居住し、小学生以下の子どもを持つ男性 694 名とその妻のうち協力を受諾した女性 490 名を対象に、標記についてのアンケート調査を実施。

【調査結果のポイント】

父親の子育て行動の状況
● 全体的に「時々している(した)」という回答が多い
● 最も多いのは「入浴介助」で、以下「遊び」「排泄介助」と続く

父親における子ども関連のイベント参加状況
● 父親が積極的に参加するのは運動会のようなスポーツ系イベント
● PTA 活動や役員活動には過半数が「行く必要がなかった」と回答

配偶者の子育てに対する満足度
● 母親の子育てに満足している父親は8割強
● 父親の子育てに満足している母親は6割強

子育てストレスの有無
● 父親の半数弱が子育てストレスあり、「かなり感じている」人は 6.8%
● 母親の約 75%が子育てストレスあり、「かなり感じている」人は2割弱

子どもの状態の把握状況
● 子どもの状態は全体的に父親より母親の方が把握している
● 特に父親に把握されにくいのは「情緒面の発育や悩み事・心配事」

父母の生活満足度
● 子どもに関する満足度は父母で大きな差はない
● 父親における「友人関係」の満足度は母親に比べてかなり低い

【調査結果】

父親の子育て行動の状況
全体的に「時々している(した)」という回答が多い
最も多いのは「入浴介助」で、以下「遊び」「排泄介助」と続く

現代の父親は具体的にどのような行動でどの程度子育て(長子に対して)に関与しているのか(したのか)、家庭における様々なシーンごとに、「非常によくしている(した)」と「時々している(した)」と回答した割合を示しました。

まず、授乳や食事の介助についてみると、「日中の授乳補助」については全体で 50.0%が実施しているものの、「非常によくしている(した)」とする割合は 14.5%です。一方、「夜中の授乳補助」になるとその割合は両者の合計で 42.5%に下がります。「子どもの食事の介助」については 54.4%が実施しているものの、「非常によくしている(した)」の割合は 16.2%となっていました。
排泄介助についてみると、「子どものオムツがえ」については、排尿時・排便時ともに「非常によくしている(した)」は 19.9%で、「時々している(した)」との合計値でそれぞれ57.8%、55.5%となりました。「子どものトイレ介助」についてもほぼ同程度の関与がみられます。
「一人で入浴できない子どもの入浴介助」については調査項目の中で最も関与の度合いが高く、「非常によくしている(した)」で3割を超え、「時々している(した)」を加えると 67.3%でした。着替えの介助については合計で 58.2%ですが、「非常によくしている(した)」とする割合は 16.1%にとどまっていました。
「子どもの寝かしつけ」についても、合計では 48.4%を占めますが、「非常によくしている(した)」については 17.0%です。夜泣きや排泄といった就寝中の対応についてはその割合は大きく下がり、主に母親にゆだねられている様子がわかります。

身の回りのケアや検診等の対応については、特に父親が担っている割合が低く、これらも母親主導で対応されていることがうかがえました。
遊びや学習についてみると、「子どもと遊ぶ」は、「非常によくしている(した)」と「時々している(した)」の合計で入浴介助に続いて多いですが、ここでも多くを占めたのは「時々している(した)」であり、「非常によくしている(した)」は2割に満たないのが実情です。
「絵本を読み聞かせる」や「勉強を教える」「スポーツを教えたり練習相手をする」「音楽や美術など芸術について教える」などの学習支援については全体的によく実施されているとはいえませんでした。
これらの結果から、「非常によくしている(した)」と「時々している(した)」の合計でみると父親が子育てに関与していると解釈できなくはありませんが、実際には「時々している(した)」との回答が多いことが指摘できます。

父親における子ども関連のイベント参加状況
父親が積極的に参加するのは運動会のようなスポーツ系イベント
PTA活動や役員活動には過半数が「行く必要がなかった」と回答

子ども関連のイベントへの父親の参加状況についてみると、妊婦検診については「自分が行きたいので行った」とする割合が 47.9%となっており、「行きたくないが行かざるをえなかった」(12.0%)とする人を加えるとほぼ6割が同行した経験を持っています。

一方、出産の立会いについては自らの意思で同行した男性は 61.8%、「行きたくないが行かざるを得なかった」とする人が 9.2%で、7割以上が立会ったとの回答を得ました。幼稚園・保育園の入園式・卒園式、小学校の入学式についてはいずれも8割の男性が自らの意思で参加していました。自発的参加の割合が最も高かったのが「運動会のようなスポーツ系イベント」であり、85.5%が「自分が行きたいので行った」と回答しています。また、保護者会への参加経験は2割程度でした。PTA 活動や役員活動への参加経験は 9.0%にとどまり、「行く必要がなかった」と回答した人が過半数を占めています。

配偶者の子育てに対する満足度
母親の子育てに満足している父親は8割強
父親の子育てに満足している母親は6割強

「あなたは奥様(旦那様)の子育て状況についてどの程度満足していますか」と尋ねた結果についてみると、父親は母親の子育て状況について 22.3%が「かなり満足している」と回答しており、これに「ある程度満足している」の 59.4%を加えると 81.7%が「満足している」と回答していました(図表3)。一方で母親からみた父親の子育て状況について「かなり満足している」とする人は 9.4%にとどまっており、「ある程度満足している」の 53.5%を加えても、62.9%という結果となっています。母親の4割弱は父親の子育て状況に満足しておらず、お互いの子育て状況に関する満足度には約 20 ポイントの差があることがわかりました。

子育てストレスの有無
父親の半数弱が子育てストレスあり、「かなり感じている」人は 6.8%
母親の約 75%が子育てストレスあり、「かなり感じている」人は2割弱

ストレスについてみると、父親全体では「かなり感じている」(6.8%)と「ある程度感じている」(40.9%)の合計で 47.7%がストレスを感じていると回答しました。
一方で母親全体をみると、「かなり感じている」が 18.4%、「ある程度感じている」が 56.3%となっており、74.7%が感じていると答えています。父母ペアでのストレスの有無についてみると、「父母ともにストレスあり」とするペアが43.5%で最も多く、これに「父ストレスなし 母ストレスあり」が 31.2%で続きました。

子どもの状態の把握状況
子どもの状態は全体的に父親より母親の方が把握している
特に父親に把握されにくいのは「情緒面の発育や悩み事・心配事」

子ども(長子)の状態の把握状況についてみると、まず、「身体の発育や健康状態」について「よく把握している」と回答したのは、父親で 23.3%、母親で 73.5%でした。
また、「性格・性質」については父親で 32.4%、母親で 72.4%が「よく把握している」と回答しています。「情緒面の発育や悩み事・心配事」について「よく把握している」のは、父親で 18.3%と低いのに対し、母親では 63.5%となっていました。「思考力や学力・成績」については父親で 20.6%、母親で 64.1%が「よく把握している」と回答しています。
全体的にみて、父親より母親の方が子どもの状態を把握していると考えていることがわかる結果となっています。

父母の生活満足度
子どもに関する満足度は父母で大きな差はない
父親における「友人関係」の満足度は母親に比べてかなり低い

生活満足度についてみると、まず「子どもとの関係」については父親・母親ともに8割を超えていました。同じく「子どもの成長度合いや能力」「家庭生活」については共に4人中3人程度となっています。ただし「家庭生活」については「非常に満足している」の割合が父親で 19.3%なのに対し、母親では 13.9%とやや低くなっていました。同様に「妻/夫との関係」についても父親では 20.2%が「非常に満足」と回答していますが、母親は 14.1%にとどまっています。父母の差が最も大きかったのが「友人関係」で、「非常に満足している」と「どちらかといえば満足している」の合計値が、父親で 53.5%、母親で 72.9%と、その差は 19.4 ポイントに及んでいました。


【調査概要】
・調査地域と対象:1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に在住で、長子が小学生以下の子どもを持つ男性と、その妻のうち協力を受諾した女性
・サンプル:インターネット調査会社である株式会社クロス・マーケティング社のモニター(男性 694 名/女性 490 名)
・調査方法:インターネット調査(株式会社クロス・マーケティング社に委託)
・実施時期:2013 年 10 月

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