四大都市別「高齢者の幸福度」調査 

2014年03月27日
オウチーノ総研は、東京都、大阪府、愛知県、福岡県に住む 60 歳以上の男女 1,108 名に「『幸福』に関するアンケート調査」を行った。なお今回の調査においては東京都全域を「東京都市圏」、大阪府全域を「大阪都市圏」、愛知県全域を「名古屋都市圏」、福岡県全域を「福岡都市圏」と定義し、それぞれ「東京」「大阪」「名古屋」「福岡」と記載する。

本調査で、「あなたは今、幸せですか?」と聞いたところ、「幸せ」と答えたのは、東京95.7%、大阪89.3%、名古屋84.0%、福岡 88.8%だった。「20 代の時のあなたの幸福度は?」と聞いたところ、約半数が「20 代の時より今の方が幸せ」と回答した。最後に「あなたは、何が満たされていると幸せを感じますか?」と聞いたところ、東京では「生活水準」「貯蓄・資産」「収入」といった項目が他都市と比べて上位に来るという結果となった。

【調査結果】

1. 「あなたは今、幸せですか?」・・・「幸せ」と答えたのは、東京 95.7%、名古屋 84.0%

はじめに、「あなたは今、幸せですか?」という質問をした。結果、「幸せ」と答えたのは、東京で 95.7%、大阪で 89.3%、名古屋で84.0%、福岡で 88.8%だった。四大都市のなかで最も高齢者の幸福度が高かったのが東京で、名古屋とは 11.7%の差が生じた。

「幸せ」と感じる理由として、東京、大阪、名古屋で最も多く、福岡でも二番目に多かったのが、「健康でいられているから」(男性/名古屋)だった。健康を損なってしまうと、家族と楽しい時間を過ごすことも、趣味に夢中になることも、好きな場所に行くこともままならなくなる。時には家族や周りの人の手を借りて生活せざるをえなくなる。そういったことから、やはり自分自身が健康な状態であることこそが幸せだという人が多かったのだろう。次に、福岡で最も多く、東京、大阪で二番目、名古屋で三番目に多かったのが、「夫も子供も健康で、全員幸せな状況にあるから」(女性/福岡)、「家族が皆健康で、仕事も順調で経済的にも恵まれて、幸せに暮らしているから」(女性/東京)といった、「配偶者や家族の健康、幸せがあってこそ」という回答だった。そして名古屋で二番目に多く、東京、大阪、福岡で三番
目に多かったのが、「家族関係が良好で幸せを感じているから」(男性/名古屋)といった、配偶者・家族との関係性の良さを挙げる声だった。
以上のように「幸せ」の要因として、自身や家族の健康、家庭内の人間関係について挙げた人が多かった一方、経済面に関する理由を挙げた人はごく僅かだった。これだけを見ると、「幸せはお金では買えない」という結論に至りそうに思えるが、どうやらそうではないようだ。「幸せじゃない」と回答した人にその理由を聞くと、四大都市すべてで最も多く挙がったのが「経済的に大変で、今後のことを考えると不安でいっぱいで心が潰れそうになるから」(女性/名古屋)、「収入が十分でないし、老後の蓄えもないから」(男性/福岡)といった経済的理由だった。必要最低限の収入や蓄えがあってこそ、自身や家族が健康でいること、家庭内が円満でいることに幸せを感じられるのだということに、気づかされる。

2. 約半数が、「若い時より今の方が幸せ!」


次に、「20 代の時のあなたの幸福度は?」という質問をした。今現在の幸福度を 100 とした時の、20 代の時の幸福度を 50 以下、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150 以上のなかから選んでもらった。100 の場合「20 代の時と今は同じくらい幸せ」、100 より下の場合「20 代の時より今の方が幸せ」、100 より上の場合「20 代の時の方が今より幸せだった」ということになる。
その結果どの都市においても、約 2 人に 1 人が「20 代の時より今の方が幸せ」と、約 4 人に 1 人が「20 代の時の方が今より幸せだった」と、残りの約 4 人に 1 人が「20 代の時と今は同じくらい幸せ」と回答した。
約半数が、20代の時より、60歳を過ぎた今の方が「幸せ」だと回答した。その理由として最も多かったのが、「経済的に今より苦しかったから」(女性/大阪)という経済的理由。その次に多かったのが、「仕事が自分に合っていなかったから」(男性/大阪)、「仕事が忙しく、ストレスが大きかったから」(男性/名古屋)といった仕事に関する理由。そして「生きがいが見い出せず、何となく生活を送っていたから」(男性/名古屋)、「将来に対して不安があったから」(女性/大阪)といった、先が見えないことや、それに対する不安を挙げる声が多かった。

3. 「何が満たされていると幸せを感じますか?」・・・第 1 位は「配偶者との良好な関係」

最後に、「あなたは、何が満たされていると幸せを感じますか?」という質問をし、30 の項目のなかから最も当てはまるものを最大 3 つ選んでもらった。結果、最も多く選ばれた項目 TOP3 はどの都市も同じで、第 1 位は「配偶者との良好な関係」、第 2 位は「子どもとの良好な関係」、そして第 3 位は「自分の健康」となった。さらに東京、大阪、名古屋で第 4 位にランクインしたのは「趣味・プライベートの充実」であった。高齢者にとって、配偶者・家族との関係性や自分自身の健康に次いで幸福を感じさせるものは、満足いく生活水準や収入、貯蓄、資産といった経済面の充実以上に、「生きがい」だということが分かった。
結果の分かれた第4位以下では、いくつか都市別の特徴が見える。まず東京においては、「生活水準への満足度」や「貯蓄・資産の額への満足度」、「収入の額への満足度」が他都市と比べて上位に来ている。東京は地価や家賃、物価が高く、生活のためにかかるお金は四大都市のなかでも特に多い。その東京で幸せな老後を過ごすためには、やはり他都市と比べて経済面での充実が必要であることが、この結果からも見てとれる。
名古屋は「孫との良好な関係」「孫の幸せ」が他都市と比べて上位にランクインしており、名古屋の高齢者は「孫との良好な関係や孫の幸せが、自分の幸せ」という人が特に多いことが分かった。その背景の一つとして考えられるのが、名古屋の三世代同居世帯の多さだ。国勢調査によると、愛知県は四大都市のなかで最も三世代同居世帯が多く、それゆえ祖父母と孫との関わりが深いことが考えられる。そういった背景が今回の調査結果に影響したのではないだろうか。


【調査概要】
有効回答 東京都、大阪府、愛知県、福岡県に住む 60 歳以上の男女 1,108 名
 (東京都:278 名 大阪府:277 名 愛知県:277 名 福岡圏:276 名)
調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査期間 2014 年 3 月 17 日(月)~3 月 24 日(月)

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[オウチーノ総研]
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