脳・神経関連疾患の社会コスト推計と2025年の脳科学関連市場規模予測 

2014年04月01日
NTTデータ経営研究所は、「応用脳科学リサーチプロジェクト2013」を発足し、「脳・神経関連疾患の社会コスト推計と2025年の脳科学関連市場規模予測」を行った。現状(2013年)の脳に関わる「医療分野の課題」と、将来(2025年)における「関連技術の発展可能性」を経済的インパクトとして推定した。

※本調査における社会コストとは、脳・神経関連疾患により社会が被る損失を指し、医療費・介護費の支出や失業・死亡などによる逸失利益を算出しています。

【調査結果サマリー】

(1) 脳・神経関連疾患により生じる社会コスト:27兆4,549億円
脳・神経関連疾患に罹患することにより生じる社会コストは、年間27兆4,549億円(主として平成23年医療費の概況を基に推定)であると推計される。内訳は、認知症13兆2,451億円、脳卒中6兆9,874億円、気分障害(うつ病など)4兆3,516億円、統合失調症1兆8,435億円、その他の疾患(睡眠障害、てんかん、パーキンソン病など)1兆272億円であった。

脳・神経関連の疾患には、脳卒中における後遺症に対する介護、気分障害における休職・離職の問題や統合失調症における自殺・就職困難の問題があることから、直接的な医療費だけでは把握が困難な間接的費用などがコストを押し上げる要因となっている。

なお、EUにおける試算では脳関連疾患のコストを年間およそ112兆円(8,000億ユーロ)としており、人口規模(2012年でEUは5億904万人、日本は1億2,752万人)などを考慮すると、本調査の試算はおおむね妥当であると言える。

(2) 2025年における脳科学関連製品・サービス市場規模:3兆265億円
脳科学関連製品・サービスのシーズとなる先端技術について調査および事例の収集を行い、2025年における脳科学関連の市場規模を予測した結果、3兆265億円の市場になると推定した。

脳科学関連産業のうち、最も有力な成長市場と考えられる分野はロボット産業であり、2025年に1兆3,033億円の巨大市場となることが見込まれる。次いで、製薬産業が6,145億円、半導体産業が5,186億円であった。現在、日本は産業用ロボット市場では世界シェアトップを維持しており、ロボットへの脳科学応用がさらなる成長の鍵となることが期待される。
医療関連ビジネス分野においては高度化した健康診断ビジネス(脳ドッグ)や脳・神経系統に障害を負った人向けのリハビリを支援するBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、機械と脳をつなぐことによる人工感覚(人工内耳・人工網膜)などの技術革新が期待される。また、半導体産業では脳の構造を模したニューロチップの人工知能への応用が目指されている。

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[NTTデータ経営研究所]
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