スカイライトコンサルティングと、その子会社のシンクエージェントは、生活者の店舗での買物行動におけるスマホ利用実態について、共同調査を行いました。
今回の調査により、生活者の「オムニチャネル行動」が、年代や居住地域を問わず定着しつつある実態が浮き彫りになりました。また、顧客のライフステージや、購入する商品のジャンルによって、オムニチャネルの「行動パターン」が異なるという事実が明らかになりました。

【調査の背景】

オムニチャネル戦略検討に欠かせない「生活者の買物行動におけるスマホの利用実態」を明らかにした

インターネットの普及により、店舗のショールーム化やオムニチャネル化が本格的に進行しつつある。そこに商機を見出す者、危機感を抱く者、立場の違いにより様々なアイディアや試みが錯綜し、リアルの商業シーンは一見、活気づいているかのようにみえる。
生活者のオムニチャネル行動は企業主導で生み出されたものではなく、インターネットやスマートフォンの技術普及を背景に、生活者側から自然と生まれた。企業が本気でこれに対応するには、組織や実績評価ルールの見直し、バックヤードのシステム統合など、大きな投資と負担が必要となるため、抜本的な改革が後手に回り、スマホへのクーポン配信などの単発施策に走りがちだ。
だが、企業都合の恣意的な販促施策は、生活者にそっぽを向かれることが多い。企業が生活者に受け入れられながら、そのオムニチャネル行動に関与するには、生活者の購買行動プロセスを掴み、裏にある本来のニーズや事情を理解することが必要である。
当調査は、オムニチャネル戦略検討に欠かせない、「生活者の買物行動におけるスマホの利用実態」を明らかにするものである。


【調査結果概要】

● 買物の前にスマホを使って店舗や商品の情報収集をした経験がある人は、全体の56.8%。
特に小さい子供のいる既婚女性では、71.9%が事前に情報収集を行っている。
また、ファッションこだわり層では、店舗営業時間の確認(51.2%)やフロア・マップの事前チェック(41.0%)が多い。

● 買物中にスマホを利用した経験がある人は、全体の51.8%。
中でも「家電こだわり層」では、全体の48.8%が店頭でみた商品の相場価格や最安値を調べた経験あり。

● 買物(来店)後にスマホでアクションする人は全体の24.4%。店でみた商品をあとで買ったことがある人は、全体の15.5%であった。

【調査トピックス】

調査の結果、生活者のこだわり商品ジャンルやライフステージ、買い物シーンにより、買物中のスマホ利用行動に違いがあることがわかった。今回の調査で浮かび上がった特長的な違いを、以下に紹介する。

■買物シーン① 商品ジャンルによる違い
~ファッションこだわり層 VS 家電こだわり層~

ファッションこだわり層と家電こだわり層の購買行動を比較すると、スマホの使い方に顕著な違いがみられる。 まず対象ユーザーの属性は、ファッションこだわり層の7割が女性、家電こだわり層の8割が男性であった。
家電こだわり層が家電を買う場所で最も多いのは、家電量販店(65%) である。 家電はショールーミング化が進行していると言われる分野であるが、実態は、相変わらず家電量販店での購入が主流のようだ。
家電こだわり層の買い方をみると、未婚者では「ネットで買う」との回答が多く(40.5%)、既婚者は、「近隣の大型商業施設に出かけて買う」との回答が多い。(55.3%)
既婚男性の8割がネット通販を行うと回答していることを踏まえると、これはネット通販への慣れの問題ではなく、未婚男性と既婚男性の買物の仕方の違いが、関係していると思われる。

男性は結婚すると、休日に車を運転して郊外のショッピングセンターにでかけることが多くなるようだ。家族で車で出かけて、同行した家族が買物を楽しむ間、自分は家電量販店で皆の買物が終わるのを待つ、といったシーンが思い浮かぶ。一方ファッションこだわり層は、一人で買うシーンが多そうだ。未婚女性は通勤で通る駅のファッションビルに立ち寄って買い、主婦はショッピングセンターで、デイリーの買物と一緒にファッションをみていると思われる。さらに、ここ1-2年の買物の仕方の変化に関する設問でも、ファッションこだわり層は、「一人で買物に行くようになった」という回答が多い。

来店前/来店中/来店後のスマホ利用行動では、来店前のスマホ利用経験が、最も多かった。
全体の56.8%の人が、来店前になんらかのスマホ利用経験がある。
「商業施設や店の場所・営業時間を確認する」(42.4%)、「商業施設のフロアマップやテナント情報をみる」(26.6%)、「使えそうなクーポンやセール情報を探す」(32.2%)といった行動である。
セグメント別にみると、ファッションこだわり層は来店前に最もスマホを使うのに対して、家電こだわり層では来店前より来店中によく使われていることがわかる。家電こだわり層では、特に来店中の「店頭でみた商品の相場価格、最安値を調べる」(48.8%)「店頭でみた商品のスペック等、詳細な情報を調べる」(38.0%)といった行動が多い。
しかしながら、 「店で見た商品を後でネットで買ったことがある」との回答は、20.2%に留まり、決して多いとはいえない。家族を待つ間、商品をスマホで検索して、価格や口コミを調べるといった行動をひととおり行うものの、結局は同行した家族の了承をとりつけて、その場で買っているのであろう。
一方ファッションこだわり層は、家電こだわり層と違って、来店前のスマホ行動が活発である。 「事前にスマホで店の場所や営業時間を確認したことがある」 (51.2%)、 「商業施設のフロアマップやテナント情報をみる」 (41.0%)などである。また、この層では、来店中のLINE相談(14.1%)や、来店後のSNS報告・自慢(12.9%)などのソーシャル行動も多い。
家電こだわり層と違って、安値検索は多くないが、「店で見た商品を後でネットで買ったことがある」との回答は、家電とほぼ同程度あるとの結果がでている。

■買物シーン② 買物場所による違い
~都心買いユーザー VS 郊外SCユーザー~

都心での買物シーンと、郊外での買物シーンにも、違いがある。
ファッションこだわり層について、さらに都心買いユーザーと郊外SCユーザーを比較したところ、都心買いユーザーのほうが、活発にスマホで情報収集しながら買い物をしている様子が伺える。これは、都心のほうが店の選択肢が多く、駅立ち寄りなど時間がない中での買い回りを行うためと思われる。都心買いユーザーは、営業時間の確認(58.6%)、テナントやフロアマップの確認(43.2%)、セール情報の検索(33.3%)など、効率よく買物するための情報収集に余念がなさそうだ。
一方郊外SCユーザーは、店の営業時間や新商品情報の検索において、都心買いユーザーほど活発ではない。テナントマップやセール情報はみるものの、新商品のチェックはさほど行わないようだ。

買物行動の変化を問う設問では、郊外SCユーザーに「買う直前まで対象品番を決めなくなった」(11.2%)との回答が多くみられた。都心買いユーザーと比べて、より散策&探索型のショッピング傾向が出ているといえる。
また同設問では、郊外SCユーザーに、「商品をネットでよく調べて買うようになった」(48.3%)「お店と同じ感覚でスマートフォンやパソコンで買うようになった」(28.4%)と答えた人が多い。つまり、郊外SCユーザーは都心ユーザーに比べて、買物にでかける前のネット活用度は高く、買物にでかけている時のネット活用度は低い、という結果である。これはおそらく、一人での買物か、同行者ありでの買物かの違いによるものと思われる。

■買物シーン③ ライフステージによる違い
~未婚女性 VS 小さい子供を持つ女性~

郊外SCユーザーが、都心買いユーザーほど積極的に情報収集しないことは先に述べた通りだが、これが小さい子供を持つ母親となると、事情が違ってくる。ファッションこだわり層について、小さい子供を持つ母親だけを抜き出すと、都心買いユーザー以上にアクティブなスマホ行動を行っていることが見て取れる。
それも商品選定のための情報収集ではなく、店舗情報や営業時間、フロアマップといった、買物行動そのものに伴う情報収集が多い。小さい子供を持つ母親が計画的に行動するために、いかにスマホを活用しているかがわかる。さらに、安値検索やクーポン利用、買物時のLINE相談もアクティブに行っており、小さい子供を持つ母親にとって、スマホは生活に欠かせない必需品であるようだ。
また、この層はアプリの利用率が高く、ネット通販も頻繁に利用する。スマホでのコミュニケーションターゲットして、極めて重要な層といえる。


【調査実施概要】
調査時期 :2014年08月26日(火) ~ 2014年08月27日(水)
調査対象 :スマホ所有男女 824 人 (以下の性年代別に、各103人)
 [対象者性年代] 男性:10-20代、30代、40代、50代 女性:10-20代、30代、40代、50代
調査方法 :インターネット調査  全20問
調査内容 :こだわりのある商品ジャンルでの買物スタイル、及びその買物行動時のスマホの使い方を調査

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