海外ショッピングレポート(2014)~日本人海外旅行者の動向と購買行動~ 

2014年11月07日
JTB総合研究所は、「海外ショッピングレポート ~日本人海外旅行者の動向と購買行動~(2014)」をまとめました。この調査は、世界免税品協会(Tax Free World Association)と共同で2002年より継続的に行っているものです。
2014年の海外旅行におけるブランド品や免税品の購入実態、海外でのショッピングに対する考え方、免税店への期待などについて調査を実施しました。

【調査結果サマリー】

・ショッピング平均消費額: 円安の影響を受け621USドルと2012年より76USドル減少

・53.5%が購買にSNSの影響は受けない。ただし性年代別で差が
-20代男女、30代女性は半数以上が購入のきっかけになる
-20代男性は「旅行してでも買ってみたくなる12.6%」(全体6.9%)

・趣味目的の旅行で趣味に関わる商品の購入経験がある人は60歳以上が17.5%、全体では10.0%

【調査結果】

1. 日中韓関係や円安の影響により 2013 年、2014 年の海外旅行者数は減少傾向

2014 年の日本人海外旅行者数(延べ数)は、9 月までの速報値で 1,273 万人、前年同期比 3%減となって
います。前回調査時の 2012 年には、海外旅行者数は過去最高の 1,849 万人を記録しましたが、その後の日中韓関係の悪化や円安のあおりを受け、海外旅行者数は減少に転じています。
特に韓国・中国への渡航者数は、2012 年から 2013 年の間に大きく減少し、2014 年に入っても前年割れの傾向が続いています。今回の調査の中でも「韓国や中国へ行くのは避ける」と答えた人が約半数と、依然として中韓への渡航を避ける意向が強い状況がうかがえます。日中韓関係の悪化は、特に熟年層への影響が大きく、中韓を含むアジアを避けて旅行をする傾向にあります。一方、若年層への影響は限定的であるものの、他年代と比べて海外旅行自体を控える人が多い点に特徴が見られます。

2. ショッピング消費額平均(US ドル)は円安の影響を受け 621US ドルと 2012 年より 76 US ドル減少

2014 年の海外旅行先でのショッピング消費額(US ドル換算)は、2012 年から 76US ドル減少し、平均 621 US ドル。急激に進んだ円安の影響から、円換算では 2012 年 55,620 円、2014 年 64,198 円となり、実質的な本人の消費額は約 9,000 円増となりました。この実質平均消費額の増加は、旅行先の変化(前回調査と比べ、中韓への渡航者が減り、シンガポールやヨーロッパなど比較的物価が高い国への渡航者が増えた)によるものと考えられます。景気回復を実感できないにも関わらず、消費増税により消費者の家計が圧迫される中での急激な円安により、旅行先での買い物額を抑える人が増えたと言えるでしょう。

3. 女性は全体的に、「自分用」「土産用」共にショッピング消費額が高い傾向。特に 20 代女性は消費額が高い

性年代別でショッピングの有無を見ると、男性よりも女性の方が買い物をしていることが分かります。特に 20 代女性は、全員が何らかの買い物をしており、また、自分のために購入したものの平均消費額も 6 万円超と、最も旺盛な購買意欲を示しました。男性は年齢が上がるほど自分のための消費額が増えるのに対し、女性の場合は 30 代で自分用・土産用ともに大きく消費額が減少し、再び 50 代でやや上昇するなど、ショッピングの傾向には男女差が見られます。女性はライフスタイルの変化に伴い、自分自身で自由に使えるお金が減ったり、自分よりも子供の出費を優先したりする傾向が男性よりも強いことが一因かもしれません。
行き先別のショッピング消費額では、フランスとイタリアへの旅行者が突出して高く、それぞれ平均 16.2 万円、14.5 万円をショッピングに費やしています。一方、2012 年には 1 位だったアメリカ本土でのショッピング消費額は激減し、大きく順位を落としました。

4.ブランド品・高級品は約6割が購入
 全体では「いつも愛用しているブランド」や「手ごろな価格のブランド」を求める傾向
 20 代男女は「周囲の人がよく知っていて人気があるブランド」であることを重視


では、ブランド品や高級品に限ると、どのような購入実態が見えてくるでしょうか。
ブランド品や高級品を購入(以降、「ブランドショッピング」と呼びます)した人の割合は全体の 6 割程度、特に 20 代男女の購入率が高いことが分かります。ただし女性の場合、30 代になると購入率が激減しており、ここでもライフスタイルの変化に伴いショッピングを抑える女性の姿が見えてきます。
最もよく購入されている商品は菓子類で、購入しなかった人の割合は 38.8%にとどまり、6 割以上が購入していました。また平均購入額は土産用が約 8,000 円と、自分用の購入額を大きく上回っています。平均消費額が最も高いのはバッグ・革製品で、自分用に平均 5 万円以上支出しているものの、購入している人は 2割程度となっています。
また、どのようなブランドを購入したいかを聞いた質問では、全体では「いつも愛用しているブランド」や「手頃な価格のブランド」への購入意向が高くみられました。性年代別にみると、20 代男女では、「手頃な価格のブランド」であることよりも、「周囲の人がよく知っていて人気があるブランド」を購入したいという意識が高い傾向がみられます。

5. 20代男性は友人や家族から頼まれたブランドショッピングも多い

第4章で触れた通り、20 代男性の 6 割以上がブランドショッピングをしていますが、内訳を見ると、「友人・家族・親戚に頼まれた買い物」がどのカテゴリーでも全体より多いことが分かります。中でも、菓子類(20 代男性 28.2%、全体 12.9%)、ファッション小物(20 代男性 15.5%、全体 4.2%)、酒類(20 代男性 15.5%、全体 4.7%)といった商品を頼まれる人が全体の2~3倍程度の割合で見られました。

6. 53.5%が購買に SNS の影響は受けない。ただし性年代別では差がみられる
20 代男女、30 代女性は半数以上が購入のきっかけになる、20 代男性は「旅行してでも買ってみたくなる12.6%」(全体 6.9%)
チャリティー商品は若年男女と 60 才以上の男性の購買意欲を刺激


SNS上で見かける(友人や企業が掲載している)商品に対する購買意欲に関しては、全体としては 53.5%が「SNSで見た商品を買いたくなったことはない」と回答しました。しかしながら、性年代別にみてみると、主に 20 代男性と 20~30 代女性ではSNSが購買の引き金となっている傾向が見られます。なかでも 20代男性への効果が高く、「その場に旅行してでも買ってみたくなる」(12.6%)、「旅行しなくて済む範囲で探して買ってみたくなる」(20.4%)といった、積極的なアクションに繋がる高い意欲を示しました。20 代男性で頼まれもののブランドショッピングが多い背景には、友人の旅行先での投稿を目にし、その投稿者にSNSを通じて買い物を頼む、といったようなこともあるのかもしれません。一方、女性の場合は、「買おうか悩んでいる時の後押しになる」という人が多く、特に 30 代女性では 3 割にのぼります。男女ともに 30 代以上では年齢が上がるにつれ「SNSで見た商品を買いたくなったことはない」人の割合が増加していますが、これはSNS利用率自体が低下する影響と言えるでしょう。

売上の一部が寄付や社会貢献に充てられる「チャリティー商品」は、最近日本でも見かけるようになりましたが、チャリティー商品であることが購買意欲に比較的ポジティブに働いていることがうかがえる結果となりました。全体の 6 割以上が「購買意向には全く影響がない」としているものの、約 3 割にとってはチャリティー商品であることが購入のきっかけとなっているようです。男女ともに、20 代で最もチャリティー商品に対する購買意欲が高く、年齢が上がるにつれ意欲が薄れる傾向にありますが、男性 60 才以上では購買意欲が 20 代並みに回復する点が特徴的です。

7. 趣味目的の旅行中、趣味に関わる商品の購入経験がある人は 60 歳以上が 17.5%、全体では 10.0%

(スポーツや音楽など)趣味目的での海外旅行について性年代別にみると、趣味目的の旅行経験率は男性、特に若年層の方が高いことが分かります。しかし旅行先で関連商品を買った経験のある人の割合では、60 歳以上の男性が 17.5%(全体 10.0%)と最も高い結果となりました。また、どんなものを購入したかを具体的に回答してもらった結果では、ゴルフ旅行中にクラブやウェアを買っている人が多く、また少数ではあるもののトレッキング目的での旅行中にシューズなどを買っている人も見られました。


【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート調査
対象者:日本在住の20歳から79歳までの男女のうち、以下に該当する1,030名
 ※性年代別 103名ずつ割付 ・過去9か月以内(2014年1~9月)に1回以上の海外旅行をしたことがある
期間:2014年9月10日(水)~2014年9月18日(木)

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