「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査 

2014年11月13日
日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」はこの度、「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を取りまとめた。本調査は、企業のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の上場企業 2,424社を対象に2014年6月から8月にかけて実施したものである(有効回答数 250社、回収率10.3%)。今回の調査は2002年から隔年で実施しており2012年に続き、7回目となる。

【主な調査結果】

●最近3年間の「心の病」の増減傾向は「増加傾向」29.2%、「横ばい」58.0%、「減少傾向」9.2%。増加企業の割合は低下するも減少には至らず

上場企業で『最近3年間における「心の病」』が「増加傾向」と回答した企業は、29.2%と、前回調査(2012年)の37.6%から減少し、3割を下回った。「横ばい」と回答した企業は58.0%と、前回調査の51.4%、前々回の45.4%から増加傾向が続いている。
過去8年間の結果をみると、「増加傾向」の割合が減少してきていたが、前回調査より「横ばい」が「増加傾向」を上回っており、今回もその傾向がより強まっている。しかしながら、減少傾向にまで至っている企業は10%に満たず、微増にとどまっており高止まり傾向といえる。

● 「心の病」の年代別割合:前回に続き、30代、40代が3割を上回り、両世代が最も多い年齢層となっている。10-20代の割合も2割近い水準

前々回調査までは、「30代」の「心の病」が6割程度と突出して多かったが、前回調査では、40代が36.2%、30代が34.9%と逆転していた。今回の調査では、30代が38.8%で最も多い年代となっているが、40代も32.4%となっており、両世代にまたがる課題となっている。10-20代の割合も18.4%と対象人数が少ないことを考慮すると高率であり、「心の病」を課題とする世代は広がっている傾向が見て取れる。
 
●「心の病」が「増加傾向」の組織では、“従業員の孤立化”が進んでいるとの回答が「横ばい」「減少傾向」とする組織より多い

組織状態と「心の病」の増減傾向のクロス集計では、「個人で仕事をする機会が増えた」との質問で、「心の病」が「増加傾向」の組織では肯定率が52.1%に対し、「横ばい」(42.8%)、「減少傾向」(34.8%)となった。また、「職場でのコミュニケーションが減った」との質問では、「増加傾向」(58.9%)、「横ばい」(43.4%)、「減少傾向」(39.1%)となった。「心の病」が「増加傾向」とする組織で、“従業員の孤立化”を示す質問の肯定率が「横ばい」「減少傾向」とした組織より多くなっていることが明らかになった。

●労働安全衛生法改正によるストレスチェックの実施、及び医師による面接指導の義務化の認知率は9割前後と高い。一方、ストレスチェック、医師による面接指導をともに既に実施している組織は3割にとどまる

労働安全衛生法の改正によるメンタルヘルス対策義務化の認知率は、「ストレスチェックの義務化」が94.4%、「医師による面接指導の義務化」が89.2%となり、関心の高さが示された。一方、現状における施策の導入率は、ストレスチェック、面接指導とも実施している企業は30.4%、ストレスチェックのみ実施している組織は21.6%、医師による面接指導のみを実施している企業は26.4%となった。法施行までの間に、既に導入している仕組みの有効活用も含めた体制の整備が必要となる。

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[日本生産性本部]
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