現代人の“時間感覚”についてのアンケート調査 

2013年11月28日
シチズンホールディングスは、全国のビジネスパーソン400人を対象に、“時間感覚”についてアンケートを実施。
“時”に関する日常語には、どのくらいの時間や時刻を指すのか、人によって捉え方、感じ方の異なる曖昧な言葉が種々あります。特に近年、働き方も多様化し、インターネット・スマートフォンの普及によって、時間の使い方にも変化が見られます。辞書で示されるような本来の意味とは違う感じ方をしている言葉もあり、若い世代には意味自体が通じない「死語」になりつつある言葉もあるようです。そのような時代において、現代人はどのような“時間感覚”を持っているのでしょうか。“時間語”の受け止め方を通して探ってみました。

【調査結果】

Q.下記の時に関する言葉について、「何時ごろ」を指すのか、あなたの感覚でお答えください。

未明 2時少し前から4時過ぎ頃まで
始まりの時間、終わりの時間の各平均値を見ますと、「未明」とは1時53分から4時07分までという結果でした。
「未明」は広辞苑によると「夜がまだすっきり明けきらないとき」です。調査時期(10月12日~14日)の日の出は、東京で5時45分でしたので、辞書の意味よりかなり早い時間帯を未明と捉えています。
一方、報道機関や気象庁は0時~3時を「未明」としていますが、調査結果はこちらともズレがあります。年代別では、始まりの時間が20代は1時30分であるのに対し、50代は2時14分で44分の開きがあります。

早朝 4時半頃から6時15分頃まで
広辞苑では「早朝」は「あさはやいうち」とあります。
4時37分から6時15分までの2時間弱程度を「早朝」と感じる人が多いようです。
女性と20代が若干「早朝」感覚が早いようです。

昼下がり 12時半頃から14時過ぎ頃まで
12時35分から14時12分までが「昼下がり」の感覚でした。広辞苑では「正午を少し過ぎた頃。午後2時頃」とあり、ほぼ同じ“時感”のようです。

宵の口 18時20分過ぎから20時少し前まで
18時21分から19時55分までという結果で、前回(06年)調査の「19時12分から20時48分まで」と比較すると、50分程度早くなっています。
長く続くデフレ不況や、リーマンショック(08年)、震災(11年)などによる、生活スタイルの変化から(夜遊びしない、外で飲食しない、自分・家族の生活を大切にするなど)、終業後すぐ帰宅することが「宵」を早く感じることにつながっているのかもしれません。特に“離れ世代”(※)と言われる20代は、始まり時間が前回調査より1時間48分も早く(06年:19時42分→13年:17時54分)なっています。
こうした傾向は、景気回復基調と言うものの、まだ身の回りにその実感はないことの現れかもしれません。なお、広辞苑では「日が暮れてまもない時」ですので、本来の意味に感覚が近づいたと言えそうです。
(※)離れ世代:「車離れ」や「酒離れ」など、モノへの欲求が薄れてきている若い世代。

真夜中 23時40分頃から午前2時頃まで
広辞苑では「夜のもっともふけた時。深夜」とありますが、23時37分から2時04分までを「真夜中」と感じるようです。

夜更かし 午前1時を過ぎて起きていること 夜更かしの度合いは遅くなる傾向
広辞苑では「夜遅くまでおきていること」とあります。
結果は1時04分以降で、前回調査の「0時12分以降」と比べ、「夜更かし」と言われる時間が、50分程度遅くなっています。
帰宅してからの生活を大事にしているせいか、日付が変わるまで起きていることが多いようです。
また、前回調査では年代が上がるにつれ「夜更かし」と感じる時間が少しずつ早くなっていましたが、今回は逆に年代が上がるにつれ遅くなるという不思議な逆転現象が起こっています。

午前様 2時30分以降の帰宅 若い世代には死語?
広辞苑では「(酒を飲み、また遊び過ごして)帰宅が深夜12時過ぎになること」ですが、現代人は2時30分以降の帰宅を「午前様」としています。
前回調査より1時間12分程度遅くなっていますが、特に20代は4時18分以降と極端です。20代は、午前7時以降の項目(午後12時まで)を選択した人が3割と、この言葉を「午前の時間」という意味に取っている人がかなりいるようで、この世代にとって「死語」といえるかもしれません。

朝帰り 4時半過ぎから7時頃まで
広辞苑では「外泊して、朝、家に帰ること」を指す「朝帰り」。
午前様よりもさらに遅い帰宅で、世代別に大きな変化はなく、こちらは4時38分から6時57分というのが現代人の感覚でした。

Q.下記は主にビジネス行動で使われる言葉ですが、何時頃もしくはどのくらいの長さと感じますか?

電話で ちょっとお待ちください 待たせても30秒以内
電話の「ちょっとお待ちください」は、「30秒」(32.3%)、「10秒」(31.3%)、「20秒」(19.8%)の順でした。待たせても30秒以内といったところが一般的な感覚です。
電話の相手を30秒以上待たせると、「長く待たされている」と感じる人が多いと言えます。

折り返しお電話します 遅くとも10分以内に
ビジネスにおける電話の折り返しは「10分後」(35.0%)、「5分後」(28.5%)が一般的な感覚のようで、遅くとも10分以内に折り返すのが常識のようです。
一方、「30分」から「1時間後」という人が20代(26.0%)・30代(25.0%)で4人に1人おり、40・50代に比べてややスロー感覚です。

電話が込み合っています しばらく経っておかけ直しください 5分~10分後に
電話が混み合っている時にアナウンスされるのが「しばらく経っておかけ直しください」。かけ直すのは「10分後」(31.3%)、「5分後」(30.5%)、「3分後」(15.5%)の順で、平均値は約5分でした。
3分以上経ってからかけ直す人が8割(77.3%)と、予想以上に辛抱強いようです。
一方、20代は「1分」以内という“すぐにかけ直す派”が3割近くおり、他の年代より多いようです。

Q.下記は主にビジネス行動で使われる言葉ですが、何時頃もしくはどのくらいの長さと感じますか?

なるはやでお願いします 30分が多数も5分の割合も多い 仕事で使うには注意
「なるべく早く」を省略した「なるはや」。依頼事を早めの対応でお願いするときに、耳にする言葉ですが、「30分」(26.8%)、「5分」(22.5%)、「10分」(20.3%)の順でした。平均値は29分49秒ですので、目安は30分以内というところですが、「5分」の割合も高いのが特徴です。
このように、人によって大きく時間の感覚が異なるため、ビジネス上で使うときには注意が必要な言葉と言えるでしょう。

すぐ処理 30分以内が常識
4割強(47.5%)が「10分」、次いで「30分」(25.3%)でした。「20分」(9.0%)を加えると、8割(81.8%)となり、できれば“10分”、遅くとも“30分以内”というのがひとつの目安のようです。
“30分以内”の割合は女性(84.5%)が男性(79.0%)を上回り、また「10分」の割合も高く(50.0%>45.0%)、男性に比べスピーディなようです。

さくっと終わらせます 気持よく仕事が片付くのは30分以内
「軽めに」、「テキパキと」 などの意味がありますが、時間としてとらえるとどのくらいなのでしょうか。結果は「30分」(25.3%)「5分」(24.3%)「10分」(21.3%)の順でした。広辞苑では、「ものごとが気持ちよく、あっさり片付くさま」とあり、気持よく仕事を片付けられる時間は30分以内と言えます。

「なるはやでお願いします」、「すぐ処理」、「さくっと(終わらせます)」の平均時間などをみると、ビジネスにおけるスピードが求められることは「30分」が目安と言えます。また、男性に比べ、女性は平均時間が早い傾向にあるようです。

この件はしばらく考えさせてください 長くても3~4日
判断が難しい案件などの場合、このような受け答えがされます。「3~4日」(29.5%)、「1日」(26.0%)、「2日」(21.3%)に集中しました。一方、「1週間」と回答している人も1割(11.3%)いました。

近いうち食事しましょう 社交辞令?「実際にはしない」が2割
よく使う言葉ですが、これも曖昧で、どのくらい先のことを想定しているのでしょうか。
結果は「1ヵ月後」(47.5%)が最も多く、次いで「1週間後」(21.0%)と、1か月以内が目安のようです。
ただし、「実際はしない」と全体の約2割(19.3%)の人が回答しており、社交辞令的に使う言葉とも言えます。また、男性より女性の割合が多いのが特徴で、女性たちの2割以上(22.0%)が「アテにならない」もしくは「するつもりはない」と考えているようです。
ところで「実際にはしない」は、2006年の前回調査では男性21.0%、女性15.0%でしたので、男女の比率が逆転しました。女性の“社交辞令”が増加しました。

Q.下記は主にビジネス行動で使われる言葉ですが、何時頃もしくはどのくらいの長さと感じますか?

ちょっと打ち合わせ 約24分
“ちょっと”打ち合わせは、「30分」(41.3%)、「15分」(27.0%)、「20分」(10.3%)の順で、“30分以内”が目安のようです。ちなみに全体の平均値では約24分でした。

じっくり打ち合わせ
約1時間40分
一方「じっくり」は、「2時間」(46.5%)が最も多く、次いで「1時間」(29.3%)でした。“じっくり”となると、2時間以内が目安のようです。平均値は約1時間40分でした。

一服する(一休み) 気分転換は5分~10分
仕事中の気分転換でよく言う「一服する」は「5分」(40.5%)もしくは「10分」(36.0%)というのが一般的のようです。男性(15.0%)と50代以上(16.0%)は「15分」の割合が他と比べ多く、幾分休憩が長いようです。ちなみに平均値は男性全体で9分14秒、50代全体で9分36秒でした。

(残業で)ちょっと遅くなる 2時間以内で終わらせる
「2時間」(43.3%)、「1時間」(26.3%)、「1時間30分」(16.5%)の順でした。「ちょっと」といっても、2時間程度は見込んでいるようです。平均値は1時間46分でした。
女性は男性より「1時間」の割合が多く(30.5%>22.0%)、逆に「2時間」は少なく(39.0%<47.5%)なっており「ちょっと」の幅が短いようです。

ちょっと一杯 「ちょっと一杯」のつもりで約2時間
勤め帰りの「ちょっと一杯」。「2時間」(38.5%)が最も多く、次いで「1時間」(27.8%)でした。平均すると約1時間38分なので2時間近くはかかります。「ちょっと」は時間の長さというより「一杯行こう」の枕詞と考えた方がよいようです。
前回調査(2006年)では平均時間が78分54秒と、およそ20分延びています。近年、飲みに行く機会自体が減る中で、たまの一杯については、時間に対して寛容になっているのかもしれません。
ただし、女性は「(残業で)ちょっと遅くなる」と同様に“1時間以内”の割合が男性より多く(32.5%>28.5%)、逆に「2時間」は低くなっており(34.5<42.5)、男女の「ちょっと」の長さには違いがあるようです。

Q.下記は生活の中で使われる言葉ですが、どのくらいの長さと感じますか?


自然災害のニュース速報 発生から画面に出るまで 30秒~1分の感覚
昨今、地震や津波だけでなく、大雨や洪水、台風などの警報・注意報の発令される時間が注目されています。自然災害発生からテレビの画面にニュース速報が出るまでの“時感”を、一般の人はどれくらいだと感じているのでしょうか。結果は、「30秒」(26.8%)、「1分」(27.3%)が拮抗しました。実際には数分かかるものと思われますが、視聴者の感覚は、“発生したらすぐさま出る”、というイメージのようです。

長電話 30分が目安
長電話と感じるのはどのくらいの時間なのでしょうか。もっとも多かったのが「30分」(33.5%)で、「30分まで」では4人に3人(74.5%)に達しています。目安は30分と言えそうです。ちなみに平均値は32分でした。「45分以上」を見ると、女性と20代が多いことがわかります。携帯電話やスマートフォンの普及で、メールやSNSなどでコミュニケーションを取ることが多い若い世代ですが、「長電話」の文化はまだまだ健在のようです。

徒歩圏内
15分以内が許容範囲
“徒歩圏内”とは駅・停留所から何分以内なのでしょうか。結果は「10分」(39.3%)、「15分」(33.0%)の順。全体の9割近く(88.1%)が「15分まで」と回答しています。


【調査概要】
調査期間:2013年10月12日~10月14日
調査方法:インターネットによる調査
(当社作成の設問シートに従って、インターネット調査会社を通じてサンプリング・集計。)
調査対象:全国のビジネスパーソン(給与所得者)400人

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[シチズンホールディングス]
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