中小企業の資金調達に関する調査 

2014年12月04日
大阪商工会議所は、「中小企業の資金調達に関する調査」を実施。

【調査結果のポイント】

○ 中小企業の資金繰りは、昨年度同時期の調査と比較し、幾分改善傾向にある。

○ 一方、資金需要の背景としては、「自社製品・商品・サービスなどの需要増」をあげる企業は昨年度から大幅に低下し、「原材料・仕入れ商品などの価格高騰・収益悪化」を指摘する声が目立っている。


【調査結果】

Ⅰ 自社の資金繰りについて

1 金融機関からの借り入れ状況(単数回答)

○ 全体の6割強(61.4%)の企業が「現時点で借り入れが必要な資金は、十分借り入れられている」と回答。

○ 一方、「現時点で資金を借り入れているが、十分な額ではない」(12.1%)と「現時点で借り入れの必要があるにも関わらず、まったく借り入れられていない」(3.6%)を合わせた1割台半ば(15.8%)の企業が、資金需要があるにも関わらず借り入れ不足が生じている状況。特に、資本金1千万円以下の企業では、2割強(22.2%)にのぼる。

○ ただし、昨年度同時期調査(20.0%)と比べると、借り入れ不足を訴える割合はやや低下している。


2 必要な資金を3カ月以内に金融機関から借り入れる目途(単数回答)

○ 「現在借り入れ不足」または「3カ月以内に資金需要がある」とする企業(80社)に対し、金融機関から調達できる目途について尋ねると、6割強(62.5%)が「目途はついている」または「つく見込み」と回答。

○ 一方、3割台半ば(35.0%)が「目途はついておらず、つく見込みもない」としている。


3 借り入れ目途がついていない場合の対応予定(単数回答)

○ 借り入れの「目途はついておらず、つく見込みもない」企業(28社)に対し、その対応策を尋ねると、「経費削減・雇用調整・事業縮小・新規投資の中止など支出を削減する」が半数強(53.6%)と最も多く、「現在取引がない金融機関に借り入れを相談する」が4分の1(25.0%)。


4 借り入れている(借り入れの必要がある)資金の使途(複数回答)

○ 「当面の運転資金」が8割強(81.7%)でトップだが、前向きの「設備資金」(31.5%)も昨年度より幾分増加している(昨年度同時期調査:28.0%)

○ 特に製造業では4割強(42.2%)が「設備資金」をあげている。


5 資金需要の背景にある経営環境の変化(3項目以内複数回答)

○ 「設備や研究開発、販路開拓など攻めの投資の必要性」(42.9%)が最多となる一方、「円安に伴う原材料・仕入商品などの価格高騰・収益悪化」(35.7%)、「個人消費の低迷・国内市場の縮小」(24.9%)、「人件費のアップ」(20.7%)など、経営環境悪化をあげる企業も目立っている。

○ 昨年度同時期調査と比較すると、「景気回復や訪日外国人増加による自社製品・商品・サービスなどの需要増」の割合が急落している(今年度:10.2%/昨年度:30.9%)。一方、「円安に伴う原材料・仕入商品などの価格高騰・収益悪化」(今年度:35.7%)、「電力などエネルギー価格の高騰」(今年度:9.3%)といった原材料価格などの高騰を指摘する声は昨年度から増加(「原材料・エネルギー価格の高騰」(昨年度:24.3%))。


Ⅱ 金融機関の貸出態度について

1 現時点と昨年度末(平成26年3月末)との比較(単数回答)

○ 昨年度末と「ほぼ変化なし」が約6割(59.7%)。

○ 「大幅に厳しくなった」(5.7%)と「少し厳しくなった」(8.5%)を合わせた1割台半ば(14.2%)が、厳しさが増したと指摘しているものの、昨年度同時期の調査と比較すると割合は低下(昨年度:20.1%)。


2 平成27年3月末時点と現時点との比較予想(単数回答)

○ 「ほぼ変化なし」が約6割(60.4%)。また、2割強(21.7%)が現時点より「厳しくなる」と予想している。


Ⅲ 「経営者保証に関するガイドライン」について

1 「経営者保証に関するガイドライン」についての認知度(単数回答)

○ 「経営者保証に関するガイドライン」についての認知度を尋ねたところ、「内容を含め、知っている」は2割台半ば(26.5%)。これに「詳しい内容は知らないが、聞いたことがある」(51.2%)を合わせた8割近い企業(77.7%)が同制度を認知している。一方、「全く知らない」も2割強(21.4%)。


2 「経営者保証に関するガイドライン」に沿った融資条件見直しについて金融機関への相談状況(単数回答)

○ ガイドラインについて「内容を含め、知っている」と回答した企業(109社)に対し、融資条件の見直しを金融機関に相談したかを尋ねたところ、「金融機関に相談し、経営者の個人保証の一部または全部を外すことができた」は1割台半ば(17.4%)。これに「金融機関に相談し、経営者の個人保証を外すには至らなかったが、保証金額の減額などその他の融資条件が改善された」(2.8%)を合わせた約2割(20.2%)が何らかの進展があったと回答。

○ 一方、「金融機関に相談したが、融資条件の改善はなされなかった」も1割強(12.8%)見られる。


【調査概要】
・調査目的 :年末・年度末に向けての中小企業の資金調達に関する実態を把握し、要望建議など本会議所事業の基礎データとするため。
・調査期間 :平成26年11月11日(火)~11月21日(金)
・調査対象 :大阪商工会議所会員の中小企業 2906社
・有効回答数 :412社(有効回答率 14.2%)

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[大阪商工会議所]
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