2015年度国内IT投資動向(国内企業703社対象) 

2015年03月03日
ガートナー ジャパンは、「2015年度国内IT投資動向」を発表。

ガートナーが2014年10月から12月にかけて国内企業703社を対象に実施した調査 (2014年11月調査) では、2015年度はIT投資の増加ペースがやや鈍化するものの、ビジネスの「変革」「成長」につながる投資は引き続き増加する見通しであることが分かりました。一方で、IT部門が把握していないIT投資が年々拡大していることも明らかとなっています。

暦年の金額ベースによる日本企業のIT支出規模予測によると、2014年は、景気が底堅く推移したことに加え、Windows XPの保守切れや消費税増税に向けたシステム対応が2013年中に完了せず、期中にずれ込んだことや、中堅・中小企業向けの設備投資減税の影響もあり、前年比2.5%の増加となりました。一方、2015年は、2013年から2014年にかけての比較的強いプラス傾向の反動もあり、0.6%の増加にとどまる見通しです。

このように、2015年度の投資額そのものは微増ですが、2013年11月調査に引き続き、今回の調査においても、厳しい経営環境の中、「攻め」のIT投資へと転換を図ろうとする投資傾向が見られています。今回の調査によると、2014年度のビジネス目的別に見た日本企業のIT予算の内訳は、76%が「運営」(継続的なビジネスのオペレーションを実現するIT支出。固定費なども含む) に費やされており、ビジネスの「成長」「変革」のための予算はそれぞれ14%と10%にとどまっています。一方で、図2に示すとおり、いずれの目的に対しても過半数の企業が「不変」を選択していることから、変化を嫌う日本企業の投資傾向が見られるものの、ITの成熟とともに削減傾向に転じている「運営」と比較して、「成長」「変革」のための投資を相対的に増加させる企業の比率は高まる見通しです。この背景には、新規参入企業の脅威や、新たな代替技術の登場、規制環境・制度の変化などがあります。従来保守的と言われた日本企業においても、市場における強いポジションを確保することで競争優位を獲得し、持続的な成長と変革を実現しようという意識が強まっているとみられます。

しかしながら、今回の調査では、「成長」や「変革」といった「攻め」のIT投資への注目が高まる一方で、IT部門がビジネス・ニーズに対応しきれず、ビジネス部門が独自にIT投資を行うケースが増加しつつある状況も浮き彫りとなっています。

過去3年間のIT部門と利用部門のIT予算の管理状況について尋ねた結果によれば、「利用部門が管理するIT予算は存在しない」の比率が減少する一方で、「IT部門が管理・把握していない利用部門独自のIT関連予算が存在」する企業の比率は全体の2割以上へと増加しており、「利用部門に独自のIT関連予算が存在するか否かも不明」の比率も少ないながら増加傾向が続いています。なお、本調査の回答者は主にIT部門であることから、実際は、いわゆる「シャドーIT (情報システム部門が把握しないまま現場で利用されている情報システム) 」の比率が水面下でさらに拡大している可能性が指摘できます。

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[ガートナー ジャパン]
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