メニューからみた食卓調査2014 

2015年03月19日
日本能率協会総合研究所は、20~60代主婦を対象に、2008年~2013年に引き続き2014年7月、「メニューからみた食卓調査2014」を実施。本調査は、主婦の調理に関する手作り・こだわり意識や、加工食品・中食の利用実態、その変化を検証するため企画・実施したものです。今回は、働く主婦と専業主婦の比較分析を中心にご報告いたします。

【調査サマリー】

◆働く主婦も、専業主婦も、時短・省手間意識は高い。働く主婦はメニュー選びで時短・省手間志向が顕著。
「時短メニュー」「省手間メニュー」は働く主婦で6割超、専業主婦では5割台。「電子レンジや圧力なべ」での時短は専業主婦の方が高く、「何でもフライパン」「使う食器を少なく」は大差がない。

◆働く主婦はお弁当作りが日課で、冷凍食品が大活躍。専業主婦は手作りおかずをホームフリージングし使いまわす。
「日常的にお弁当を作っている」は、働く主婦54%、専業主婦35%。夕食で「翌日のお弁当に使えるメニュー」、朝食の準備の仕方で「お弁当用に調理をしたものを出す」も働く主婦が高い。

◆食費切り詰め意識は09年以降、徐々に緩和。働く主婦でより強い節約志向。
『できるだけ食費を切り詰める』は働く主婦が25%なのに対し、専業主婦が20%。

◆多忙時に作る「カレー」「チャーハン」「焼きそば」、買って出すのは「コロッケ」「餃子」「シュウマイ」。
お助けメニューは「カレー」「チャーハン・ピラフ・焼き飯」「焼きそば」「丼もの」と、一皿完結型の主食系メニューが上位。中食メニューは「コロッケ」「餃子」「シュウマイ等中華点心」が上位。

◆家庭では手作り「味噌汁」がこの1年で増加傾向だが、食卓メニューの和食離れ・魚離れ、洋食化・肉食化が続く。
「味噌汁」は92%の主婦が月に1回以上食卓に登場すると回答。次いで「焼き魚」が88%、「和風めん類」が80%、「豆腐料理」が70%、「野菜のおひたし・和え物」が68%。

【調査結果】

◆働く主婦も、専業主婦も、時短・省手間意識は高い。働く主婦はメニュー選びで時短・省手間志向が顕著。

普段の調理についての考えや行動であてはまるものを選んでもらいました。省力化に関する項目を見てみると、主婦全体では「普段は調理時間が短いメニューが多い」「普段は手間がかからないメニューが多い」が6割、次いで「電子レンジや圧力なべ等で時間短縮している」が4割、「使う鍋を極力少なくする(何でもフライパン等)」が3割という結果でした。
時系列でみると、「時短メニュー」「省手間メニュー」ともに、08年から5ポイント以上増加しているほか、ほとんどの項目で増加傾向と、主婦の調理に対する省力化傾向は年々強まっています。
働く主婦と専業主婦で比較してみると、「時短メニュー」「省手間メニュー」ともに、働く主婦では6割を超えるのに対し、専業主婦では5割台と、それぞれ8ポイント・5ポイント働く主婦の方が高く、メニュー選びでの時短・省手間志向は働く主婦の方が強いという結果でした。
一方、「電子レンジや圧力なべ」での時短は専業主婦の方が高く、「何でもフライパン」「洗うものを減らすため、使う食器を少なくする」「普段は後片付けが簡単なメニューが多い」はそれほど差がありませんでした。
時間的なゆとりのある専業主婦でも、半数以上は「時短メニュー」「省手間メニュー」を意識しています。調理器具を使いこなして調理時間短縮をしたり、洗い物や後片付けまで段取りを考えて手間を減らしたりと、今どきの主婦は、働いているかどうかにかかわらず、調理を省力化している傾向です。

◆働く主婦はお弁当作りが日課で、冷凍食品が大活躍。専業主婦は手作りおかずをホームフリージングし使いまわす。

お弁当作りについての実態を、働く主婦と専業主婦で比較してみました。普段の調理についての考えや行動で「日常的にお弁当を作っている」と回答した人は、働く主婦で54%に対し、専業主婦で35%でした。夕食メニューの決め方で「翌日のお弁当に使えるメニュー」、朝食の準備の仕方で「お弁当用に調理をしたものを出す」を意識している人も働く主婦の方が高い傾向でした。
働く主婦は、自分の分のお弁当を日常的に作っており、夫の分も、高校生・大学生の子供の分も、お弁当を作る人が多い傾向です。普段からお弁当作りが日課となっており、お弁当を意識して朝晩の食事を用意しているようです。
お弁当作りにあてはまることを、おかずについて聞いた結果、全体では「市販の冷凍食品」が69%と最も多く、次いで「夕飯の残り物」64%、「新しく作る」56%の順でした。いずれも働く主婦の方が高く、特に「市販の冷凍食品」の利用は7割を超えており、働く主婦のお弁当作りには冷凍食品が必需品となっています。
一方、「自家製の冷凍保存(ホームフリージング)したもの」の利用は専業主婦が働く主婦を8ポイント上回っていました。おかずを自分で手作りし、冷凍保存し、お弁当用に使うという、手作り品を使いまわせるよう段取りするのは、専業主婦ならではのゆとりといえそうです。

◆食費切り詰め意識は09年以降、徐々に緩和。働く主婦でより強い節約志向。

『できるだけ食費を切り詰める』について「はい」~「いいえ」で答えてもらいました。全体では「はい」が23%、これに「どちらかといえば、はい」を合わせると68%に達します。
「はい」の人を時系列でみると、リーマンショック後の09年が31%とピークで、年々緩和傾向です。年代別にみると、20代・30代の若い主婦ほど節約志向が高く、シニアほど低くなる傾向です。また、60代・50代で13年から14年にかけて節約志向が高まっているのが目立ちました。
働く主婦と専業主婦で比較してみると、働く主婦が25%なのに対し、専業主婦が20%と、働く主婦の方が節約志向が高いという結果でした。ダブルインカムで高収入のイメージの強い働く主婦ですが、今回の調査では「外でパートやアルバイト」という人が64%に上り、「フルタイム勤務」は23%にすぎません。働く主婦の多くは、それほど高収入ではないパートの主婦であり、節約志向が高いのは、家計が苦しいから働かざるを得ない人も多いと推測されます。

◆多忙時に作る「カレー」「チャーハン」「焼きそば」、買って出すのは「コロッケ」「餃子」「シュウマイ」。

65項目のメニューを挙げ、『忙しいとき・時間がないときによく登場するメニュー(お助けメニュー)』と『冷凍食品・レトルト食品・インスタント食品・市販の惣菜等、便利な市販品を利用したり買ったりして食卓に出すことの多いメニュー(中食メニュー)』を聞きました。
お助けメニューは「カレー」「チャーハン・ピラフ・焼き飯」「焼きそば」「丼もの」と、一皿完結型の主食系メニューが上位を占め、ベスト20のうち11項目が主食系でした。
中食メニューは「コロッケ」「餃子」「シュウマイ等中華点心」とおかず系メニューが上位を占め、ベスト20のうち14項目がおかず系でした。
忙しいときは主食系の炒める・かけるだけで済むワンディッシュメニュー、買って出すメニューは手作りすると手間のかかるおかずということが言えます。

◆家庭では手作り「味噌汁」がこの1年で増加傾向だが、食卓メニューの和食離れ・魚離れ、洋食化・肉食化が続く。

『月1回以上登場するメニュー』の中から和食メニューをピックアップし、時系列比較をしました。
1位の「味噌汁」は、全メニューのうち1位で、92%の主婦が月に1回以上食卓に登場すると答えています。次いで「焼き魚」が88%、「和風めん類」が80%、「豆腐料理」が70%、「野菜のおひたし・和え物」が68%でした。
「味噌汁」は、減少傾向だったのが、13年から14年にかけて増加しました。『手作りメニュー』としても増加しており、和食メニューの基本として「味噌汁」を手作りして出す意識は増加傾向です。
一方、「和風めん類」「豆腐料理」「野菜のおひたし・和え物」といった、気軽な和食のメニューはこの7年間で減少が続いています。
この他、この7年間で5ポイント以上減少したものを見ると、「刺身」「肉じゃが」「かぼちゃの煮物」と、和食の定番メニューが挙げられます。5ポイント以上増加したものは、「ハンバーグ」「スープ」「鶏のから揚げ」「丼もの」でした。脚光を浴びる"和食"ですが、家庭の食卓メニューでは、和食離れ・魚離れが進行しており、全体では洋食化・肉食化の傾向と言えます。


【調査概要】
調査対象:首都圏・中部圏・近畿圏に居住する20~60代の主婦(既婚女性)
調査方法:日本能率協会総合研究所「モニターリサーチ・システム」利用によるFAX調査
有効回収数:1,082人(発送数1,500人、有効回収率72.1%)
調査実施日:2014年7月4日(金)~7月9日(水)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本能率協会総合研究所]
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