トレンド総研は、「定額制ビデオオンデマンドサービス」に関する実態調査を実施。

SVODサービスが実際にどのように利用されているのか、ユーザーがどのような点にメリット・デメリットを感じているのかなど、その活用実態を探りました。「dTV」利用者がリニューアルされたサービスをどのように捉えているかや、その期待値も聴取することを目的として、調査対象は「dTV(dビデオを含む)」の利用者250名、「dTV(dビデオを含む)」以外のSVODサービス利用者250名の合計500名を対象としました。

※本調査におけるSVOD(Subscription Video on Demand)サービスとは、定額制で映像コンテンツの視聴が無制限になる映像配信サービスを指します。
一般ユーザーによる投稿型のサービスが含まれる動画視聴・配信プラットフォームは含みません。

【調査結果概要】

◆ 約6割が2つ以上のデバイスを活用、女性は“自宅スマホ派”がPCを抜いてトップに

はじめに、利用中のSVODサービスの視聴頻度について調査をおこないました。もっとも多かったのは「2~3日に1回以上視聴する」(23%)で、「毎日(1日に1回以上)視聴する」層も20%と約5人に1人。1週間あたりの平均的な視聴時間については、「1時間以上3時間未満」(48%)が約半数、次に多かったのは「3時間以上5時間未満」(15%)で、5時間以上視聴している人も16%いる結果となりました。

視聴する際に利用するデバイスについて、「自宅」での利用、「自宅以外」での利用の2つのシーンに分けて調べたところ、「自宅」では「パソコン」(67%)での利用者が最多だったのに対して、「自宅以外」では「スマートフォン」(62%)が最多。ただし、「自宅」での「スマートフォン」での利用者も57%と多く、スマートフォンによるSVODサービス利用はユーザーの間で確実に定着していることがうかがえます。特に女性はこの傾向が強く、「自宅」で利用するデバイスは「スマートフォン」(63%)が「パソコン」(61%)を抜いてトップに。男性の利用デバイスとしてトップだったのは「パソコン」(74%)、次いで「スマートフォン」(51%)と、男女で差がついています。また、自宅での利用の際には、パソコン、スマートフォンに続いて約3人に1人が「テレビ」(31%)を活用、「タブレット端末」(31%)も同程度活用されており、より大きな画面での映像視聴ニーズは確実にあると言えるでしょう。

これらの2つのシーンについて、「自宅」と「自宅以外」の双方でSVODサービスを利用していると答えた人は76%と約8割に上ります。そこで、普段よく利用するデバイスの組み合わせについても調査すると、「スマートフォンのみ」(19%)、「パソコンのみ」(18%)といった、ひとつのデバイスだけでの利用者もいた中で、多かったのは「パソコンとスマートフォン」(24%)の組み合わせでした。「スマートフォンとタブレット端末」(8%)や、「スマートフォンとテレビ」(5%)などと合わせて、55%と約6割が2つ以上のデバイスを組み合わせてSVODサービスを利用しており、SVODサービスのマルチデバイス対応のニーズは十分にあり、すでにユーザーのライフスタイルの中にマルチデバイスでの利用が定着しつつあるとも考えられます。

より具体的な利用シーンについては、「自宅でくつろいでいるとき」(77%)の利用者が圧倒的に多く約8割。次いで、「夜寝る前」(32%)、「通勤・通学中」(18%)など、ちょっとした時間で利用する人も多いようです。具体的に、「通勤や出張の電車内で利用できるのが嬉しい」(39歳・男性)、「いつでもどこでも観られるのが利点。家族で観るときはテレビで、1人ではお風呂に持ち込んでなど状況に合わせて利用している」(44歳・女性)といったコメントも集まり、生活スタイルに応じて、シーンに合わせたデバイスで活用している人が多いようです。

これらの結果からは、マルチデバイス対応によって多様な利用シーンに柔軟に対応できることが、ユーザーの満足度につながっているという実態が改めて明らかになるとともに、スマートフォン、タブレット端末といったモバイル端末だけでの視聴では物足りないという別のニーズも垣間見えます。コンテンツのリッチ化が進む中で、モバイル端末での視聴では、特に映画などのコンテンツ視聴において画面(ディスプレイ)のサイズに限界があると言えるでしょう。「これまではスマートフォンだけで利用していたが、最近色々なデバイスで視聴できるようになったので、これからはパソコンなどでも活用したい」(44歳・男性)といったコメントに見られるように、パソコンやテレビなど、画面サイズが大きなデバイスに関しては、現状でも利用率が高かった自宅でのリラックスシーンなどにおいて、さらなる需要の拡大が見込まれます。初期にはモバイル端末、パソコンのみに対応していたSVODサービスの多くが、昨今テレビ対応を続々と開始しているのは、こうしたニーズへの応えであると捉えられます。多様化する視聴シーンに合わせて、利便性を重視したモバイル端末、クオリティを重視したテレビといった構図で、各デバイス間の連携は今後より重視されていくと考えられます。

◆ 不満ポイントNo.1は“価格”…決め手は「コンテンツの量」×「価格」のバランス?「dTV」への期待の声も

続いて、様々なSVODサービスの中で、どのようなポイントをメリットに感じているかについて、利用している理由や重視しているポイントなどの要素を通じて調査をおこないました。
まず、SVODサービスを利用している理由を調べると、「暇つぶしにちょうどいいので」(56%)に続いて、「観たいコンテンツが配信されているので」(51%)、「観たいと思ったときにすぐ観られるので」(45%)などが上位に並びました。また、「レンタル店などで借りるよりも手軽なので」(45%)にも回答が集まり、どんな時間、どんなシーンであっても手間なく視聴ができる点をメリットに感じている人は多いと言えます。「レンタル屋では貸出中がよくあるので、品切れがなくいつでも観られてよい」(36歳・男性)などのコメントも目立ちました。レンタル店などの店舗と比較した際のオンラインサービスならではの特長として、「テレビなどよりも効率的に観たいものが探せるので」(19%)など、検索性のよさも魅力として挙げられています。

この結果をふまえ、現在利用中のサービスを含めて、SVODサービスを利用する際に重視する、あるいは、利用サービスを選ぶにあたって決め手となりうるポイントについて調べると、「観たいコンテンツがあるかどうか」(64%)が多く、「コンテンツの数(全体量)」(62%)も同程度、「コンテンツの種類(ジャンル)の豊富さ」(53%)にも回答が集まりました。同時に、「月額あたりの価格」(58%)も約6割の人が重視しており、コンテンツ数と価格のバランスを見て、利用するサービスを選ぶ人が多いと言えます。

反対に、SVODサービスで不満に感じているポイントを聞くと、もっとも多かったのは「月額あたりの価格」(44%)。加えて「コンテンツの数(全体量)」(20%)、「コンテンツの種類(ジャンル)の豊富さ」(19%)と、重視しているポイントが十分に満たされていると感じている人は少ない実態がうかがえました。具体的には、「簡単に視聴を始められるところは良かったが、コテンツがあまり増えていないのが不満」(44歳・男性)、「海外ドラマの新シーズンの追加をもっと早くして欲しい」(37歳・男性)といった新規コンテンツの拡充ペースに対する不満が非常に多く集まっています。そのほかにも、「時間があるときに気楽に見られるが、画面が小さいので目が疲れることと、スマホを持っていなくてはいけないので姿勢がきつい」(30歳・女性)と対応デバイスに対するコメントや、「お手頃価格なので仕方ないかもしれないが、検索しづらいのが若干の不満点」(29歳・女性)などのインターフェースに対する不満の声も挙がりました。

その一方で見られたのが、「2年以上続けて利用しているが、継続の決め手は価格の安さ。たまに観たいときにそのジャンルが視聴できないことが不満ではあるが、価格面から考えると安いのでそこまで気にならない」(41歳・女性)や、「田舎でテレビがほとんど映らないため気に入っている。観たいと思っていたものが配信されないことが少し不満だが、値段に対して動画数が豊富なため、現状でも満足はしている」(31歳・女性)など、費用対効果を鑑みてある程度満足はしているという声。重視するポイント、不満に感じるポイントの調査結果と、これらのコメントからは、コストパフォーマンスをより重視するユーザーも多いことも読み取れます。

リニューアル後も価格は「dビデオ」時代と同様で、他SVODサービスと比較しても月額あたりの利用料金が低い「dTV」。今回の調査でも、「dTV(dビデオ)」利用者に対して利用していてメリットに感じる点を聞くと、「低価格で自分のスマホで海外ドラマが観られること」(34歳・女性)、「低価格でもコンテンツが豊富なこと」(44歳・男性)など、価格面に触れたコメントが多数集まりました。

価格以外の面では、「オリジナルコンテンツがとても面白い作品が多く、主にこれを観るために利用している。いつでもどこでも視聴できるので便利」(35歳・男性)、「dTVに変わってコンテンツが拡充されたのがよい」(34歳・男性)など、コンテンツ拡充に対する反応や、「リニューアルしてTOPで予告編が流れるようになって観やすくなった」(26歳・女性)といったインターフェースに対する反応も早くも見られました。今回のリニューアルの中でも、専用アダプターの導入など、力を入れていることがうかがえるテレビ対応に関しては、「TVでも観られるようになったらしいので利用してみたい」(48歳・女性)といったコメントも集まり、ユーザーの期待値が高まっていると言えます。

SVODサービスの利用シーンや視聴時間などの利用実態や、利用する上でのユーザーの視点が改めて明らかになった今回の調査結果。今秋には米映像配信サービス大手の「Netflix」が日本市場への進出を発表しており、競争が激化する中で、2015年は映像配信サービス市場において変革の年になると想定されます。対応デバイスの網羅性に加えて、「dTV」がいち早く注力してきた独自コンテンツの拡充に関しても、今後各社がサービスの差別化を目的として強化してくるポイントであると言えるでしょう。

テレビの視聴デバイスが拡充され、幅が広がったマルチデバイス対応に、ユーザー個人に最適化されたコンテンツ提供方法、コンテンツの独自性を兼ね備え、リニューアルによってバランス力の高さが目立つようになった「dTV」がユーザーとともにどのような進化を遂げるか、今後の動向に期待が集まります。


【調査概要】
調査名:「定額制ビデオオンデマンドサービス」に関する実態調査
調査対象: 20~40代 男女 500名(年代・性別に均等割付)
※内訳:
スクリーニング調査において、現在「dTV」あるいは「dビデオ」を「利用している」と回答した250名
スクリーニング調査において、現在「dTV」あるいは「dビデオ」以外の
定額制ビデオオンデマンドサービスを「利用している」と回答した250名
調査期間: 2015年4月23日(木)~2015年4月24日(金)
調査方法:インターネット調査
調査実施機関: 楽天リサーチ株式会社

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[トレンド総研]
 マイページ TOP