心房細動治療(抗凝固療法)における意識・実態調査 

2015年05月29日
QLifeは、心臓血管研究所付属病院所長の山下武志先生をはじめ、国内の心房細動治療のトップドクターが在籍するNVAF(非弁膜症性心房細動)アドヒアランス向上委員会監修のもと、医師、薬剤師、看護師、介護士など脳卒中予防に携わる医療者と、抗凝固療法を行っている患者ならびにその家族、さらには抗凝固療法を中断した患者合計650名を対象に、心房細動治療(抗凝固療法)における意識・実態調査を実施した。調査は2015年4月9~14日にかけてインターネット調査で行われた。

【調査サマリー】

◆抗凝固療法の継続の意識ギャップに医療者と患者に差

◆「説明したこと」「説明されたこと」でギャップあるも、患者の28.4%「十分に理解できた」

◆医療者/患者の抗凝固療法の知識量・情報源にバラつき

◆再診時、患者の82%は医師もしくは薬剤師に服薬状況を確認されている

◆「アドヒアランス」「日常生活(食事も含む)」「費用面」が治療計画変更のきっかけに


抗凝固療法は、治療開始時にその目的・意義はもちろん、日常生活上や他科受診時などの注意など、多岐にわたる情報提供が必要となる。ところが、医療者が情報提供に割ける時間は短く、どうしても患者側にとって情報過多となってしまい、“総論”が理解されても、実践的な“各論”を詳細に伝えきれず、アドヒアランスが低下する要因の1つになることが推察される。さらに、こうしたコミュニケーションギャップは、医療者と患者の間にとどまらず、同じ医療者間でも起こっていることが今回の調査からわかった。心房細動患者の脳卒中予防に重要な役割を果たす抗凝固療法の実施において、患者に服薬を継続する動機づけを行うためには、複数回に分けて情報提供を行うなど、提供する情報の優先順位づけを行うとともに、医師は情報提供、薬剤師は服薬チェック、モニタリングを中心に行うなど、医療者側の役割分担を明確化し、チーム医療として患者に向き合うことが重要であろう。

【調査結果】

◆抗凝固療法の継続の意識ギャップに医療者と患者に差
医師の67.0%、薬剤師の56.0%、看護師の58.0%が「ギャップあり」と回答。患者の72.7%が「ギャップはない」と回答。
【医師・薬剤師・看護師・介護士】抗凝固療法を継続してもらうことについて、医療者(医師、看護師、薬剤師)と患者に意識のギャップはあると思いますか。
【患者・患者家族】抗凝固薬を飲み続けることについて、医療者(医師、看護師、薬剤師)と患者に意識のギャップはあると思いますか。

◆「説明したこと」「説明されたこと」でギャップあるも、患者の28.4%「十分に理解できた」
患者説明にかける時間は医師で平均9.0分、薬剤師で平均8.1分。医師の57.0%、薬剤師の72.7%が「飲み忘れた時のリスク」を説明するも、患者側は31.1%しか「説明されたと感じていない」。説明内容について、患者の28.4%が「十分に理解できた」と回答も、医師「十分に理解できていると思う」は10.0%。

◆医療者/患者の抗凝固療法の知識量・情報源にバラつき
抗凝固療法の知識量「かなり詳しく説明できる」:
心房細動のメカニズム 医師43.0%、薬剤師9.0%、看護師7.0%、介護士0%、患者10.0%。
抗凝固療法の目的 医師54.0%、薬剤師20.0%、看護師17.0%、介護士1.0%、患者15.3%。
抗凝固療法で気をつけるべき食事 医師48.0%、薬剤師26.0%、看護師17.0%、介護士2.0%、患者15.3%。

情報源:
医師、薬剤師「MR」「メーカー主催の講演会・勉強会」、看護師「病院内での勉強会・講演会」、介護士「同僚・友人・先輩後輩」が主。患者「インターネット」。服薬中断者は「家族・友人」「他の患者」の情報も重視する傾向。

◆再診時、患者の82%は医師もしくは薬剤師に服薬状況を確認されている
患者の服薬アドヒアランス「毎回必ず」「ほぼ毎回」確認する:医師75.0%、薬剤師63.0%、看護師49.0%、介護士31.0%。

◆「アドヒアランス」「日常生活(食事も含む)」「費用面」が治療計画変更のきっかけに
抗凝固療法についての質問・要望:患者「ある」36.7%。「食事についての注意」「日常生活について」「他の薬の選択肢」が多い内容。


【調査概要】
調査主体:株式会社QLife(キューライフ)
実施概要:
(1) 調査対象とサンプル数
  医師:100人/薬剤師:100人/看護師:100人/介護士:100人/患者:150人/患者家族:100人
(2) 有効回収数: 650人
(3) 調査方法:インターネット調査
(4) 調査時期: 2015/ 4/9~2015/4/14

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[QLife]
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