健康ニーズ基本調査2014(首都圏在住15~79歳男女対象) 

2015年04月02日
日本能率協会総合研究所は、2014年9月に、首都圏在住の15~79歳の男女個人を対象に、『健康ニーズ基本調査2014』を実施。本調査は、一般男女の健康に対するニーズを明らかにする総合的な調査ですが、この中から、下記のような実態が明らかになりました。

【調査結果概要】

◆太りたくない40代男女、将来の健康不安が拡大する50代男女、"いつまでも元気でいたい"と健康に気づかう70代男女。
男女とも、「太りたくない」は40代、「将来の健康には不安がある」は50代でピーク。「いつまでも元気でいたいので、健康には気づかっている」は、60代で半数超、70代では7割前後。

◆『ロコモティブシンドローム』は、この5年間で女性60代・70代・50代の注目集めて1割台に。
気になる健康用語に『ロコモ』を挙げる人は全体の6.5%に過ぎないものの、女性60代・50代では5年間で10ポイント以上増加、女性70代でも3年間で5ポイント以上増加。

◆男女60代・70代で、「乳製品を食べる」「肉を食べる」を実行する人が増加中。
「肉を食べる」は、12年から13年で5ポイント以上増加。12年から14年は男女とも70代で10ポイント以上、女性60代で15ポイント以上、男性60代で5ポイント以上増加。

◆家庭の食卓を担う女性40代・50代で、野菜・大豆・魚をバランスよく食べる和食中心の食行動が減少。
「魚を食べる」は、女性50代で02年54%から14年38%と15ポイント以上減少。「和食中心にする」は、01年から14年で女性40代が14ポイント、女性50代が16ポイント減少。

◆03年のテレビ主導の健康ブーム・06年のメタボブームの時は、特定の食品を食べて健康にと行動拡大、以降は縮小傾向。
平均回答数は03年の27.5項目、次いで01年の26.9項目、06年の25.2項目。03年は「ほうれん草」「にんじん」「豆類」「りんご」「緑茶」の5項目が前年から10ポイント以上増加した。

【調査結果】

◆太りたくない40代男女、将来の健康不安が拡大する50代男女、"いつまでも元気でいたい"と健康に気づかう70代男女。

健康についての考え方や行動について、年代別に見てみました。
「病気にならないため、やせたい・太りたくない」という意識は、男女とも40代がピークです。女性では10代・20代で「美容のため、やせたい・太りたくない」との考えが過半数と高く、40代で「病気予防」「美容」の両面でやせたい意識が強くなりますが、60代以降は体型への意識は少なくなります。
「将来の健康には不安がある」意識は、男女とも20代から50代にかけて急拡大し、50代が健康不安のピーク、60代になると不安は少し落ち着きを見せます。
「いつまでも元気でいたいので、健康には気づかっている」は、60代になると男女とも半数を超え、70代では7割前後に達します。健康を気づかうか聞いた設問でも男女とも60代・70代では気づかう人が8~9割と非常に高く、いつまでも元気でいたい、つまり、寝たきりや要介護にならないよう、いかに健康寿命を長くするかという長寿健康意識が、70代男女の健康を気づかう行動原理となっているものと思われます。

◆『ロコモティブシンドローム』は、この5年間で女性60代・70代・50代の注目集めて1割台に。

健康用語について52項目を挙げ、気になっているものを答えてもらいました。
全体では、『体脂肪』が6割を超えて1位、次いで『内臓脂肪』『デング熱』『有酸素運動』『基礎代謝』が4割弱で続きます。
一方、『ロコモティブシンドローム』は、加齢に伴う骨・関節・筋力などの様々な運動器の衰えや障害のことで、寝たきりや要介護の主要な原因となると、近年、注目を集めていますが、今回の調査では44位、年々徐々に増加していますが、全体の6.5%の人が気にしているに過ぎません。気になる健康用語としては、一般男女に浸透しているとは言えない状況です。
しかしながら、性・年代別に推移を見ると、女性60代・50代では5年間で10ポイント以上増加、女性70代でも3年間で5ポイント以上増加して、シニア女性では1割台半ばとなりました。男性50~70代でも増加傾向です。
要介護にならないために、健康寿命を維持したいと切実に願っている年代の男女で、『ロコモティブシンドローム』という健康用語は浸透しつつあるようです。

◆男女60代・70代で、「乳製品を食べる」「肉を食べる」を実行する人が増加中。

健康のために食生活で行っていることを聞いた中から、「乳製品を食べる」「肉を食べる」と回答した人を見てみました。
「乳製品を食べる」ことは、全体では34%の人が意識していました。10年から14年にかけては3割前後、11年が29%と最も低く、以降14年まで微増しています。シニア男女の推移を見ると、女性60代で11年から14年で26ポイント増加したほか、女性70代で12年から14年で15ポイント増加していました。
「肉を食べる」は、全体では20%、12年から13年にかけて5ポイント以上増加し、14年は高水準が続きました。これを12年から14年のシニア男女の推移を見ると、男女とも70代では10ポイント以上増加、女性60代では15ポイント以上、男性60代でも5ポイント以上増加しており、この3年間で急速に意識され始めたことが分かります。
長寿健康意識が強い年代の男女では、「乳製品」「肉」といったたんぱく質をきちんと食べる意識が高まっています。『ロコモティブシンドローム』という言葉自体よりも、筋肉などの運動器を維持して健康寿命を伸ばそうという考え方が広まりつつあると推測されます。

◆家庭の食卓を担う女性40代・50代で、野菜・大豆・魚をバランスよく食べる和食中心の食行動が減少。

健康のために食生活で行っていることを聞いた中から、家族の食事を担う女性40代・50代の回答の01年からの推移を見てみました。
「野菜を多く食べる」は女性40代・50代とも01年では7割を超えていましたが、6割前後となっています。
「バランスのよい食事」は、女性40代で01年の64%から14年45%と18ポイント減少しています。
「魚を食べる」は、女性50代で02年54%から14年38%と16ポイント減少しています。
「大豆など植物性たんぱく質を食べる」は、01年から14年で女性40代が15ポイント、女性50代が28ポイント減少しています。
「和食中心にする」は、01年から14年で女性40代が12ポイント、女性50代が14ポイント減少しています。
野菜・大豆・魚などをバランスよく食べる和食中心の食行動は、家庭の食卓を担う女性40代・50代では減少傾向といえます。従来から健康にいいとされてきた日本型食生活は、21世紀になってから一般家庭の食卓では徐々に少なくなってきている様子です。

◆03年のテレビ主導の健康ブーム・06年のメタボブームの時は、特定の食品を食べて健康にと行動拡大、以降は縮小傾向。

食品・飲料160項目を挙げて、健康のために食べているものを聞きました。そのうち、01年から14年まで比較できる100項目について、その何項目を選択したかの平均回答数を時系列比較したのが下記グラフです。
平均回答数が最も多かったのが03年の27.5項目、次いで01年の26.9項目、06年の25.2項目でした。07年以降は平均回答数が徐々に減少し、11年以降は20項目を下回る低水準が続いています。
03年は「ほうれん草」「にんじん」「豆類」「りんご」「緑茶」の5項目が前年から10ポイント以上増加しているなど、特に様々な食品について健康を意識して食べる人が多かった年でした。この03年前後の時期はテレビの健康情報番組が大人気で、○○が××予防にいいと番組で紹介された食品が翌日のスーパーの棚から消えるという社会現象が話題になりました。テレビ主導の健康ブームと言えます。
06年は『メタボリックシンドローム』が話題になった年です。お腹が出ているのを気にして食生活を注意する人が増え、その分健康のために特定の食品を食べる意識も強くなったようです。
その後、メタボブームも終わりを告げ、テレビ主導の健康ブームが去って10年以上が経過し、健康のために特定の食品を意識して食べるという行動は低迷していたと言えます。
そのような中、14年では「ヨーグルト」が5ポイント以上増加しました。特定の菌に効果があると話題になり、菌の機能性が消費の拡大につながりました。4月から食品の機能性表示解禁が始まりますが、様々な食品において健康のための消費拡大に結びつくのかが期待されています。


【調査概要】
調査対象:首都圏在住の15~79代の男女個人
調査方法:日本能率協会総合研究所「モニターリサーチ・システム」利用によるFAX調査
有効回収数:1,249人(発送数1,800人、有効回収率69.8%)
調査実施日:2014年9月25日(木)~30日(火)
※時系列比較では、過去の調査対象と揃え、10~60代計(有効回収数1,055人)で分析しました。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本能率協会総合研究所]
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