「高齢者の地方移住」意識調査(首都圏在住の65歳以上男女対象) 

2015年07月01日
オウチーノは、首都圏在住の65歳以上の男女522名を対象に、「高齢者の地方移住」に関するアンケート調査を実施した。

オウチーノは、民間有識者で構成する、日本創生会議(座長:増田寛也 元総務大臣)が2015年6月5日に公表した「東京圏高齢化危機回避戦略」に含まれる「高齢者の地方移住」に着目。すでに医療、介護のサービスで、他の地域から高齢者の移住を受け入れる余力があるとする41の移住候補地も公表され具体性を帯びてきているが、当事者である高齢者たちは、この提言に対してどのような反応を見せるのだろうか。

【調査結果】

「地方移住したいと思わない」が83.3%

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県の高齢化問題が深刻になっている。日本創生会議がまとめた資料によると、今後10年で介護需要が45%増える一方、約13万人分の介護施設が不足すると推定される。それを解決させるため、日本創生会議が公表した対策の1つが「高齢者の地方移住」だ。実際、当事者はこの「地方移住」についてどう考えているのだろうか。
まず、『高齢者の地方移住』の提言を受けて、「あなたは当事者として、地方に移住したいと思いますか?」と聞いたところ、「移住したいと思う」は16.7%。「移住したいと思わない」は83.3%だった。「移住したいと思わない」を選択した理由をみると、「旅行はよくても住むのはまた別だから」「実際に移住して初めて分かることが多いと思うので不安」といった意見の他、「東京以外考えられない」「移住する気はない」と、この地域移住に対して眉をひそめる様子もうかがえた。

日本創生会議公表の「移住候補地」、人気No.1は沖縄県宮古島市、No.2は石川県金沢市。

日本創生会議は、医療、介護のサービスで、他の地域から高齢者の移住を受け入れる余力があるとする41地域も提示している。万が一、この提言にある程度の強制力が加わり、高齢者が地方へ移住しなくてはならなくなった場合、当事者は、移住候補地からどこを選ぶのだろうか?

結果、最も多くの人が選んだのは、沖縄県宮古島市で37票だった。第2位は石川県金沢市で29票、第3位は岡山県岡山市で26票、第4位は和歌山県和歌山市で23票、第5位は愛媛県松山市で22票だった。上位の地域を選択した理由を聞くと「気候風土とも良いと思うから」「災害が少ないから」という回答が過半数を占め、暮らしやすさをとる高齢者が多い傾向となった。

一方、ランキング下位を見ると、青森県青森市が4票、北海道北見市が3票、北海道旭川市が2票と、寒冷地域は不人気だった。また「生まれ故郷なので自分は問題ないが、妻はその地に思い入れがないので移住したがらないだろう」という声も聞かれた。やはり「地方移住」は、自分1人では片づけられない問題であることも、ハードルを上げているのかもしれない。

「何が解決されても地方移住は考えられない」は、43.3%

最初の質問で、「移住したいと思わない」と回答した83.3%の方に、「何が解決すれば地方移住を考えられますか」と質問した。最も多かった回答が「何が解決されても地方移住は考えられない」で43.3%であった。続いて、「医療や介護施設が充実しているなら地方移住を考える」が26.3%、「住居費などお金の問題が解決されるなら地方移住を考える」が18.8%、「友人・知人と一緒に地方移住できるなら考える」が11.6%だった。将来訪れるであろう、首都圏の介護施設不足の回避策として「高齢者の地方移住」は合理的な考え方なのかもしれないが、当事者たちの理解を得るにはまだまだ課題が多そうだ。

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[オウチーノ]
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