BEPS行動計画に関する調査(グローバル調査) 

2015年11月02日
トムソン・ロイターの税務・会計部門が実施した調査によると、企業の税務部門および移転価格を担当する役員の4人に1人がOECD(経済協力開発機構)によるBEPS行動計画の対応期限に間に合わないだろう、と答えています。(*BEPS : 「税源浸食と利益移転」)

G20参加国の財務相がOECDに対し策定を要請していた国際租税ルール改革/利益移転(BEPS)行動計画は、10月8日にペルー、リマで開かれたG20財務大臣会合において承認されています。
新行動計画が正式に採択される前から英国、オーストラリア、スペイン、メキシコ、オランダ、ポーランド、韓国、シンガポール、中国を含む国々ではBEPS行動計画の基本理念を反映した法人税および移転価格に関する新たな規則が提案されています。 

トムソン・ロイターの調査では、欧州の企業が他地域の企業と比較してBEPS計画においてより熱心に注力していることが明らかになりました。在欧州企業の回答者の半数以上(59%)がBEPS対応に関して積極的に準備していると答えたのに対し、米州、アジア太平洋の企業では48%となりました。
加えて、欧州では週単位で2~15時間相当をBEPS関連業務に費やしている企業が47%にのぼりましたが、アジア、米州の企業では26%と低くなりました。

このような地域間の格差については、米国ではOECDの勧告に関して議会においての議論があまりされていない一方、欧州ではBEPS関連の政策活動がより多く実施されていることも一因と言えます。
BEPS対応の実施では、欧州が世界全体を牽引しています。本調査全回答者の19%がOECDの議論の草案に対して意見を提出した、と答えた一方で、欧州の企業では45%が意見を提出しています。
BEPS行動計画に関する社内での議論においても地域間の差は見られます。全体としては、全回答者の55%が自社の役員と問題点などを話している、と答えていますが地域別でみると米国企業においては39%、対して欧州の企業においては63%と高くなっています。

ほとんどの回答者が、移転価格に関する要件、特に書類提出と各国ごとの報告要件がBEPSの全ての行動において最大の懸念事項であると考えています。世界全体では、国別報告の最初の期限日である2017年12月31日までに各国の国別分析を完了すると回答したのは74%になります。

加えて、回答者の2/3が自社のITシステムは移転価格関連の文書化とは統合されていないと回答していますが、問題点が露呈されBEPS導入後の世界において議論する必要性があると言えます。また、回答者の半数が、新しい移転価格の書類提出要件において遵守しなければならない重要な社内合意事項・税務規則のセントラル・データベースが無い、と回答しました。

また、グローバル規模での調査に合わせて、この度 日本企業を対象に日本での追加調査も実施いたしました。 その結果から、日本企業の対応・現状に関する特徴 また グローバル市場との相違点がいくつか明らかになりました。

・ BEPS行動計画に率先して対応している日本企業は29%(vs 54%(グローバル平均))。日本では50%の企業が他社動向を見てから検討(当面は様子見)と回答した。
・ 76%の日本企業は、BEPS対応について経営陣と相談済み。 ただし、BEPS対応も含めた今後の人員増加計画は、42%が「無し」と回答。グローバル調査で「人員増加の計画無し」との回答は、24.9%で日本企業と比較して積極的な人員の手当てが検討されている。
・ 日本企業の経営層は、「BEPS対応に関する認識」という点では欧州企業同様の高い割合で認識されているものの、積極的な税務戦略の構築や組織への投資はまだ実施されていない、という傾向が見られた。

(注.本調査(グローバル版)はユーロマネーと共同で2015年6月に実施され、35ヵ国・20以上の業種に渡る総勢180名の税務担当者から回答を得ました。)
(注.日本市場での追加調査の総回答数は24企業となります。)

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