日本の中堅企業235社の財務責任者を対象とした意識調査 

2015年11月12日
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.は、日本の中堅企業(年間売上規模が約5億円以上200億円未満)を対象とする「中堅企業調査レポート2015」を発表。

調査の結果、会社の成長ステージを「転換期」(次の事業戦略を実行へ移すステージ)であると実感している 中堅企業が48%となり、半数近くが過渡期を迎えている様子が分かりました。「安定期」(28%)と合わせると76%に上り、日本の中堅企業が全体的に成熟していることがうかがえます。

日本経済全体が不景気からの回復基調にあるといわれ、2020年に向けて新たなビジネスチャンスが期待される中、60%の中堅企業が「同業界における競争優位性がある」と回答し、76%が今後3-5年、「競争優位性を維持できる」との実感を示し、自社の強みや競争力への自信がうかがえました。

一方、景況感には厳しい見方が多く、課題として「世代交代期における人材育成」、具体的なリスクとして  「国内マーケットでの生き残り」が多く挙がりました。こうした中、財務責任者が担う役割にも変化が見られ、責任範囲と経営への影響力がより増していることが分かりました。

【調査結果】

1.中堅企業の全体像

■中堅企業の半数近くが「転換期」(次の事業戦略を実行へ移すステージ)
会社の成長ステージを「創業期」「成長期」「安定期」「転換期」とし、実感を尋ねたところ、「転換期」(次の事業戦略を実行へ移すステージ)(48%)との回答が半数近くと最も多く、次ぐ「安定期」(28%)と合わせると76%に上り、日本の中堅企業が全体的に成熟し、その多くが変化を必要としていることが分かりました。

■大きな景気改善の実感はなく、今後も楽観視していない
3-5年前から現在に至る景況感について、「以前より改善」(44%)との回答が最も多かったものの、「以前と変わらない」(34%)、「以前より悪化」(23%)を合わせると57%となり、日本経済全体としては不景気から回復基調にあるといわれる中、中堅企業では改善の実感が必ずしも強くはないことがうかがえます。今後3-5年間の見通しについては「現状と変わらない」(42%)、「現状より悪化」(20%)となり、5年後の2020年に向け多くのビジネスチャンスが期待される中、中堅企業の多くは楽観視していないことが分かりました。

■国内での生き残りに強い危機感
具体的なリスクとしては「国内の既存競合会社」(45%)が最も多く、次いで「国内経済状況」(40%)と、国内マーケットでの生き残りへの厳しい実感がうかがえました。これらのリスクについて80%が「非常に」または 「ある程度」重大なリスクであると回答し、強い危機感が浮かび上がりました。インタビュー調査では2020年の東京オリンピック開催への期待とともに、その後の反動を危惧する回答(建設・不動産・物流関連)も聞かれました。

2. 中堅企業の競争優位性

■自社の強み・競争力を維持する自信がある
将来を決して楽観視しない中堅企業の姿が分かりましたが、どのように勝ち残っていくのかを尋ねた質問からは、自社の強みや競争力への自信を持っており、また、積極的にリスクを取る姿勢が見られました。

自社の競争優位性は「製品やサービスの質、差別化」(52%)が最も高く、次いで「スキルや能力を持った人材」(38%)、「カスタマーサービス」(26%)となりました。全体の60%の中堅企業が「同業界における競争優位性がある」と回答したほか、76%の企業が今後3-5年、その「競争優位性を維持できる」と感じています。マーケットを見る目は決して楽観的ではないものの、事業の核となる商品やサービスについては自信を持っており、またそれを支えるコアな人材がいる企業が多いことが分かりました。

一方で、「業務プロセス・システム・オペレーションの効率化」(19%)、「テクノロジーの活用」(18%)、「マーケティング・販売チャネル」(16%)といった項目に強みを持っていると回答した企業は比較的少数でした。IT化や マーケティングといった仕組み作りまでは手が回っておらず、中堅企業の共通の課題となっていることがうかがえます。

少子高齢化などのマクロな社会変動、ミクロ環境としての市場/顧客ニーズへのきめ細やかな対応など、さまざまな外部環境要因が経営を左右するといわれるなか、インタビュー調査では、「東京オリンピックで物流が活発になれば自社のビジネスも増える」(製造業)、「マイナンバー制度はチャンス」(IT関連)など、外部環境の変動を踏まえた機会の発見や、きめ細かいニーズの拾い上げにより自社ビジネスの幅を広げ、成長につなげようとする企業の姿も見られました。

■積極的にリスクを取っていく姿勢
ビジネスに関する取り組みを決断する際の姿勢として、「進んでリスクを取る」(17%)、「多少のリスクは取る」(46%)となり、6割以上の財務責任者に積極的にリスクを取る姿勢がみられました。

3. 「将来を見据えた戦略」への取り組み

■「将来を見据えた戦略」への注力度が増している
事業を継続的に成長させるための「将来を見据えた戦略」に1年前よりも注力するようになった企業は全体の75%と非常に多く、中堅企業にとって中長期的な取り組みは重要性が高いことが分かりました。

■現状、最も取り組まれているのは「組織改革」
本調査の結果から、自社の中長期的な優先事項として、大きく ①「組織・人事」に関する取り組みと、②「事業」に関する取り組みの2つに分けることができました。過去1年間では「組織改革」(34%)への取り組みが最も高く、次いで「取扱製品・サービスの多様化」(31%)、「新規事業への参入」(29%)、「次世代幹部の登用」(29%)となりました。

■「世代交代」に直面する中堅企業。今後は「次世代幹部の登用」と「人材育成」が課題
先に記載の通り、76%が「安定期」「転換期」にある成熟した日本の中堅企業では、「代替わり・世代継承」が課題となっているようです。回答企業の社長について、「創業者2代目以降」(32%)が最も高く、次いで「創業者1代目」(29%)となり、半数以上がオーナーもしくはその親族で占められていることが分かりました。

今後1年間で取り組みたい将来を見据えた戦略は、「次世代幹部の登用」(31%)が最も高く、次いで「組織改革」(30%)、「取扱製品・サービスの多様化」(29%)、「新規事業への参入」(26%)となっており、事業継承を含め、組織づくりに対する取り組みへの意欲が高いことがうかがえます。

「代替わり・世代継承」の課題についてのインタビュー調査では、特にオーナー会社では創業者のカリスマ性・リーダーシップが強い様子がみられました。親会社から独立した会社でも、独立時のビジネスリーダーの人望が厚く、従業員がそれについてきたかたちも見受けられました。

創業者・リーダーの持つ強いリーダーシップは、会社を存続させてきた原動力とみなすことができますが、一方で創業者・ リーダーに長く頼ってきた会社ほど次世代幹部が育っておらず、経営を継承する人材確保・育成が課題となっていることが分かりました。

4. 財務責任者の役割

■財務責任者の責任範囲が広がり、役割が多様化
財務責任者の役割がここ1~2年で変化したと回答した中堅企業は全体の34%で、変化した点として「責任範囲が広がった」(69%)、「結果を求められるようになった」(46%)、「役員会での発言権が増した」(26%)が挙げられ、従来の計数管理だけではなく、業務範囲や求められる役割が多様に広がり始めていることがうかがえました。加えて、「世代交代」の課題に直面する中堅企業では、代替わりした社長がまだ経験不足の場合、財務責任者が教育係を務めたり、後進育成のための人材育成をも担っているケースも見られました。


「中堅企業調査レポート2015」について
本調査は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.が、日本の中堅企業を対象に実施した「ビジネスに関する調査」です。環境変化の下で、中堅企業の経営はどんな課題にチャレンジしているか、将来に向けてどんな取り組みをしているか、などを明らかにするためのアンケート調査を実施したほか、財務からの視点を詳しく捉えるため、10名の財務責任者の方々に個別インタビューを実施したものです。

【調査概要】
調査方法:オンライン調査およびインタビュー形式
調査対象:経営者、財務・経理責任者など
サンプル数:定量調査/235名、定性調査/10名(年間の売上規模が約5億円以上200億円未満の企業を対象)
調査地域:定量調査/全国 定性調査/首都圏
実施期間:2015年7、8月
調査協力:株式会社 カンター・ジャパン

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