「定年退職後の夫婦の生活」意識調査(50代60代夫婦対象) 

2016年03月15日
野村不動産アーバンネットは、「定年退職後の夫婦の生活」意識調査を実施。
定年退職を意識し始める年代である50代、60代が働く環境は、今、大きく変化しています。2013年の「高年齢者雇用安定法」の改正では、「原則、希望者全員を65歳まで雇用」を義務づけました。厚生労働省の「2015年 高年齢者の雇用状況」集計では、60歳定年の企業における定年到達者のうち、継続雇用された者は82.1%に達します。一方では、役職定年制を導入する企業も増えて、50代から働き方が大きく変わる会社員も増えつつあります。

このように働き方が大きく変化する50代60代ですが、家庭に目を向けると、子供の独立、親の高齢化、実家の相続など、家族や住まいにも変化が起こる年代です。
そこで、住みかえのサポートを行う、野村不動産アーバンネット「野村の仲介+(PLUS)」では、サラリーマンと元サラリーマン世帯(配偶者は専業主婦またはパート・アルバイト)の50代60代夫婦を対象に、「定年退職後の夫婦の生活」意識調査を実施しました。夫と妻の意識の差、定年退職前と定年退職後の意識の差などに着目した調査結果をご報告します。

【調査結果】

【調査結果1】 定年後のイメージについて
~妻は夫よりも、定年退職後の生活にネガティブなイメージを持っている~


定年退職後の具体的なライプラン(人生設計)を持っているという回答は、夫 37.5%、妻は 27.5%にとどまりました。

また、定年退職後の生活イメージを 30 項目から選択してもらったところ、ポジティブな項目では 14 項目中 13項目で、夫の回答が妻よりも多い結果となりました。特に大きな差がみられたのが、「自分」に関する項目です。
定年後「自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう」は、夫の 48.5%がイメージしているのに対し、妻は27.7 %となり、「自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう」とイメージする方は、夫が 37.2%に対し、妻は 18.6%となりました。
一方、ネガティブな項目では、16 項目中 14 項目で、夫より妻のほうが多くイメージしています。「親の介護など時間が増えそう」は妻の 40.0%がイメージするのに対し、夫は 23.9%、「病気や体力の衰えなど健康面での不安が増えそう」は妻の 71.2%がイメージするのに対し、夫は 57.4%となりました。
長いサラリーマン生活から一転、新たな生活への期待感を感じている男性に対し、女性は、より現実的な心配事が頭に浮かんでいるようです。さらに、女性からは、「生活リズムが変化しそう」と「漠然とした不安がありそう」がともに6割を超える回答となっていて、これまでの日常に『夫』が加わってくることでの変化が想像できず、戸惑っていることがうかがえます。

Q 定年退職後の生活についてどのようなイメージをお持ちですか
全 30 項目からイメージするものを選んでいただきました。(複数回答・無制限)

全体(夫・妻)ランキング TOP5
1位 夫婦で一緒に過ごす時間が増えそう
2位 病気や体力の衰えなど健康面での不安が増えそう
3位 年金の支給額への不安がありそう
4位 生活リズムが変化しそう
5位 生活費や医療費など経済面での負担が増えそう

■定年後のイメージ ~ポジティブな回答項目 TOP10

夫ランキング
1位 夫婦で一緒に過ごす時間が増えそう 66.2%
2位 夫婦で旅行に行く機会が増えそう 55.3%
3位 自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう 48.5%
4位 夫婦の会話が増えそう 44.3%
5位 健康寿命を延ばす様々な取り組みを始めそう 39.5%
6位 自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう 37.2%
7位 DIYやガーデニングにもっと時間を使えそう 35.6%
8位 孫や子どものために時間を使えそう 31.7%
9位 夫婦の仲がより良好になりそう 29.3%
10位 友人・知人との交友をさらに深められそう 29.0%

妻ランキング
1位 夫婦で一緒に過ごす時間が増えそう 68.3%
2位 夫婦で旅行に行く機会が増えそう 52.9%
3位 夫婦の会話が増えそう 39.5%
4位 健康寿命を延ばす様々な取り組みを始めそう 36.1%
5位 自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう 27.7%
6位 友人・知人との交友をさらに深められそう 26.1%
7位 DIYやガーデニングにもっと時間を使えそう 23.5%
8位 夫婦の仲がより良好になりそう 22.8%
9位 孫や子どものために時間を使えそう 20.4%
10位 自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう 18.6%

■定年後のイメージ ~ネガティブな回答項目 TOP10~

夫ランキング
1位 年金支給額への不安がありそう 58.9%
2位 病気や体力の衰えなど健康面で不安が増えそう57.4%
3位 生活費や医療費など経済面での負担が増えそう50.8%
4位 生活リズムが変化しそう 49.5%
5位 漠然とした不安がありそう 48.9%
6位 家事の時間や量が増えそう 29.6%
7位 社会との繋がりが減ってしまいそう 29.4%
8位 再就職できるかどうかに対する不安がありそう 28.5%
9位 配偶者との死別に対する不安がありそう 26.7%
10位 再就職できるかどうかに対する不安がありそう 29.4%
11位 親の介護など時間が増えそう 23.9%

妻ランキング
1位 病気や体力の衰えなど健康面で不安が増えそう 71.2%
2位 年金支給額への不安がありそう 67.8%
3位 生活リズムが変化しそう 61.0%
4位 漠然とした不安がありそう 60.2%
5位 生活費や医療費など経済面での負担が増えそう59.1%
6位 親の介護など時間が増えそう 40.0%
7位 配偶者との死別に対する不安がありそう 36.9%
8位 家事の時間や量が増えそう 32.8%
9位 定年退職による喪失感がありそう 29.6%
10位 再就職できるかどうかに対する不安 29.4%
10位 子供・孫の将来に対する不安がありそう 29.4%

【調査結果2】 夫婦円満の秘訣について
~夫婦生活の幸福を実感できる3つの習慣は、「できるだけ会話をする」「一緒にご飯を食べる」「相手を尊重する・思いやる」~


「人生 80 年時代」の今、定年退職後のセカンドライフは長くなっています。夫婦 2 人で過ごす時間が増えるセカンドライフに向けて、夫婦円満の秘訣をお聞きしました。
夫婦の暮らしをより充実させるためにやっていることのトップ3は、1 位「相手を束縛しない」、2 位「お互い干渉しない」、3 位「相手を尊重する・思いやる」となり、いずれも相手を気遣う行動が上位となりました。続く4位は「一緒にご飯を食べる」、5位は「できるだけ会話をする」でした。
今回の調査に合わせて夫婦 2 人の生活の幸福度をお聞きしたところ、10 点満点中、平均点は 6.8 点となりました。
そこで、幸福実感度が高い(平均以上の)人夫婦と、低い(平均以下の)人夫婦の回答を比べたところ、幸福実感度が高い夫婦は、低い夫婦に比べて、「できるだけ会話する」「一緒にご飯を食べる」「相手を尊重する・思いやる」を 20 ポイント以上行っていることがわかりました。
一方で、幸福実感度が低い人に目立つ行動は、「お互い干渉しない」「なるべく耐える・我慢する」「文句を言わない」「寝室を別にする」などでした。個を重視するあまりコミュニケーション不足に陥ると、幸せの実感が得られないということかもしれません。過度の干渉・束縛は禁物ですが、言いたいことを言い合える関係を保つのが夫婦円満の秘訣かもしれません。

Q 夫婦の暮らしを充実させるために行っていることは。(複数回答・無制限)

全体ランキング TOP5
1位 相手を束縛しない
2位 お互い干渉しない
3位 相手を尊重する・思いやる
4位 一緒にご飯を食べる
5位 できるだけ会話する

幸福実感度が高い夫婦のランキング
1位 相手を尊重する・思いやる 52.5%
2位 一緒にご飯を食べる 51.9%
3位 できるだけ会話する 49.4%
4位 相手を束縛しない 49.3%
5位 お互い干渉しない 41.4%
6位 相手の話をよく聞く 41.3%
7位 適度な距離感を保つ 36.2%
8位 常に感謝の心を持つ 32.1%
9位 お互いのプライバシーを尊重する 29.8%
10位 相手にあまり多くを望まない 29.5%

幸福実感度が低い夫婦のランキング
1位 お互い干渉しない 51.5%
2位 相手を束縛しない 44.3%
3位 適度な距離感を保つ 32.3%
4位 相手にあまり多くを望まない 31.8%
5位 相手を尊重する・思いやる 24.2%
5位 一緒にご飯を食べる 24.2%
7位 お互いのプライバシーを尊重する22.8%
8位 なるべく耐える・我慢する 21.7%
9位 できるだけ会話する 20.8%
10位 寝室を別にする 19.9%

【調査結果3】 定年準備について
~退職準備の3つのお役立ちキーワードは、「住まい」 「趣味」 「健康」~


定年退職に向けて、①準備していること、②準備しておけば良かったこと、③実際に準備したことは役に立ったか、をお聞きしました。
①と②を比較すると、「準備しておけば良かったと後悔する人が多いが、準備している人は少ない」ことは、「退職金の金額の確認」「新しい趣味を作る」「新しく何かを学び始める」という項目だということがわかります。退職後の生活への備えに加えて、定年後の時間を有意義に使うための選択肢を広げるための準備も大切なようです。なお、「新しい趣味を作る」「新しく何かを学び始める」は、③でも上位に入っています。
③については、すべての項目において「役立った」という回答が 5 割以上となりました。特に「役立った」という回答が多かったのは、「住まい」に関すること、「新しい趣味・学び」に関することでした。実際に「準備できた」人は少数でしたが、行動を起こした方は、「役立った」ことを実感しています。
また、「健康」に関することは、健康保険や医療保険の再確認などの金銭面でのケアに加え、身体のケアも欠かせません。定年退職に向けて金銭面での備えをしている方も多いですし、役立ち度では「健康寿命を延ばすための準備」が上位に入っています。

①<定年退職前の 50 代 60 代夫に聞きました>
Q 定年退職に向けて、準備していることはなんですか。(複数回答・無制限)

① 定年退職後に向けて準備していること
1 位 年金見込み額の試算 37.7%
2 位 特になし 33.5%
3 位 自分の病気、健康状態のチェック 30.3%
4 位 退職金の金額の確認 27.8%
5 位 株式投資・運用 21.2%
6 位 住宅ローンなどの確認 20.7%
7 位 医療保険の保障内容の確認 20.1%
8 位 定年退職後の就職活動(再就職)の検討 16.5%
9 位 定年退職後に加入する健康保険制度の検討 14.7%
10位 健康寿命を延ばすための準備 14.4%
・・・
12位 新しい趣味を作る 12.8%
・・・
17位 新しく何かを学び始める(資格取得など)7.3%

②<定年退職後の 50 代 60 代夫に聞きました>
Q定年退職に向けて、準備しておけばよかったことはなんですか。(複数回答・無制限)

② 定年退職前に準備しておけばよかったこと
1位 年金見込み額の試算 44.7%
2位 退職金の金額の確認 39.3%
3位 新しい趣味を作る 31.1%
4位 特になし 25.7%
5位 自分の病気、健康状態のチェック 25.2%
6位 定年退職後に加入する健康保険制度の検討 23.3%
6位 定年退職後の就職活動(再就職)の検討 22.3%
8位 医療保険の保障内容の確認 16.5%
9位 新しく何かを学び始める(資格取得など) 16.0%
10位 失業手当の金額の試算 15.5%

【調査結果4】 定年後の住まいについて
~定年したからこそ住みかえたくなる3つの理由は、「バリアフリー」 「子供との近居」 「今の家が広すぎる」~


定年退職前では 31.4%だった夫婦 2 人世帯が、定年退職後には 62.9%と 6 割を超えました。50 代 60 代は、夫の働き方の変化に加え、子供の独立等で、夫婦 2 人で過ごす時間が長くなることがうかがえます。
家族の変化は、住まいにも大きく影響します。今回の調査で、住みかえを検討される方は、定年前で 15.1%、定年後で 9.2%でしたが、近年、60 歳以上で住みかえをされる方は増えています(当社調べ)。
そこで、住みかえを検討している方に、その理由もお聞きしたところ、「バリアフリーなど老後に住みやすい住宅に移りたいから」「子供の家の近くに住みたいから」「今の家が広すぎるから」という理由が定年退職後から増えているのが目立ちました。

<住みかえ検討者に聞きました>
Q あなたが住みかえを検討しているのはなぜですか。(複数回答・無制限)

定年前の夫婦のランキング TOP10
1位 家が老朽化しているから 33.1%
2位 もっと生活に便利なところに住みたいから 22.4%
3位 バリアフリーなど老後に住みやすい住宅に移りたいから 17.2%
4位 もっと駅に近いところに住みたいから 16.4%
5位 住宅の種別を変えたいから(例:マンションから一戸建てへの変更など) 14.8%
6位 もっと広い家に住みたいから 13.1%
7位 もっと住宅設備が良いところに住みたいから 12.3%
8位 もっと自然環境が良いところに住みたいから 11.7%
9位 あてはまるものはない 10.7%
10位 今の家が広すぎるから 10.1%

14位 子供の家の近くに住みたいから 3.3%

定年後の夫婦のランキング TOP10
1位 家が老朽化しているから 34.0%
2位 バリアフリーなど老後に住みやすい住宅に移りたいから 28.2%
3位 今の家が広すぎるから 16.5%
4位 もっと生活に便利なところに住みたいから 15.5%
4位 もっと駅に近いところに住みたいから 15.5%
6位 子供の家の近くに住みたいから 13.6%
7位 住宅の種別を変えたいから(例:マンションから一戸建てへの変更など) 12.6%
8位 もっと住宅設備が良いところに住みたいから 11.7%
9位 もっと自然環境が良いところに住みたいから 9.7%
10位 あてはまるものはない 7.8%


【調査概要】
・調査名称:「定年退職後の夫婦の生活」意識調査
・調査時期:2015 年 10 月 30 日~2015 年 11 月 1 日
・調査対象:首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府)に在住のサラリーマン・元サラリーマン世帯(妻は専業主婦またはパート・アルバイト)の 50代 60代の夫婦
・有効回答数: 2,060 人
・調査方法:インターネット上でアンケート回答

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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