2017年3月卒業予定者採用動向調査(全国の企業対象) 

2016年04月01日
学情は企業の2017年卒学生に対する採用計画・傾向を明らかにするため、『2017年3月卒業予定者 採用計画アンケート』を全国の企業および団体を対象に実施しました。

【調査結果】

採用予定数と採用難易度について
採用予定数は増加傾向。
採用難易度は難化予想が64.1%だが前年度よりも余裕が見られる。

2017年卒の採用予定数は前年度と比較して「昨年並み」(56.2%)が半数を占めるものの、「増やす」(23.1%)が「減らす」(5.5%)を17.6ポイント上回った。少子化が進む中、若手人材確保は多くの企業において至上命題であり、2016年卒採用に続いて各社の採用意欲は旺盛だ。

採用難易度の見通しについては、難化を予想する企業が64.1%(「難しい」(33.8%)+「やや難しい」(30.3%)の合計)に及ぶが、前年度の78.1%を14.0ポイント下回った。採用広報解禁が「3月1日」となって2年目、前年度の経験に基づいた採用戦略が立てられるため幾分余裕が出たことがうかがえる。さらには経団連発表の「採用選考に関する指針」の改定により、選考解禁日が「8月1日」から「6月1日」へと2ヶ月繰り上げになったことで、大手企業の内々定出しが一区切りし、一定数内々定辞退が出たとしてもカバーし得るだけの時間的猶予があることも理由の一つだろう。もっとも、採用難易度として最も多く挙げられたのが「難しい」という回答であり、依然として厳しい状況が続くと予測する企業が多い。

文理別で見ても「難しい」と予測する企業が多いが、「難しい」+「やや難しい」の合計を前年度と比べると、文系採用では11.5ポイント減の58.1%、理系採用では10.6ポイント減の66.3%となり、難化を予想する企業の割合は前年を下回っている。文理間で「難しい」だけを見ると、文系採用は27.9%である一方、理系採用は40.7%と12.8ポイントの差が生じている。理系学生の卒業研究や学会発表などが集中する夏休みに入る前に一定数の学生確保が求められる理系採用は、より難しいという予想がされている。

採用スケジュールについて
3月広報開始は守られるも、選考開始は3~4月、内々定出し開始は4~6月がピークに。

各社の採用スケジュールについて、企業セミナーの開始時期は3月が57.8%と過半数であり、前年度同様3月1日の採用広報解禁を皮切りに順次実施されていく状況だ。3月より前にセミナーを実施する企業は10%未満であり、セミナーに関しては「採用選考に関する指針」に則ったスケジュールで実施する企業が大半である。

一方、選考については指針の改定により「6月1日以降」となったが、6月以降に選考を開始する企業は17.4%に留まる。3月が前年度比4.1ポイント増の31.9%、4月が同0.9ポイント増の32.1%となり、前年度よりも選考開始を早める傾向が見られる。内々定出しの開始時期は4月が23.2%、5月が27.8%、6月が25.5%と、この3ヶ月間に集中している。選考解禁日が2ヶ月早まったとは言え、正直に6月選考スタートを守っていては優秀な学生確保に至らず、指針は脇に置いて2017年卒採用に臨もうという各社の思いが強くうかがえる。

「採用選考に関する指針」に基づいた広報・選考開始時期について
3月広報開始は遵守予定が多数派だが、選考開始は6月より早く実施が多数派に。

「3月広報開始」については、「遵守する予定」が66.5%と3分の2を占めた。ただし前年度より1.5ポイント減少、逆に「3月より早く広報をする予定」(16.6%)は同2.9ポイント増となった。3月広報開始2年目、遵守せず早期から活動する企業の増加が見て取れる。「6月選考開始(前年度は8月選考開始)」については「遵守する予定」が同1.5ポイント増の19.2%。「8月では広報開始から選考までの期間が長すぎて守れないが、6月であれば妥当」と考える企業も一定数いるようだ。前述の選考開始時期に関する設問でも、「8月選考開始(16卒)」=10.3%だったものが、「6月選考開始(17卒)」=12.6%と、2.3ポイント増加している。

一方で「6月より早く選考をする予定」も増加しており、同2.6ポイント増の62.0%。選考については前年度の活動の反省を踏まえ、6月という縛りは気にせず、新たに構築した採用戦略に基づいて動くという企業が多数派だ。それを裏付けるかのように、「選考開始時期の変更をどう思うか」という設問では「6月以前から選考をするので気にしない」(28.0%)が最も多く挙げられた。この設問では「広報開始からの時間が短くなり企業理解が進まない」(21.7%)、「広報開始からの時間が短くなり効率がよい」(20.7%)がそれに次ぎ、広報開始からの期間短縮を懸念する声と歓迎する声が同程度挙げられた。

インターンシップ実施状況について
インターンシップは3割を超える企業が実施。
 広報ツールとしての活用度合がいっそう強まる。

前年度より、主に学生の長期休暇期間を利用し、採用広報解禁日までに各社が注力しているものがインターンシップだ。2017年卒学生を対象とするインターンシップ実施状況は「実施している」が30.1%。前年度の2016年卒対象のアンケートでも35.7%であり、3月広報開始となったここ2年はいずれも3割を超えている(前々年度調査(2015年卒対象)では「実施している」が19.0%)。上場区分別で見ると、上場企業では実施率51.2%(前年度比0.6ポイント増)と過半数に達しているが、非上場企業では実施率26.5%(同5.5ポイント減)と差が開いた。2016年卒採用活動が予定よりも長引き、インターンシップを行う余裕がない中小企業が多かったと推察される。
実施時期については、前年度最多であった夏休み期間の「3年生の7~9月」が同6.5ポイント減の46.2%となり、今年度は「3年生の2月」実施が55.0%(同7.2ポイント増)で最多に。3月の広報解禁日直前に少しでも学生との接触を果たそうとの思いから駆け込みで実施する企業が増加したことがうかがえる。受け入れ日数については「1日」(56.5%)が同9.3ポイントアップし、他の項目を大きく引き離して最多となった。インターンシップが広報ツールとして活用される度合がいっそう強まったと言える。


【調査概要】
・調査内容:2017年3月卒業予定者 採用動向調査レポート
・調査対象:全国の企業および団体
・調査期間:2016年1月5日~1月29日
・回答企業:2,267社
・企業内訳1:
 上場・製造:114社、上場・非製造:217社、非上場・製造:415社、非上場・非製造:1,521社
・企業内訳2:
 メーカー:391社、建設・住宅:169社、商社:273社、百貨店・ストア・専門店:121社、金融・証券・保険:74社、サービス:507社、情報(通信・マスコミ):116社、ソフトウェア・情報処理:339社、その他:277社
・調査方法:企業及び団体にアンケートを配布・回収

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