アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査(アジア主要13都市に住む「中間層」以上の20代~40代男女対象) 

2016年03月31日
日本総合研究所は、2015年10月、アジア市場における消費動向を把握するため、「アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」を実施しました。

本調査は、人口集中が進み消費市場としての魅力が高まるアジアの大都市における消費動向の理由やその背後にある消費価値観までを分析することを目的としており、これまで2011年12月および2013年11月に実施した調査の第3回目です。
今回は、アジア主要12都市および東京に住む「中間層」(世帯年間可処分所得5,000~35,000米ドル)以上の20代~40代男女を対象に、以下の各トピックについてアンケート調査を実施し、アジア主要都市と東京との消費動向の比較分析を行いました。

●世帯の状況(同居人員構成、世帯人員構成、婚姻、共働き、収入)
●耐久消費財の保有状況・購入意向
●幸福感
●「ヘルスケア(医療・健康・介護)」・「インフラ・住まい」・「スポーツ」・「観光」・「子ども」分野における消費実態・消費ニーズ

【主な調査結果】

【インバウンド観光】「自然」「食」「伝統」以外にも都市ごとに多様な期待あり

●高い日本への観光旅行意向
訪日観光旅行意向について、「1年以内に予定」と答えた割合は、すべての都市で3割を超えた。特に、北京(41%)・広州(44%)・ハノイ(44%)・マニラ(45%)・デリー(46%)では4割、上海(50%)・ジャカルタ(53%)・バンコク(58%)では5割を超えており、引き続き高い訪日旅行意向がうかがえる。

●訪日観光旅行への期待は「自然景観/田園風景」がトップ、2位以下は都市により特徴あり
訪日観光旅行の目的の第1位は、12都市とも「自然景観/田園風景」。第2位は都市により異なり、中国3都市・ホーチミン・シンガポール・マニラ・バンコクでは「日本食」、インド2都市・ジャカルタ・クアラルンプールでは「伝統的な建築や町並み」、ハノイでは「伝統文化」がランクインしている。「買い物」については、中国3都市・インド2都市・ベトナム2都市などで多く選ばれているが、ジャカルタ・シンガポールでは比較的選択率が低く、ジャカルタでは「先進的な都市景観」や「地元住民との交流」が、シンガポールでは「温泉」が、高い支持を得ている。その他特徴的なものとして、広州・クアラルンプール・マニラ・バンコクでは「アニメ/漫画」が、ハノイでは「スキー」が支持されている。

【医療】訪問型の介護支援サービスに商機あり

●自宅での家族による介護を希望、次いで訪問型介護支援サービス利用を希望
現時点で親に介護が必要と認識する生活者のうち「親/自分の家で、家族の手で介護している」割合、および現時点では介護は必要ないと認識しているが、必要になった場合に「親/自分の家で、家族の手で介護したい」と考える生活者の割合は、東京(28%)とジャカルタ(43%)を除き5割を超えており、特にベトナム2都市では7割を超える(ホーチミン74%、ハノイ72%)。「親は家で家族の手で介護すべき」という伝統的価値観の根強さをうかがわせる。
「自宅での、家族による介護」以外の介護方法については、各都市とも「家に介護サービス事業者に来てもらっている/もらいたい」が最も支持が高い(ホーチミン(15%)~バンコク(37%))。アジア主要都市消費者の根強い自宅介護ニーズを踏まえると、通所型や施設入所型よりも、訪問型介護支援サービスとの親和性が高いことが示唆される。

【子ども】「プロフェッショナル」に育てるための教育サービスが求められる

●子どもに「専門家」になることを望むアジア主要都市の親、「勤め人」を望む東京の親
18歳以下の末子(注3)に将来就いてほしい職業のトップは、東京では「科学者・技術者」に対し、中国3都市・シンガポールでは「経営者」、その他8都市では「医師」。中国3都市では「芸術家・デザイナー」が3位以内に入っていること、また東京では業種や職種を特定しない「会社員」が2位にランクしていることが特徴的。アジア主要都市生活者の上昇志向・独立志向と、日本の生活者の安定志向・組織志向の違いを反映しているともみなせる。

●アジア主要都市では「英語」が最もメジャーな子どもの習い事
末子に何らかの習い事をさせている割合は、どの都市も東京に比べ10ポイント以上高く、親の教育熱心さがうかがわれる。習い事の内容のトップは、東京・シンガポールでは「スイミング」に対し、その他11都市では「英語」。その他の習い事については都市ごとに差が見られ、北京・広州・シンガポール・東京では「絵画」、「ピアノ」といった情操教育、その他9都市では「学習塾」、「家庭教師」、「計算」などの知力育成に力を入れている。

(注3)世帯が複数の子どもを持つ場合、一般に最も年齢の低い子ども(いわゆる末子)がその世帯の生活および消費行動を規定するとされることから、本調査では末子を対象として質問している。


【調査概要】
・調査目的: アジア主要都市におけるボリュームゾーン消費者の消費動向・価値観の、東京との比較分析
・調査手法: インターネット調査
・調査時期: 2015年10月
・調査地域: 東京、上海、北京、広州、ムンバイ、デリー、シンガポール、クアラルンプール(スランゴール州含む)、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ハノイ、マニラの13都市
・調査対象: 年間可処分所得が5,000米ドル以上の世帯に暮らす 20代~40代男女 計7,089人(注2)

(注2) 各都市500人(性・年代別均等割付)を回収目標とし、500人を超えたサンプルも分析対象としている。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本総合研究所]
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