中小企業の経営の革新(イノベーション)に関する調査 

2016年03月10日
商工中金は、中小企業の経営の革新(イノベーション)に関する調査を実施。

わが国では人口が減少局面に入るなか、経済が成長していくためには、大きな比重を占める中小企業が限りある経営資源を効率よく活かし、生産性を上げていく必要がある。
そうした問題意識から当金庫では中小企業に生産性や業績の改善をもたらす「経営の革新(イノベーション)」について調査した。経営の革新(イノベーション)を「企業に飛躍的な発展をもたらし、かつ経済的な効果のある活動全般、但し世の中一般において新しくなくても、それぞれの企業にとって新しい取り組み」と定義、過去 5 年程度での実施の有無やその際の障害、期待する支援策等についてアンケート調査を実施した。

【調査結果】

1. 経営の革新(イノベーション)のうち、過去5年程度で実施した割合が最も高いのは「新製品・サービスの開発」(55.2%)、次いで「人手により実施されていた業務工程に機械や IT を導入」(47.2%)。中小企業は広範に経営の革新(イノベーション)に取り組んでいる。但し項目や企業の属性によっては実施割合が低かったり、実施していても失敗やうまくいかない事例もある。

2. 経営の革新(イノベーション)の障害となっているものとしては 68.9%の企業が「能力のある人材が不足」を挙げ、他の項目に比べ群を抜いて高い割合。次いで「既存の借入負担が重い」が 23.6%、「競合企業の数が多く過当競争で儲からない」が 21.2%と続く。各種外部機関に期待する支援策を聞いたところ、1 位は「各種補助金」で 49.3%の企業が挙げ、次いで「低利の制度融資」(49.1%)、「人材の紹介」(33.7%)と続く。

3. 回答先企業の現在の業況は 69.1%の企業が「良い」(非常に良い+良い+やや良い)と回答している。業種別では製造業よりも非製造業で「良い」と回答する比率が高い。大都市圏の中心市街地に立地する企業で「良い」と回答する比率が高い一方、創業年数の長い企業ほど「良い」と回答する比率が低い。

4. 創業年数の長い企業については経営の革新への障害や期待する支援策についての回答から推し量る
と、自社の位置する業界の需要が伸びにくくなっているなかで明確な将来像が描きにくくなっている可能性がある。支援策としては設備投資や研究開発投資等のための補助金、低利の制度融資、支援策全般に関する情報提供、事業計画に関する助言、コンサルティング、ビジネスマッチング・販路開拓等が比較的強く望まれている。企業のニーズに応じたきめ細かい支援が望まれる。


【調査概要】
・調査時点:平成 27 年 11 月
・調査対象先:当金庫取引先中小企業 12,814 社、有効回答数 5,680 社(回収率 44.3%)
◇ここでいう中小企業とは、いわゆる「中小会社」(会社法第 2 条 6 号に規定する「大会社」以外の会社)、または法定中小企業(中小企業基本法第 2条に規定する中小企業者)、のいずれかに該当する非上場企業。
◇本アンケート調査発送前の時点で 2014 年 3 月~2015 年 2 月到来の決算期において年商5億円以上の企業に限定済。但しその後の決算で年商5億円を下回った等の理由で「年商 5 億円以下」と回答した企業(173 社)は集計対象に含めている。
・調査方法:調査票によるアンケート調査(郵送自記入方式)

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