インターンシップに関する調査(学生モニター調査) 

2016年04月06日
DISCOは、2017年3月卒業予定の全国の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生含む)を対象に、インターンシップへの参加に関する調査を行いました。(調査時期:2016年3 月15日~24日、回答数:664人)。

日本経団連「倫理憲章」の見直し(2011年3月改定)により、インターンシップのあり方が厳格化されてから5年が経過しました。ハードルが上がったことで一旦は実施企業が減少しましたが、受け入れ態勢が整ったことで再び増加に転じ、さらに昨年の採用活動時期の繰り下げで、実施企業は急激に増えています。学生との早期の接点としても活用の進むインターンシップについて、参加学生の意識や満足度はどうだったのか。また、就職意向などに影響はあったのか。インターンシップ参加経験のある2017年卒学生モニターを対象に、参加したインターンシップの内容や感想、参加企業への就職志望度などを調査し、インターンシップの影響について分析・考察しました。

【調査結果】

1.参加したインターンシップの内容

最初に、学生モニターが参加したインターンシップの概要を確認しよう。
まず、参加したプログラム(下注)を見ると、最も多いのが「プロジェクトタイプ」。前年より3.1ポイント増え、全体の4割近くを占める(38.3%)。「講義タイプ」も20.6%から24.6%へと割合を増やした。職場に配属され業務を任される「実務・実践タイプ」は17.4%から12.9%に減り、「就業体験」という本来の意味でのインターンシップは全体の1割強にとどまった。
参加期間は「1日」が最も多く(27.5%)、ここに「半日」(20.8%)を足し合わせると、1日以内のショートプログラムへの参加が約半数を占める(48.3%)。前年調査では「1週間程度」(28.9%)が最多であったので、この1年で短期化が進んだ格好だ。
参加社数は平均4.7社。社数の分布をみると、最も多いのは「2社」(16.7%)で、僅差で「3社」(15.8%)、「1社」(14.8%)の順。ただし、1~3社の割合は前年調査よりも大きく下がり(60.4%→47.3%)、4社以上の割合が増えた。ショートプログラムへの参加が増えた分、参加社数が増えたのだろう。

続いて、参加時期について確認したい。前年調査では、「8月」が最も多かったが(25.6%)、今回調査では「2月」の参加が最多となった(26.7%)。昨年8月は2016年卒者の選考解禁時期であり、採用選考と時期が重なったため、インターンシップの実施数自体が減少したことが大きな要因だろう。夏に実施できなった分、冬の実施が急激に増え、1月と2月の参加がそれぞれ前年より大きく増えた。
ここで参加時期と参加期間をクロスしてみると、夏のインターンまでは「2週間程度」が最も多いが、10月以降になると「1日」や「半日」が増えることが見て取れる。1月~3月では、1日以内のショートプログラムが6割以上を占める(62.1%)。

2.インターンシップの情報を探し始めた時期

インターンシップへの参加が多いのは3年生(修士1年生)の夏休みと2月だが、インターンシップに関する情報(募集企業)を探し始めた時期は「6月」が最も多い。前年同様に3割強を占め(31.3%)、突出している。一方で、「10月以降」の占める割合が前年調査よりも増え(13.2%→17.9%)、夏のインターンには興味を示さなかった学生が、秋以降に探し始めるケースが増えていることが読み取れる。
また、参加したインターンシップを知ったきっかけは「就職サイト」が今回も最も多く、その割合も56.1%から58.7%へと伸びている。就職サイトの多くはインターンシップ情報を主軸に6月にプレオープンするものが多いことから、まずは就職サイトで募集企業を探すというのが一つのパターンとなっていることがわかる。また、「インターンシップ紹介イベント」の割合がやや増加しており、イベントでの出合いも増えていることがわかる。

3.インターンシップ先を探す際に重視した点

インターンシップ先を探す際の重視項目について、12項目に分けて、それぞれ重視した度合いを尋ねた。
「重視した」と回答した人(「とても重視した」「やや重視した」の合計)が最も多かったのは「就職を希望する業界であること」で、84.6%。「とても重視した」に限って見ても6割を超え(60.8%)、インターンシップを、その先の就職活動を意識した「業界研究の場」と捉える学生が多いことがわかる。
次いで「学業に支障が出ないこと(両立できること)」76.8%、「自宅や実家から通えること」72.0%の2項目が7割を超えた。
今回の調査では、経団連が指針(手引き)で示す「5日間以上で実施されること」を項目に加えたが、「重視した」との回答は3割台にとどまった(37.9%)。「学業に支障が出ないこと」を重視する学生が非常に多いことを考え合わせると、学業との両立のために、時期によっては短期間で気軽に参加できることを優先せざるを得ないのだろう。

4.インターンシップ参加前後の就職志望度の変化

インターンシップ参加前後で、その企業への就職志望度がどう変化したかを比較してみたい。インターン前は「この企業に就職したい」は19.5%と2割弱だったが、参加後は41.9%へと倍増している。企業を知ることで就職志望度が高まったと考えられる。
下表は、インターンシップ参加前の就職志望度ごとに参加後の志望度の分布を示したものだ。「この企業(業界、職種)への就職は意識していなかった」と回答したうち、参加後に「この企業に就職したい」に変化したのは27.3%で、「この業界に就職したい」は17.3%。インターンシップに参加することで志望企業や志望業界となった割合は44.6%だった。
インターンシップ後にその企業に就職したいと答えた人の理由は、「職場の雰囲気がよかった」が69.1%で最も多く、「仕事内容が自分に合っていると感じた」51.2%を大きく上回った。仕事内容よりも雰囲気重視という結果は、実践的なプログラムを経験する学生が少ないことに起因しているのだろう。

一方で、その企業に就職したくないと答えた際の理由は、「仕事内容が自分に向いていないと思った」が最も多く、51.9%。インターンシップの本質は、就業体験を通して適性を判断することにあるので、その意味ではインターンシップとしてきちんと機能していると言える。
より実態に即したプログラムを提供することで、ミスマッチの少ない、質の高い採用母集団形成につなげることができるだろう。

5.インターンシップ参加企業からの優遇策

インターンシップに参加することで、その後の採用選考にどのようなアプローチや優遇を受けたかを尋ねた。「特にない」との回答は37.7%で、残りの6割強(62.3%)が何らかのアプローチを受けていた。その中身を見ると、「エントリー(プレエントリー)の案内」(28.5%)、「インターン参加者限定セミナーの案内」(24.2%)、「早期選考の案内」(19.2%)の順に多かった。

6.インターンシップの満足状況(プログラム別/期間別)

インターンシップに参加した満足度を尋ねたところ、「大変満足」が45.0%と4割強、「やや満足」(41.2%)とあわせると86.2%と高い数字を示し、満足度は非常に高かった。
この満足度を、参加したプログラム別、参加期間別でクロス集計してみると、満足度が高いプログラムは「実務・実践タイプ」で、55.9%が「大変満足」と回答。「やや満足」をあわせると87.7%と8割に迫る。一方、「講義タイプ」は最も満足度が低く、「大変満足」は30.1%と約3割にとどまる。
参加期間別に見ると、大変満足の割合が最も高いのは「2週間程度」(59.7%)。やや満足もあわせると、「1週間程度」のものが89.2%と最も高い。逆に「半日」を非常に満足と回答したのは2割台にとどまり(25.1%)、満足度は低かった。半日程度の極端に短いプログラムは講義タイプが多いことも影響しているだろう。一方、「3週間以上」「1カ月以上」は参加者が限られ母数が少ないため参考値として見る必要があるが、期間が長いからと言って満足度も高くなるとは一概に言えないようだ。
このことから、最も満足度の高い組み合わせは「実務・実践タイプ」のプログラムで「2週間程度」で実施されたものとなる。

7.インターンシップ参加企業への就職志望度(プログラム別/期間別)

インターンシップ参加企業への就職志望度についても、同様にクロス集計した。
「この企業に就職したい」と回答した割合はプログラムによる大きな差は見られず、いずれも4割前後。「講義タイプ」は、他のプログラムに比べ満足度の低さが目立ったが、就職志望度は低くなかった。就業体験という面で不満はあっても、業務や業界に関する講義を受け、就職先として興味をもった学生が少なくないと推測できる。逆に「実務・実践タイプ」は、満足度は最も高かったが、「就職したくない」が29.5%と、他のプログラムより多い。実際の業務を行うことで仕事や企業の実情が見え、判断材料が増えたのだろう。
参加期間別では「1週間程度」が「この企業に就職したい」との回答が最も高く(49.4%)、「1カ月以上」が最も低い(24.1%)。「1カ月以上」は「就職したくない」が半数を超えるが(55.2%)、長期間のプログラムは「実務・実践タイプ」が多いことも関係あるだろう。適職を探る手がかりとなることはインターンシップの本来の目的であり、企業・学生双方にとって有益であることは間違いない。

8.インターンシップ参加企業への就職エントリー状況

参加したインターンシップの「満足度」と「就職エントリーの有無」との関係をクロス集計した。
満足度が高いインターンシップほど、就職活動が始まってからその企業に「エントリーした」という割合が高く、相関関係が表れている。「大変満足」では「エントリーした」が74.2%と7割を超えており、満足度の高さがその後の就職エントリーに大きく影響することがうかがえる。逆に満足度の低い層(やや不満足/大変不満足)では「エントリーするつもりはない」は59.8%と6割近くに達している。
就職エントリー状況を「参加期間」ともクロス集計した。「1週間程度」が「エントリーした」の割合が最も高く(66.0%)、「半日」「1日」「2~4日間」はともに6割強で大きな差は見られない。就職志望度と同様に、エントリー率も「1カ月以上」が最も低い(27.6%)。3ページで見たように、長期のプログラムは夏季休暇中など比較的早い時期に参加するケースが多いことも、こうした結果と関係ありそうだ。

9.インターンシップに参加しやすい時期・期間

インターンシップに参加しやすい時期と期間について、プログラム形式ごとにそれぞれ複数回答で尋ねた。どの形式でも参加しやすい時期は「大学3年生の7~9月」が最も数値が高く、「大学3年の1~3月」がそれに続くという結果だった。大学の長期休暇を利用して参加したい学生が多いことがわかる。また、「大学1年」「大学2年」といった低学年時もそれぞれ1~2割程度あった。
参加しやすい期間については、「見学&体験タイプ」は「1日」が最も多く、「講義タイプ」は「半日」、「プロジェクトタイプ」と「実務・実践タイプ」は「1週間程度」が最も多かった。

10.長期実践型の有給インターンシップの経験

インターンシップ先を探す際に「報酬や交通費が支払われること」を重視する人は2割余りだったが(5ページ)、1カ月以上の長期で有給のインターンシップへの参加経験を尋ねたところ、経験があるのは僅か5.4%だった。参加経験のない理由を複数回答で尋ねると、「自分の条件に合うものが見つからなかった」が43.8%で最も多く、「有給のインターンシップに興味がなかった」(34.7%)を上回った。有給であることを重視しないまでも、多くの学生が興味を持って、実際に探した経験を持つことがわかった。


【調査概要】
・調査対象:2017年3月卒業予定の全国の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生含む)のうち、1社以上のインターンシップ参加経験者
・回答数:664人(文系男子207人、文系女子224人、理系男子146人、理系女子87人)
・調査方法:インターネット調査法
・調査期間:2016年3月15日~24日
・サンプリング: キャリタス就活2017 学生モニター(2016年卒以前は「日経就職ナビ・就職活動モニター」)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ディスコ]
 マイページ TOP