社内研修の実施状況と「ハラスメント研修」の受講経験についての調査 

2016年04月05日
エデュテイメントプラネットは、全国の20~60代の経営者・役員、会社員などを対象に、社内研修の実施状況と「ハラスメント研修」の受講経験について調査を行いました。

【調査結果概要】

・社内研修の実施タイミングについて、「わからない/実施されていない」と回答した人が29.1%と3割近くいることがわかった

・社内研修の受講スタイルは、講師による座学や、ディスカッション形式が依然主流であるものの、eラーニングなどについて、業種によって、実施に大きな差があるものもあることがわかった

・いわゆる「セクハラ防止対策」として、男女雇用機会均等法では「事業主が雇用管理上必要な措置」を義務づけているが、「社内研修として」実施している割合は29.3%と、30%に満たなかった


【調査結果】

■研修実施の実態は企業規模で大きな差がある

まず、Q1で勤務先における「全社員を対象」、あるいは「入社・昇進・異動者(以降『特定の者』といいます)を対象」とした研修の実施状況を質問しました。結果は、いずれについても「わからない/実施されていない」と回答した人が29.1%となりました。調査回答者の約3割が所属する事業者において教育研修の実施がない、あるいは、実施されていても認知していないと回答しているといえます。

企業規模による研修実施状況は、300人未満の事業者(「中小企業」と表現します)と、300人以上の事業者(同「大企業」)について大きな差がつく結果となっています。

調査回答者全体での割合は、全社員を対象とするものについては59.3%、特定の者を対象とするものについては64.8%となりました。これを中小企業と大企業で比較すると、大企業は71.3%、特定の者を対象とするものは80.5%となり、いずれについても、7割以上がなんらかの実施をしているのに対し、中小企業はそれぞれ、49.2%、51.5%と、いずれも5割程度にとどまっています。また「年に1回以上定期的に実施されている」とする回答は全社員を対象とするものに対しては、中小企業が21.0%であるのに対し、大企業は46.2%、特定の者を対象とするものがそれぞれ22.7%、53.8%となっていて、かなりの開きがあることがわかります。これは企業規模が大きくなるほど、上場企業の割合が増えるとともに、企業のコンプライアンス(法令遵守・社会的責任)に対する意識が高まるためであると推測されます。大企業の特定の者を対象とする研修が8割を超えるのは、こうした背景から、新入社員研修と、管理職研修の開催頻度が高いと予想されます。

■研修の受講スタイルは集合研修がなおも主流~業種によって特徴的な結果も~

以降については、Q1のいずれの設問についても研修の実態が「わからない/実施されていない」と回答した人をのぞいた387人対象として調査分析を行いました。

受講スタイルは【表2】のとおり、講義・グループワークを中心とした集合研修が依然主流であり、聞くことが中心のもの(76.0%)、グループワーク(64.6%)という結果となりました。
また、「ソフトウェア開発・ITサービス運用/保守・金融」業種におけるeラーニングの受講経験が52.0%と比較的高い割合を示しています。加え、「公務員・公共団体・学校」についてはグループワークや、書籍・資料の支給のスタイルについて調査全体の数値よりも大きく高い結果が現れており、業種によって取り入れる手段に違いが現れるケースもあることがわかります。

■法的義務であるセクハラ防止対策に一層の取り組みが必要

調査対象者の約3割が「所属する事業者において教育研修の実施がない、あるいは、実施されていても認知していない」と分析しましたが、本問以降は、残る7割の人を対象に「ハラスメント」に関する何らかの研修経験の有無を聞きました。

2007年4月に施行された改正男女雇用機会均等法によって、セクシュアルハラスメント(セクハラ)についての対策は「事業主が雇用管理上必要な措置」として「管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること」を義務づけています。また、企業のコンプライアンス意識が高まっている背景もあり、その中でもハラスメント防止対策は最重要課題となっています。一方、セクハラ以外にはパワーハラスメント(パワハラ)も近年大きく取りあげられるようになっています。法令による明確な規定はまだありませんが、厚生労働省が2012年に「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」を立ち上げるなど、官民ともに職場のハラスメントについての意識が高まっています。

このような背景から、特にセクハラ・パワハラの防止対策については、企業の防止意識が高まり、調査回答者においても高い研修受講状況がうかがえるのではないかと弊社は予想しました。
しかしながら、質問の中でも最も高い割合となったセクハラについての研修受講経験であっても、【表3】のとおり、41.3%と本質問の回答対象となった387人の中でも、半数以下という結果になりました。

この結果は社内研修の実施タイミングについて、「わからない/実施されていない」と回答した人をのぞいているため、これらの人を加えた今回の調査対象者全員(546人)で換算すると29.3%となり、3割を切ることが明るみになります。

社内研修が唯一の「セクハラ防止対策」ではありませんが、、今回の調査結果から考えると、多くの事業者が問題意識の周知・啓発を従業員に対して「セクハラ防止対策」を十分行うことができていないか、行っていたとしても従業員が「実感できる」ものを提供できていない可能性があるといえるのではないでしょうか。


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査属性:20~60代の企業役員、会社員(派遣社員なども含む)546名
調査期間:2016年3月2日(水)~3月4日(金)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[エデュテイメントプラネット]
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