平成27年下半期農業景況調査 

2016年03月22日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が、ご融資先である担い手農業者(注1)を対象に平成 28 年1月に実施した「平成 27 年下半期農業景況調査」において、27 年通年(以下、「27 年」という。)の景況DIは多くの業種で 26 年通年(以下、「26 年」という。)に比べて大きく改善しました。販売価格が好調に推移したことに加え、原油価格の下落で燃料費が減少したことなどにより、農業全体の景況DIは3年ぶりにプラス値に転化し、平成8年に調査を開始して以来の最高値となりました。
ただし、28 年の先行き景況DIに関しては、やや慎重な見通し判断になっています。

【調査結果のポイント】

○ 景況DI、畜産など7業種で過去最高値
農業全体の 27 年の景況DI は、26 年(▲33.7)から 50.5 ポイント上昇し 16.8 となりました。3年ぶりにプラス値に転じ、平成 8 年に調査を開始して以来の最高値となりました。
多くの業種で販売価格が好調に推移したことや、燃料価格の下落や配合飼料価格に落ち着きがみられたことにより、収支が改善しDI値が大幅に上昇しました。特に、畑作(▲5.3→35.2)、施設野菜(▲8.4→20.3)、酪農(北海道▲4.1→55.9、都府県▲30.9→29.3)、肉用牛(▲1.2→48.5)、採卵鶏(28.6→71.0)、ブロイラー(10.4→51.9)の7業種についても、平成8年に調査を開始して以来、最高値となりました。
26年が過去最低値だった稲作は、27年産の米価回復により、北海道は26年(▲67.2)から 87.3 ポイント上昇の 20.1 となり、3 年ぶりにプラス値となりました。都府県は26 年(▲71.0)から 67.2 ポイント上昇したが、依然マイナス値(▲3.8)に留まりました。
一方、国内消費量の減少などで販売価格が低迷している茶(▲55.0→▲53.1)は、多くの業種で景況DIが大幅に改善する中、改善幅はわずかとなりました。

○ 販売単価、収支、資金繰りDIは大半の業種で大幅改善
27 年の販売単価DIは、26 年(▲40.0)から 53.1 ポイント改善し 13.1 となりました。さらに生産コストDI(▲66.3→▲44.7)もやや改善したことから、収支DI(▲39.7→14.2)、資金繰りDI(▲29.2→7.6)ともに大幅に改善しました。

○ 設備投資見込みDIは大半の業種でマイナス幅が改善
28 年の設備投資見込みDIは、27 年(▲31.1)より 18.3 ポイント上昇の▲12.8 となり、多くの業種で大幅に改善しました。養豚(11.8→8.7)がプラス値を維持したほか、畑作(▲25.6→0.2)、採卵鶏(▲7.1→8.0)、ブロイラー(▲4.5→11.5)については、プラス値に転じました。

○ 雇用状況DIは全ての業種でマイナス値
今回より新たに調査項目に加えた 27 年の雇用状況DIは、▲26.3 となりました。
全ての業種で二桁のマイナス値であり、農業分野での労働力の不足が浮き彫りとなりました。

○ 景況DI、28 年見通しは業種によっては悪化
28 年の農業全体の景況DI見通しは、27 年(16.8)より 17.8 ポイント下落し、▲1.0 となりました。
27 年が好調だった稲作(北海道 20.1→▲19.1)、畑作(35.2→▲6.5)、露地野菜(14.3→▲15.0)、酪農(北海道 55.9→26.3)、肉用牛(48.5→12.9)、養豚(48.8→▲24.5)、採卵鶏(71.0→▲35.4)、ブロイラー(51.9→7.7)については、大幅に下落しました。
茶(▲53.1→▲31.0)については、依然としてマイナス値ではあるが、22.1 ポイント上昇し、マイナス幅が縮小しました。


(注1)認定農業者の経営改善の取組を後押しするスーパーL資金又は担い手農業者の新たな取組を支援する農業改良資金のご融資先

【調査概要】
調査時期 平成 28 年1月
調査方法 往復はがきによる郵送アンケート調査
調査対象 スーパーL資金又は農業改良資金のご融資先のうち23,618先
有効回答数 6,733先(回収率:28.5%)

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[日本政策金融公庫]
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