アクセンチュア調査レポート「デジタル時代の創造的破壊:成長の拡大(Digital Disruption: the Growth Multiplier)」 

2016年02月08日
アクセンチュアの最新調査によると、デジタル分野のスキルとテクノロジーを最大限活用することで、2020年までに世界で2兆ドルの経済効果がもたらされる可能性があることが分かりました。また、世界の国内総生産(GDP)のうち5分の1強はデジタル分野のスキルや資産、商品、サービスから生み出されていることも分かり、デジタル活用が経済活動において極めて重要な役割を果たしていることが示されています。

アクセンチュア・ストラテジーによる最新レポート「デジタル時代の創造的破壊:成長の拡大(Digital Disruption: the Growth Multiplier)」では、主要11カ国におけるデジタル関連の経済規模を総合的に測定する新たな手法が用られています。この手法では、ハードウェアやソフトウェア、関連テクノロジーのほか、これらを業務で必要とする労働者がGDPの向上にどれだけ寄与するかを推計しています。また、デジタル分野の商品やサービスに関して、生産過程における中間財としての価値も算出しています。

世界のGDPのうち5分の1強(22%)は、デジタル分野のスキルや資産から構成されているデジタルエコノミーと関連があります。米国の経済は世界で最もデジタル化が進んでおり、GDPの33%は既存のデジタル分野への投資で占められています。米国の労働力のうち43%と、米国の労働力によって蓄積された資産のうち26%は、デジタル関連の活動を後押しできる可能性を秘めています。他の市場におけるデジタルエコノミーの規模はさまざまで、英国とオーストラリアでは2020年に30%を超え、中国では13%になると試算されています。

本レポートでは、企業が成長を加速させる際、その国の企業と経済におけるデジタル技術の活用度合いを示す「アクセンチュア・ストラテジー・デジタルデンシティ」のスコアを改善する必要があると明記されています。「アクセンチュア・ストラテジー・デジタルデンシティ」で測定される項目には、デジタル分野のスキルやテクノロジーに加え、資金調達の容易さや国の規制環境の柔軟性といった、デジタル化を実現するさまざまな要因があります。

例えば、米国経済のデジタルデンシティが10ポイント増えると、2020年の米国のGDPは3,680億ドル増加する可能性があり、現時点の予測よりも1.8%増加します。しかしアクセンチュア・ストラテジーの試算によると、デジタル分野のスキル向上や資本増強などGDPを押し上げる要因が理想的に組み合わされば、2020年までにGDPは4,210億ドル増加する可能性があり、現時点の予測よりも2.1%の増加となります。デジタル化を推進する余地が多い国としては、ブラジル(GDPが6.6%増加する可能性あり)、イタリア(4.2%)、中国(3.7%)、日本(3.3%)が挙げられます。

デジタルデンシティの最適化がGDPに与えるインパクト
本レポートでは、各国が歳入とGDPを最大化させるために、どのような分野に対して追加施策を行うべきかを明らかにしています。例えばブラジルでは、クラウドやアナリティクスといったテクノロジーを活用したアプリケーションの改善に追加投資の70%を割り当てるべきとし、デジタル分野のスキル向上への投資による経済的効果は比較的小さくなる可能性があるとしています。一方で米国では、テクノロジー領域への投資は10%に留め、デジタル分野のスキル向上やデジタル化を実現するさまざまな取り組みの強化に投資するほうが、より大きな経済的効果を生み出す可能性があるとしています。

成長への鍵はプラットフォームを軸にしたビジネスモデル
本レポートでは、パートナーや顧客と繋がる共通のデジタル上のプラットフォームを軸にしたビジネスモデルの構築が、デジタル化による最も大きな成長をもたらす方法の1つであると明記されています。こうしたビジネスモデルを実現することで、組織は新たな市場の創出や新たな価値の創造が可能になります。多くの場合、プラットフォーム上でビジネスを展開するプレイヤーは、資産を所有したり管理したりすることなく著しい成長を遂げることができ、限界費用(1つのモノやサービスを追加するためにかかる費用)を抑えながらビジネスの拡大が可能になります。

今日のプラットフォームを軸にした市場はIT企業が大半を占めている一方、伝統的な企業でも、自社が持つ顧客層と製品群をプラットフォームが持つネットワークに組み合わせることで、プラットフォーム戦略による最大の恩恵を受けることができると本レポートでは結論付けています。

本レポートでは、デジタルを生産性向上と成長に向けて活用するため、組織が取るべき3つのアクションを提示しています。

・価値創造の可能性に基づいてデジタル分野への投資の優先順位を決める:スキル向上とテクノロジー改善の最適な組み合わせによってデジタル分野への投資効果を最大化できるように、投資のバランスを慎重に検討する。

・業界に特化したデジタル戦略で競争優位を築く:自らの業界で競争に打ち勝つためのプラットフォームの選択、およびそこでの役割を明確化し、さらに競争優位を築くために必要なデータの取捨選択を行う。

・デジタル変革にふさわしい環境を作る:政府との連携を通して業界間の壁を取り払い、競争ルールを変えることで、自社の「デジタルIQ(知能指数)」を高める。

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[アクセンチュア]
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