ドイツにおいてインダストリー4.0が雇用に与える影響調査 

2015年09月29日
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、ドイツにおいてインダストリー4.0(ドイツで進められている、デジタルテクノロジーのさらなる活用によって産業の飛躍的な高度化をめざす取り組み)が雇用に与える影響を23の業界、40の職種ごとに分析したレポート「Man and Machine in Industry 4.0: How Will Technology Transform the Industrial Workforce Through 2025」を発表しました。

全体でみると雇用は増加するものの、労働者に求められるスキルは大きく変わることがわかり、インダストリー4.0を成功に導くためには、企業・政府・教育機関などによる労働者の新たなスキル習得のサポートが必須であると考えられます。

ドイツで今後 10 年間に見込めるインダストリー4.0 による雇用増加は、ベースシナリオで 35 万人。
新たに創出される雇用 96 万人分のうち、IT などの領域における高度なスキルが求められる仕事は 21 万人分


インダストリー4.0による雇用の増減を、9つのシナリオを想定して分析した結果、ベースシナリオ(インダストリー4.0による売上の年平均成長率が1.0%、インダストリー4.0の技術の普及率が50%)では、2025年までに2015年現在の全労働者数約700万人の約5%にあたる35万人分の雇用が増加すると予測されます(図表1)。

組立・生産の分野を中心に61万人分の雇用が減少する一方、IT・データサイエンス領域を中心に96万人分の新たな雇用が創出されると見込まれます。増加する96万人分の雇用のうち、IT、データアナリティクス、研究開発領域における高度なスキルが求められる仕事は21万人分、インダストリー4.0による売上成長によってうまれる雇用は76万人分と推測されます(数字は四捨五入)。インダストリー4.0による売上成長要因は多岐に渡り、カスタマイズ対応の拡大による需要増や自動ロボットへの需要拡大だけでなく、機械の活用の場がサービス領域まで拡大することによる新事業の創出、AR(拡張現実)の活用によるアフターサービス領域などでの新サービスの展開などが考えられます。

IT、データインテグレーション領域では、11 万人分、現在の 96%にあたる雇用が新たに創出される。
一方、生産では 12 万人分、現在の 4%にあたる雇用が失われる可能性


23の業界、40の職種ごとにインダストリー4.0が与える雇用への影響を分析し、図に表しました(図表2)。以下の職種では特に増減が大きいと考えられます。

●雇用が増加する職種例
-  IT、データインテグレーション 11万人増(現在の労働者数から+96%)
-  研究開発、ヒューマンインターフェースデザイン 11万人増(現在の労働者数から+28%)

●雇用が減少する職種例
-  生産 12万人減(現在の労働者数から‐4%)
-  品質管理 2万人減(現在の労働者数から‐8%)
-  メンテナンス 1万人減(現在の労働者数から‐7%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ボストン コンサルティング グループ]
 マイページ TOP