経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、自動運転車に関して、新車を購入した経験、または予定のある日本の消費者 1,500 人以上を対象にしたアンケート調査を実施しました。
調査からは、日本では消費者の自動運転車の購入意向に以下の特徴があることが明らかになりました。

・自動運転車の購入意向がある回答者は全体の 4~5 割で、年齢層による購入意向の差は少ない

・自動運転車に興味のある消費者の 5 割以上に、通常の車体価格に上乗せして自動運転機能分の対価を支払う意向があるが、かける予算は 20 万円以下が大半

・カーシェアリングを頻繁に利用する消費者では約 9 割に完全自動運転車の購入意向あり

・自動運転車を購入したい理由は、渋滞時・高速道路における利用意向、安全性、新技術への興味など

・自動運転車を購入しない理由は、1 位が安全性への懸念、2 位は運転の楽しみを奪われることへの抵抗感


自動運転車の購入意向がある消費者の割合は日米で同水準だが、日本では中高年層の購入意向が高い
部分自動運転車の購入意向がある消費者の割合は日本で 47%、米国で 55%、完全自動運転車の購入意向のある消費者の割合は日米共に 44%と、同等の水準でした(図表 1)。年齢層別では、米国では若年層ほど購入意向は高く、中高年層になるほど購入意向は低いという結果が見られたのに対し、日本では年齢層に関わらず一定の購入意向が見られ、日本では相対的に中高年層の購入意向が高いことが明らかになりました(図表 2)。

自動運転機能に興味のある消費者の 5 割以上に自動運転機能分の対価を上乗せして支払う意向あり
4 つの機能を備えた自動運転車でも、上乗せする予算は 20 万円までが 6 割

自動運転に興味のある消費者の 5~8 割に、自動運転機能分の対価を上乗せして支払う意向がありました(図表3)。上乗せして支払う意向のある消費者のうち、1つの機能にかける予算は 10 万円までという回答が 6 割、図に示した 4 つの機能すべてを搭載した場合にかける予算は 20 万円までとの回答が 6 割となりました。以前 BCGが試算した市場投入時の OEM での価格が単一機能で 2,000 ドル(24 万円)~5,700 ドル(約 68 万円)、完全自動運転機能で 9,800 ドル(約 120 万円)であることを考えると、市場投入時の価格と日本の消費者の多くに受け入れられる価格の間には大きな差があります。しかし、将来的には自動運転車に対する消費者の理解が深まることで、許容できる金額に広がりがでたり、技術進化や規模の経済によってコストが低減することが考えられます。

カーシェアリングを頻繁に利用する消費者の約 9 割に、完全自動運転車の購入意向あり
カーシェアリングの利用状況別に完全自動運転車の購入意向を分析すると、頻繁にカーシェアリングを利用する消費者では 88%に購入意向があったのに対し、カーシェアリングを使わない消費者では 42%と大きな差がでました(図表 4)。米国における調査でも同様の傾向が見られました。

自動運転車を購入したい理由は、渋滞時・高速道路での自動運転が上位。次いで、安全性や新技術への興味。
日本の消費者が自動運転車を購入したい理由の上位は 1 位が渋滞時の自動運転、2 位が高速道路での自動運転、3 位が自動運転機能の安全性、4 位が新しい技術への興味、となりました(図表 5)。日米共に、技術の利便性が上位となりましたが、米国では経済性を重視する人が多い一方、日本は新技術への好奇心が強く、価値観の違いが明らかになりました。

自動運転車を購入しない理由は、1 位が安全性への懸念、2 位は運転の楽しみを奪われることへの抵抗感
自動運転車を購入しない理由としては、「自動運転が安全に思えないから」を選んだ回答者が 45%、「自分で運転するのが楽しいから」を選んだ回答者が 35%を占めました(図表 6)。


■調査概要
新車購入の経験、または予定がある消費者を対象に、日米でアンケートを実施。実施時期、回答者数は、日本
2015 年実施・回答者数 1,583 人、米国 2014 年実施・回答者数 1,510 人。
為替は 1 ドル=120 円で計算。

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[ボストン コンサルティング グループ]
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