役員報酬サーベイ(2015年度版) 

2016年05月06日
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下DTC)は、日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度およびコーポレートガバナンスへの対応状況の実態調査を行い、このほどレポートにまとめました。
この調査は2015年9月~2015年11月にかけて実施し、上場企業を中心に220社からの回答を得ました。

【調査結果の主なポイント】

■ 報酬水準
社長の金銭報酬総額水準の中央値は、4,290万円

■ インセンティブ
13%の企業がストックオプションを検討、
10%の企業が株式報酬型ストックオプションを検討

■ ガバナンス
86%の企業が取締役及び経営陣幹部への報酬決定の方針を
ガバナンス報告書に記載
 
【調査結果概要】

■ 報酬水準
・役員報酬のうち、金銭による報酬(金銭報酬総額*1)の水準は、参加全企業220社の中央値で社長4,290万円、常務2,591万円、取締役・執行役員1,838万円、社外取締役(グループ会社外から招聘)600万円(図1)。
*1:定期同額報酬等の固定的に支払う報酬、役員賞与などの業績に連動して支払う報酬、退職慰労金1年分の3報酬の年間合計

・なお、上場企業201社の中央値は社長4,630万円、常務2,697万円、取締役・執行役員1,879万円、社外取締役(グループ会社外から招聘の場合)614万円。

・従業員最高報酬額を1とした場合、社長の報酬はその3.24倍に。

・社長の報酬構成割合*2は、固定報酬65%、業績連動報酬22%、株式連動報酬が13%だった。また取締役の報酬構成割合*2は、固定報酬73%,業績連動報酬17%、株式連動報酬が10%(図2)。
*2:各役位別の報酬のうち、固定報酬・業績連動報酬・株式連動報酬を設定している報酬構成割合の平均値

■ インセンティブ
・採用している業績連動報酬の種類としては、前年の業績等に応じて翌年の定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号に規定)に反映する固定報酬変動化が26%、事前届出確定給与(法人税法第34条第1項第2号に規定)が6%、利益連動給与(法人税法第34条第1項第3号に規定)の導入割合が25%となり、損金不算入型の賞与は43%(図3)*3。
*3:「金銭による業績連動報酬を導入している」と回答した140社の回答

・コーポレートガバナンス・コード(CGC)においても、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきであるとあるが、参加企業のうち、株式報酬/株価連動報酬については、今後ストックオプションの付与を検討している企業が13%、株式報酬型ストックオプション*4 10%(図4)だった。
*4:権利行使価格が極めて低い価格(1円等)に設定され、実質、譲渡制限付き株式が譲渡と同様の効果が得られるストックオプション制度

・報酬に関連付けられる経営指標は「営業利益(56%)」、「売上高(41%)」、「経常利益(38%)」、「当期利益(33%)」となっており、利益関連指標では「ROE(13%)」「ROA(7%)」だった(図5)。*5
*5:「明文化された役員評価制度があり、かつ、全社業績の報酬への反映をしている」と回答した61社の回答

■ ガバナンス
・81%の企業で社外取締役を導入しており、社外取締役の人数を前期から増員した企業も32%存在した。

・社外取締役に期待する役割では、「経営の監視」が95%と最も多く、「議案の適法性・妥当性の確保」70%、「新規事業に関する助言」43%と続いている(図6)。*6
*6:「社外取締役を設置している」と回答した179社の回答

・社外取締役の報酬総額は、グループ会社以外から招聘している場合は、前述(図1)のとおり600万円であるが、グループ会社からの登用の場合は大半が無報酬であった。

・任意の報酬委員会を設置している企業は19%で、多くの企業が「取締役会、経営会議体等への諮問、アドバイスを行う機関」としての位置づけとしている。

・任意の指名委員会を設置している企業は15%で、多くの企業が「取締役会、経営会議体等への諮問、アドバイスを行う機関」としての位置づけとしている。また指名委員会の協議事項として取締役等の選解任だけでなく、社外取締役の選解任(69%)や執行役員の人事(59%)も行っている(図7)*7。
*7:「任意の指名委員会を設置している」と回答した32社の回答

・コーポレートガバナンス・コード(CGC)対応により、取締役及び経営陣幹部の報酬決定方針について、「従前より開始している(37%)」に加え、「CGC適用後に開示した、もしくは開示する予定の企業(49%)」を加えると、86%の企業が報酬決定の方針を開示する、としている(図8)。*8
*8:「上場企業」のうち回答を得られた195社の回答

■ その他
・グローバルでの経営幹部の報酬制度を、「共通化していない」企業は62%。

・海外グループ会社における組織・人事課題として「海外ローカル経営幹部人材情報の把握」59%が最多となっている。


【調査概要】
・調査期間:2015年9月~2015年11月
・調査目的:日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度やガバナンス体制、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況等の現状に関する調査・分析
・回答企業数:上場企業201社、非上場企業19社、計220社(集計対象役員総数 3,478名)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[デロイト トーマツ コンサルティング]
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