マイナス金利導入に関する企業の影響調査 

2016年05月19日
日本銀行は1月29日、消費者物価の前年比上昇率を2%とする「物価安定の目標」の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで「マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策」を導入することを決定し、2月16日より実施を開始した。他方、日本では初となるマイナス金利政策が企業に与える影響について、必ずしも政策当局においても明らかではない状況となっている。

そこで、帝国データバンクは、マイナス金利導入に関する企業の影響について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2016年4月調査とともに行った。

調査期間は2016年4月15日~30日、調査対象は全国2万3,432社で、有効回答企業数は1万246社(回答率43.7%)

【調査結果】

マイナス金利の導入による自社への影響は、「プラスの影響」「マイナスの影響」がそれぞれ10.9%と10.5%で、いずれも1割程度にとどまった。とりわけ、貸出を行う金融機関でマイナスの影響を懸念する一方、プラスの影響は『不動産』が突出。ただし、「影響はない」と「分からない」で約8割となっており、マイナス金利の効果が企業に浸透するまでには至っていない

企業の23.3%で借入金利が低下。とりわけ、「大企業」で低下した企業が多い。また、金利引き下げに関して、「金融機関から提案があった」が57.4%、「自社から要請した」が30.4%となり、3割超の企業は自ら借入金利の低下を求めて交渉していた

マイナス金利の導入をきっかけとして新たな資金需要が発生した企業は11.1%。そのうち、「設備投資」(64.2%)、「運転資金」(39.2%)、「事業拡大」(23.9%)が主な用途

マイナス金利導入後、取引銀行との取引関係に「変化はない」とする企業が85.2%。他方、「メーンバンク以外との取引が増えた」(5.0%)、「新たな金融機関と取引をはじめた」(2.9%)という企業もみられた

マイナス金利導入後に借り入れを受けた企業は37.9%。とりわけ、借り入れ時には「取引状況全般」「財務健全性」が評価されたと認識。マイナス金利導入前と比べて「担保余力」が減少した一方、「事業の成長性」は13.9%にとどまる


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[帝国データバンク]
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