SDI調査「一般用医薬品の市場予測シミュレーション」 

2016年05月30日
アンテリオは、一般用医薬品※1の実販売データ「全国一般用医薬品パネル調査(SDI)」から、次年度の売上市場を予測したところ、インバウンドの購買実態の変化の影響や増税前の内需への影響が浮かび上がってきた。

※1 指定医薬部外品含む一般の人が自らの判断で使用する薬で、薬局等で購入可能な薬。OTC薬、大衆薬。

【調査背景・目的】

近年、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要、いわゆる爆買いが社会現象となっている。特に中国人観光客が「日本に行ったら買うべき医薬品」として注目する「神薬12選」に紹介されている一般用医薬品については、前年比2桁伸長となる商品も少なくない。
このようなインバウンド需要だけでなく、内需面では増税を前にした消費者の購買意向の変化など、売上に影響するファクターが次年度の売上予測にも大きく関係してくる。
次年度の市場予測は、ドラッグストアや小売店での実販売データ(過去の実測値)のトレンドをもとにシミュレーションした。なお、一部のカテゴリー(各薬効市場)では、特徴的な結果が見られた。

【調査結果サマリー】

1. 全カテゴリーでの市場規模は2014年度までは前年割れもしくは前年並みが続いていたが、2015年度はインバウンド需要の効果によって前年比104.3%と伸長した。

2. 2016年度の全カテゴリーの売上予測は、2015年度に比べてインバウンドによる影響は弱まり、総売上金額がやや落ち込むことが予測される。

3. 2015年度に特にインバウンド需要の影響が強かった目薬と解熱鎮痛薬のカテゴリーでシミュレーションした結果、いずれのカテゴリーでも2016年度の総売上金額は前年並みであるが、インバウンド需要が弱まり、内需が増加するという予測である。

4. インバウンドでの予測値の縮小の要因は、訪日外国人観光客数の減少というよりは、1人あたりの一般用医薬品購入金額の減少が考えられる。

5. インバウンド需要が減少すると予測されるカテゴリーにおいては、従来のインバウンド戦略の維持ではなく、訪日客の購買実態の変化に即した販売戦略を、メーカーと小売企業が協業して対応する事が鍵と考えられる。

6. 一方、新製品の上市が少ないカテゴリーは、市場成長が鈍る傾向にあるため、画期的なスイッチOTCや潜在ニーズに即した製品の上市による内需拡大にも期待したい。

7. 今回は、2016年度の年間売上予測として分析したが、シーズン性のあるカテゴリーや新商品の参入を見込んでいるカテゴリーにおいては、月次分析に展開していくことも必要である。



【調査概要】
調査概要:調査対象店舗よりPOSデータを毎日収集(株式会社インテージ SDIデータ)
調査地域:全国
調査対象店数:約4,000店舗
対象カテゴリー:バーコードが付与されている全商品
分析期間:
 2011年4月~2016年3月(実績データ)
 2016年4月~2017年3月(予測値データ)
調査主体:株式会社アンテリオ コンシューマー・ヘルスケアソリューション部

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[アンテリオ]
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