マルチデバイス利用調査(15歳~69歳男女対象) 

2016年06月01日
インテージは、2013年より年に1回、日本のインターネット利用人口と、各デバイスの利用人口推計を目的とした、マルチデバイス利用調査を独自に実施しています。この調査では、インターネットの利用状況とパソコン(自宅内および自宅外利用を含む)、スマートフォン、タブレット、テレビといったデバイスの利用状況を聴取しており、今回はデバイスの利用動向について、過去3年のデータから分析を行いました。
マルチデバイス利用調査の対象者は、全国15歳~69歳男女。

【調査結果のまとめ】

●スマートフォンとタブレット利用者が増加している。前者は10代、後者は30代の利用率が最も高く、年代間で差が見られる。

●デバイスの毎日利用率(*2)において10代~40代ではスマートフォン、50代~60代ではテレビが一位。

●パソコン、スマートフォン、テレビの内、2つ以上のデバイスを使う人は全体の80%以上、そのうちトリプルデバイス利用者は50%近くを占め、マルチデバイス化が進んでいる。

●年代によってデバイス利用パターンが異なり、年代が若いほど利用デバイス数が多い。

●“デバイス利用パターン”の観点を導入することで、生活者におけるデバイス利用の変化をより理解することができる。


*2:毎日利用率は、月間利用者のうち、毎日利用する人の比率。

【調査結果の詳細】

1.各デバイスの利用状況

各デバイスを月1回以上利用する人を利用者と定義し、各デバイスの利用状況を確認した。

1-1.デバイス利用動向から見える、スマートフォンとタブレット利用の増加

近年、テレビ離れが謳われているものの、15~69歳のテレビ利用率はいまだ98%となる。パソコン利用率は2013年から2015年にかけて76%から73%へ微減したが、スマートフォン利用率より高い水準となっている。
一方で、2015年のスマートフォン利用率は60%、タブレット利用率は23%となり、いずれも2年間で10ポイント以上増加している。

1-2.スマートフォンを最も利用しているのは10代、タブレットは30代

次に、年代でブレイクダウンし、各デバイスにおける年代ごとの特徴を確認する。ここでは、10代と20代を若年層、30代と40代を中年層、50代と60代を高年層と定義する。
パソコン利用は微減しており、特に若年層の減少が著しい。減少が最も大きい10代では、2年間で8ポイントも減少しているのに対し、中高年層の利用率はほぼ横ばい状態である。
利用が増加しているスマートフォンとタブレットにおいても、パソコンと同様に年代によって傾向が異なる。スマートフォンでは、2015年に若年層の利用率が85%以上にのぼり、中高年層の利用率は比較的低い。ただし、中高年層の増加幅が著しく、最も増加している40代では2年間で19ポイントも増えた。
最初に利用した携帯電話がスマートフォンである年代とそうでない年代において、スマートフォンの浸透に大きな差があることが見られる。
タブレットでは30代の利用率が最も高く、また2013年から2015年にかけて14ポイントも増えた。学生時代にインターネットが身近になかった年代が、読みやすく操作しやすい大画面を持つタブレットを好む傾向の現れだと考えられる。

1-3.毎日利用率において10代~40代ではスマートフォン、50代~60代ではテレビが一位

マルチデバイス利用調査では各デバイスの利用頻度も聴取しており、デバイスの毎日利用率※2においても年代間であきらかな差があることがわかった。
毎日利用率において、10代~40代はテレビよりスマートフォンのほうが高く、スマートフォンが一番身近なデバイスである。
10代のパソコン毎日利用率の低さが目立ち、スマートフォンに比べて46ポイントも低い。10代にとって一番身近なデバイスにコンテンツ・広告を届けたい場合はスマートフォンを選ぶべきと言える。
一方で、50代~60代はテレビの毎日利用率が最も高く、1-2で述べたようにスマートフォンの浸透が低いと同時に、利用頻度の面でも比較的低いレベルになっている。

1-4.若年層ではSNS、高年層ではニュースアプリが最も使われている

毎日利用率が高いスマートフォンはどのように使われているのか。i-SSPのデータ(*3)を用いて確認した。まずは、スマートフォン利用においてブラウザとアプリは1:9の関係になっており、ほとんどの人がアプリ利用している。 次に内訳を見ると、アプリにおいては、SNS、動画、ニュースの利用が上位にランクインする。
また、年代間で差が見られ、利用率ランキングにおいて若年層の1位はSNSで、高年層はニュースアプリが1位である。同じくスマートフォン利用が増えても、年代によって利用する内容が異なる。

*3:i-SSP 2016年3月データ
 
2.各デバイスの併用状況

デバイス利用動向を把握する際、第1章のようにデバイスごとの利用状況だけで捉えることが多いが、実際生活者は同時に複数のデバイスを使い分けている。
第2章では、パソコン、スマートフォン、テレビの主要3デバイスを組み合わせた利用パターン別に、デバイス利用動向を確認する。

2-1.全体の半数近くはトリプルデバイスを利用

(以下パソコン=PC、スマートフォン=SP、テレビ=TVとする)
一番多いパターンは、PC&SP&TVの3つのデバイスを使う“トリプルデバイス利用者”で、全体の半数近くにのぼる。次に多いのは、PC&TVのみ利用、その次にPC&SPのみ利用となった。
なお、2つ以上のデバイスを使う人(PC&SP&TV利用、PC&TVのみ利用、SP&TVのみ利用、PC&SPのみ利用)は、全体の80%以上にものぼる。

スマートフォン利用の増加により、トリプルデバイス利用者とSP&TVのみ利用者が徐々に増え、2013年から2015年にかけてそれぞれ8ポイントと4ポイントの増加を見せた。
一方で、PC&TVのみ利用者が年々減少しており、2年間で11ポイントも低くなっている。数年後にPC&TVのみ利用者数がSP&TV利用者数を下回る可能性が考えられる。

2-2.年代によってデバイス利用パターンが異なる、年代が若いほどトリプルデバイス利用者の構成が大きい

単体デバイスと同様に、デバイス利用パターンにおいても年代ごとに差が見られる。最も多いトリプルデバイス利用者(PC&SP&TV)を年代別に詳しく見ていくと、10代から40代においては約60~70%、50代においては50%弱、60代においては20%を切る状況である。
また、PC&TVのみ利用は男性のほうが多く、一方でSP&TVのみ利用は若い女性が多い。

2-3.デバイス利用の変化についてデバイス利用パターンの観点で考える

一人の生活者が複数のデバイスを利用していることを念頭に、すなわちデバイス利用パターンの観点から、デバイス利用の変化を考えると発想が広がる。 たとえば、デバイス利用パターンが変化したからといって、消費者が接触する内容は必ずしも変わっているわけではない。
昔PCを使ってAmazonでネットショッピングをしていたPC&TVのみ利用者が、SP&TVのみ利用者に変わった場合、実際にはSPで同じサービスであるAmazonのアプリ利用に変えたことが考えられる。
また、利用デバイスの数が増えるほど可処分時間の奪い合いが激しくなるという見方もあるが、実際TVを見ながらSPアプリを利用するなど同時に複数のデバイスを利用するケースが珍しくなく、マルチデバイスによる広告の相乗効果も一つの可能性として考えられる。
デバイス別に利用状況を捉えると、一人ひとりの生活者がどのように複数のデバイスを使い分けているのかといった実態を見逃しがちだが、デバイス利用パターンの観点を用いることで、その実態をより意識することができると思われる。


【調査概要】
調査名:マルチデバイス利用調査
調査方法:RDD方式(乱数番号法)
調査時期:毎年11月~12月(2013年より年1回実施)
調査対象者:日本全国15歳~69歳 男女8,000名
調査実施機関:株式会社インテージ

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