2016年度新入社員の会社生活調査 

2016年06月21日
産業能率大学は、新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートを実施し「2016年度新入社員の会社生活調査」としてまとめました。

調査は3月28日から4月12日まで、本学の産能マネジメントスクールが開催する「新入社員セミナー」に参加した124社600人の新入社員を対象に実施し、558人(男性391人・女性167人)から有効回答を得ました。本調査は1990年度から「新入社員の会社生活調査」として継続して実施しています。

【調査結果概要】

働く上で重要だと思うこと「長期間、安心して働くこと」

働く上で重要だと思うことについて、選択肢の中から3つまで回答してもらったところ、全体では「長期間、安心して働くこと(57.8%)」が最も多く、次いで「仕事を通じて自分自身が成長すること(53.0%)」となりました。男女差の大きい項目は、男性は「昇進することやリーダーになること」(女性比+14.6ポイント)、女性は「仕事を通じて自分自身が成長すること」(男性比+12.5ポイント)でした。

転職から受けるイメージ 「挫折」過去最高


転職から受けるイメージについて、「キャリアアップ」と「挫折」のいずれかを回答してもらったところ、「キャリアアップ」が58.4%、「挫折」が41.6%となりました。経年で数値を見ていくと、「挫折」とする回答は増加傾向にあり、同設問を尋ね始めた2000年度以降初めて4割を超え、過去最高となりました。

管理職志向 男女ともに過去最高

目指すキャリアプランとして、「管理職になる」「(管理職にはならず)担当業務のエキスパートになる」「独立する」「その他」の4つの選択肢のなかから1つを回答してもらいました。「管理職になる」とする回答は、男女ともに同設問を尋ね始めた2000年度以降最も高くなり、男性で初めて6割、女性で初めて3割を超えました。

35歳時の理想の年収 男性:680万円 女性499万円

35歳時点での理想の年収について尋ねたところ、男性は600万円台(39.8%)、女性は500万円台(35.5%)が最多となりました。加重平均値は、男性が680万円(前年比+64万円)、女性は499万円(前年比+10万円)とそれぞれ前年を上回りました。

新入社員のSNS・スマホ事情

新入社員の約98%が所持するスマートフォン(以下スマホ)。上司からのSNS“友達申請”について、過半数が拒否感を示しました。日々のニュースは新聞やテレビよりスマホで確認しているようです。

【調査結果】

1.就職活動について
・就職活動「大変だったが結果には満足」
・就職先選びで重視したことは「業種」

 男女差が大きい項目 男性:「業績(女性比+10.6㌽)」女性:「転勤の有無(男性比+11.9㌽)」

1-1.就職活動を振り返って
2016年度入社の新入社員に就職活動を振り返ってもらったところ、「かなり大変だった」27.8%、「思ったより大変だった」43.8%で、合わせて71.6%が“大変だった”と回答しました。昨年の新卒採用面接は、経団連の「倫理憲章」に沿ったこれまでの4月解禁ではなく、4ヶ月遅らせて8月スタートとなりましたが、“大変だった”とする回答は昨年度と同水準にとどまっています。
一方、『就職活動の満足度』については、「たいへん満足」が48.6%、「やや満足」が45.7%で合わせて94.3%となり、多くの新入社員が就職活動の結果に“満足”しているようです。同設問は1994年から継続して尋ねていますが、経年で見ると2013年度に次ぐ過去2番目に高い数値となりました。

1-2.就職先選び
『就職先を選ぶ際に重視した項目』については、「業種」が最も高く65.5%、「職務内容(55.7%)」、「福利厚生(38.8%)」、そして「給与水準(36.3%)」と続いています。男女で違いが見られたのは、男性は「業績」(女性比+10.6㌽)と「給与水準」(女性比+8.2㌽)、女性は「転勤の有無」(男性比+11.9㌽) 、「所在地(男性比+9.2㌽)」「企業風土(男性比+9.2㌽)」となりました。

2.仕事観/キャリアについて
・将来の進路「管理職になる」 男女それぞれ過去最高(男性6割、女性3割)
・目標とする役職・地位 「社長」1割を下回るも「部長」「課長」が上昇


2-1.働く上で重要なこと
『これから働く上で重要だと思うこと』は、「長期間、安心して働くこと」(57.8%/昨年比+8.7㌽)が最も高くなりました。男性は女性に比べ「昇進することやリーダーになること」(女性比+14.6㌽)を重視しており、女性は男性より「仕事を通じて自分自身が成長すること」(男性比+12.5㌽)を重視していることが分かります。

2-2.働き始めるにあたって不安なこと
『働き始めるにあたり、不安に思っていること』は、「上司・先輩とうまくやっていけるか」(70.5%)、次いで「自分の能力で仕事をやっていけるか」(62.4%)、「プライベート時間を確保できるか」(40.1%)となりました。男女で違いが見られた項目は、女性で「心身を壊すことがないか(男性比+7.3㌽)」、男性は「仕事が多すぎないか(女性比+6.9㌽)」などを不安に思っています。

2-3.転職について
『転職から受けるイメージ』について、「キャリアアップ」と「挫折」の二択で回答してもらったところ、「キャリアアップ」が58.4%、「挫折」が41.6%となりました。「キャリアアップ」とする回答が例年と同じく多数を占めていますが、徐々にその率は下がり、今回「挫折」とする回答が初めて4割を超え、過去最高となりました。

2-4.キャリアについて
『将来の進路としてどのような方向を望むか』について、「管理職」が最も多く53.1%、次いで「担当業務のエキスパート」(40.4%)、「独立」(4.5%)、「その他」(2.0%)となりました。
男女別に見ると、男性新入社員は「管理職になる」(60.9%)が最も多く、女性新入社員は「(管理職ではなく)担当業務のエキスパートとなる」(59.0%)が最も多くなっています。同設問を尋ね始めた2000年からの経年比較を見ると、管理職志向は増加傾向にあり「管理職」とした回答は、男性が初めて6割を超え(60.9%)、女性は初めて3割を超え(34.9%)、いずれも過去最高となりました。一方で、「独立する」との回答は過去最低となっています。
『目標とする役職・地位』については、「社長」(9.5%/前年比-2.0㌽)、「役員」(18.6%/-1.8㌽)、「部長クラス」(21.1%/前年比+1.5㌽)、「課長クラス」(10.7%/前年比+4.7㌽)、「係長クラス」(2.9%/前年比-0.2㌽)、「地位には関心がない」(37.2%/前年比-2.2㌽)となりました。「社長になりたい」との回答は1割を下回り、経年で見ると2014年度に次いで過去2番目に低い数値となっています。

3.待遇・雇用制度
・いつまで働きたいか 女性は「結婚まで」+「出産まで」で4割を占める
・35歳時点での理想の年収 男性=680万 女性499万


3-1.人事制度
『年功序列と成果主義のどちらを望むか』を二者択一で尋ねた結果、「成果主義」が52.9%(前年比-3.4㌽)、「年功序列」が47.1%(前年比+3.4㌽)となりました。男女別に見ると、男性(「年功序列」48.1%/「成果主義」51.9%)、女性(「年功序列」44.9%、「成果主義」55.1%)でした。経年で見ると2011年度以降、「年功序列」を希望する新入社員が増加傾向にあります。
また、『終身雇用制度を望むか』では、「望む」が72.5%、「望まない」が27.5%となりました。男女別に見ると、男性は「望む」73.2%/「望まない」26.8%、女性は「望む」(70.9%)/「望まない」(29.1%)となりました。

3-2.定年
『いつまで働きたいか』について、男性は「60歳(定年)まで」が最も多く48.3%、次いで「65歳(再雇用)まで」25.5%、「定年なし(働きたければいつまでも)」25.2%となりました。男性の99%が少なくとも60歳までは働きたいとする意向を示しています。一方で、女性は、「結婚まで」(12.8%)、「出産まで」(28.7%)、「60歳(定年)まで」(36.0%)、「65歳(再雇用)まで」(4.3%)、「定年なし(働きたければいつまでも)」18.3%と回答しました。

3-3.理想年収額
『35歳時点での理想の年収額』について、加重平均値を算出したところ、全体は「627万円(6,265,969円)」、男性は「680万円(6,798,654円)」、女性は「499万円(4,990,329円)」となりました。

4.SNSについて
・スマホ所持率は97.8%
・上司からの友達申請 “嫌だ”とする回答が過半数を占める


4-1.SNSの利用状況
『利用しているソーシャル・ネットワーキング・サービス』(以下、SNS)について複数回答で尋ねました。全体から「スマホを所持していない」(2.2%)を除くと、97.8%がスマホを所持していることが分かります。利用しているサービスは、「LINE」の利用率が最も高く97.7%、次いで「YouTube」(81.5%)、「Twitter」(74.1%)、「Facebook」(51.3%)でした。特に女性は、LINEの利用率が99.4%と“ほぼ全員”が利用しており、「Instagram」(50.9%/男性比+24.5%)、「Facebook」(64.7%/男性比+19.1㌽)などは男性よりも利用率が高くなっています。『SNSの利用頻度』は、「ほぼ毎日利用している」が85.8%で、昨年度から2.1㌽増加し、新入社員のSNS利用率、利用頻度は年々上昇しています。

4-2.上司からのSNS“友達申請”(リクエスト)
『上司からSNSで“友達申請”(リクエスト)があったらどう思うか』という問いについて、「嫌だ」が19.1%(前年比+3.0㌽)、「どちらからと言えば嫌だ」が36.1%(前年比-3.5㌽)で、合わせて55.2%となり、昨年に続き否定的に受け止める意見が優勢となりました。

“うれしい”(「うれしい」+「どちらかと言えばうれしい」)、“嫌だ”(「嫌だ」+「どちらかと言えば嫌だ」)とする回答者それぞれに回答理由を尋ねました。 『“うれしい”と思う理由』は、「仕事以外で接点を持てるから」(49.6%)が最多で、「信頼されていると思うから」(23.2%)や「業務連絡等に使えるから」(16.3%)と続いています。一方、『“嫌だ”と思う理由』は、「公私は分けたいから」(68.0%)が最も多くなりました。

・スケジュール管理 男性:「スマホと手帳を併用」 女性:「手帳のみ」
・「デイリーニュースの主な取得方法」①スマホ(アプリ・サイト)②テレビ③新聞

4-3.SNSへの書き込み
『個人のSNSへの仕事に関する書き込みは、会社にどのような影響があると思うか』を尋ねたところ、80.8%が「会社のイメージダウンになる」と回答し、昨年度から5.3㌽増加しています。「会社のイメージアップになる」は6.9%で、昨年度から3.5㌽減少しました。
『会社にSNSの利用に関するガイドラインがあったらどう思うか』については、「安心する」が58.6%で昨年度から2.7㌽増えています。

4-4.仕事上での活用ツール
 『スマートフォンの活用状況』について、スケジュール管理・時間確認・メモ・デイリーニュースの主な取得方法、それぞれの活用状況を尋ねました。

□スケジュール管理
男性新入社員:①「スマホと手帳を併用」(54.2%)②「手帳のみ」(32.8%)③「スマホのみ」(10.2%)
女性新入社員:①「手帳のみで管理」(56.3%)②「スマホと手帳と併用」(37.1%)③「スマホのみ」(4.8%)

□時間確認
男性新入社員:①「スマホと腕時計を併用」(70.0%)②「スマホのみ」(15.7%)③「腕時計のみ」(13.8%)
女性新入社員:①「スマホと腕時計を併用」(72.5%)②「スマホのみ」(14.4%)③「腕時計のみ」(13.2%)

□メモ
男性新入社員:①「スマホとメモ帳を併用」(48.3%)②「メモ帳のみ」(46.0%)③「スマホのメモ機能のみ」(5.2%)
女性新入社員:①「スマホとメモ帳を併用」(56.3%)②「メモ帳のみ」(40.1%)③「スマホのメモ機能のみ」(3.6%)

□デイリーニュースの主な取得方法
男性新入社員:①「スマホ(アプリ・サイト)」(47.5%)②「テレビ」(39.4%)③「新聞」(6.8%)
女性新入社員:①「テレビ」(52.4%)②「スマホ(アプリ・サイト)」(42.8%)③「新聞」(3.0%)


【調査概要】
調査対象 産能マネジメントスクール主催の新入社員セミナー参加者のうち124社600人
調査時期 2016年3月28日~4月12日
調査方法 書面アンケートによる回答肢選択方式
有効回答 558人(男性391人・70.1%/女性167人・29.9%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[産業能率大学]
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