英国のEU離脱に関する緊急アンケート調査(在阪企業対象) 

2016年07月05日
大阪商工会議所は、「英国のEU離脱に関する緊急アンケート」調査を実施。英国でのEU離脱に関する国民投票の結果をうけて、在阪企業への影響を調査した。

【調査結果】

1.回答企業62社の約6割にあたる37社が、自社ビジネスや取引先に悪影響が生じると予想。
○62社のうち9社(14.5%)が「相当程度、悪影響が及ぶ」と回答。「若干、悪影響が及ぶ」と回答した28社(45.1%)とあわせると、「悪影響が及ぶ」と回答したのは、37社(59.6%)にのぼった。
○その一方で、「ほとんど影響を受けない」という企業も16社(25.8%)みられた。
○また「リーマンショックを超える大きな悪影響が及ぶ」との回答はみられなかった。

2.「悪影響が及ぶ」と回答した37社のうち、「対応を検討する」は6社のみ。8割超が「検討していない」「未定」と回答。
○自社ビジネスに「悪影響が及ぶ」と答えた企業37社に対し、何らかの対応策を検討するかを聞いたところ、「検討する」と回答した企業は6社(16.2%)にとどまった。またこのうち「1ヶ月以内」に対応するとの回答は2社のみであった。
○一方、現時点で「対応を検討していない」との回答が11社(29.7%)、「今のところ未定」との回答が20社(54.1%)で、8割を超えた(31社、83.8%)。

3.英国と直接ビジネスを行なっているのは24社。このうち15社(62.5%)が自社への悪影響を予想。
○回答企業62社のうち、「英国との間でビジネスを行なっている」会社は24社(38.7%)である。そのうち15社(62.5%)が「直接的な悪影響が及ぶ」と回答した。
○しかし、英国のEU離脱に備えて、為替対策などの「リスクヘッジ対応を行っていた」と回答した企業は6社(25.0%)にとどまり、今回の離脱という英国民の選択が予想外だった姿が改めて浮き彫りとなった。
○英国と直接取引のある24社の取引形態(複数回答)を聞いたところ、「EU内(英国外)に現地法人を保有し、英国と取引がある」との回答が19社、「英国内に現地法人を設立し、英国・EUとビジネスしている」が17社となり、EU内と英国の双方に拠点を置く欧州戦略を採用している企業が多いことがわかる。
○24社の進出形態は、「独資」が15社(62.5%)と最も多く、合弁が4社(16.7%)と続いた。
○業種については(複数回答)、「製造拠点」が6社、「販売会社」が10社、「サービス業」が8社、等となった。

4.悪影響の具体例
(1)自社ビジネスへの直接的な影響(主な回答例/予測も含む)
・英国現地法人を中心とした欧州域内マーケット戦略に影響(製造業)
・英国,EUの景気後退により、受注に影響が出る可能性がある(製造業)
・ポンド下落により、英国での不動産収入が減少(不動産業)
・規制当局がEUと英国の2つになるため、欧州の研究開発戦略に影響(製薬業)
・英国の景気低迷による販売減少、関税復活によるEU諸国への輸出に影響(製造業)

(2)間接的な影響(主な回答例/予測も含む)
・円高株安による景況感の悪化で消費者心理が低迷
・円高ポンド安基調のため、日本からの輸出競争力が低下
・顧客(受注先、施行先)の影響による間接的な受注懸念等
・為替リスクの増大、ユーロ下落による売上高の減少
・対日投資の減少

5.今後の見通しや懸念点など(主な回答例/予測も含む)
・EU 地域内のみならず世界経済が停滞する可能性がある
・為替、金融市場動向がさらに不安定化する懸念あり。
・ほかの EU 諸国への離脱波及を懸念する
・今後の外為市場(ドル・円の推移)の動向に注視
・離脱についての時間軸や諸条件が決まっておらず先行き不透明であり、対応が難しい。
・良い影響より先に悪影響が出ると見られるが、どの程度かは現在のところ想定困難。


【調査概要】
調査目的:英国でのEU離脱に関する国民投票の結果をうけて、在阪企業への影響を調査するため。
調査期間:平成28年6月24日(金)~30日(木)
調査方法:ファクシミリ、またはE-Mail(調査票の発送・回収とも)
調査対象:大阪商工会議所議員、国際ビジネス委員会委員、貿易部会正副部会長 計181社
有効回答数(回答率):62社(34.3%)

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[大阪商工会議所]
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