訪日外客向けアンケート調査(関西国際空港を出国する外国人旅行者対象) 

2016年07月07日
三菱総合研究所は、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、阪急阪神ホールディングス株式会社、南海電気鉄道株式会社、京阪ホールディングス株式会社および新関西国際空港株式会社の6社の協力を得て、関西国際空港において訪日外国人旅行者を対象に関西地域のインバウンド観光の実態に関するアンケート調査(「関西インバウンドプラットフォーム調査」)を実施しました。
今回の調査により、関西地域の各観光地の訪問実態、地域間の流動実態(移動経路、利用交通手段)などが明らかになりました。

【調査実施の背景】

~インバウンド客が急増する一方、マーケティング情報が不足
2015年度の訪日外国人旅行者数は2136万人となり、前年度対比146%と急増しています。中でも関西地域は好調で、関西国際空港の外国人旅客数は1100万人(前年度対比157%)となり、2016年2月の外国人入国者数は1994年の開港以来はじめて成田空港を上回りました。
多くの事業者が、この急増する訪日外国人旅行市場を大きなビジネスチャンスと捉えています。しかしながら、訪日外国人旅行者の旅行実態について全体像を把握することは容易ではありません。事業者によっては、インバウンドによる事業への影響度合いを十分に把握できていないケースもみられます。

【調査結果の概要】

~主要9カ国・地域別の訪問エリア・訪問者数・地域間の流動量などが明らかに
当社・関西センターでは2008年から訪日外国人旅行者向けの調査の実施・分析を行っており、この実績とノウハウを活かして、今回の「関西インバウンドプラットフォーム調査」を実施しました。今回の調査により、以下の実態が把握できました。

① 主要9カ国・地域別の関西地域の観光地・エリア別の事前認知率・訪問率・再訪意向率
② 関西地域の観光地・エリア別の訪問客数(推計値)
③ 関西地域の観光地・エリア間の移動経路と流動量(推計値)

注目すべき調査結果は以下の2点です。

○外国人観光客には京都よりも大阪が人気。訪問はまだ一部の観光地に偏っている。
大阪では難波エリア、心斎橋エリアへの訪問がもっとも多く、それぞれ年間600万人近く(訪日外国人旅行者全体の3割)が訪問。京都では東山エリアへの訪問がもっとも多く、年間400万人近くの訪日外国人旅行者が訪問している。訪問エリアは大阪市内や京都の特定の観光地などに集中しており、将来的な広域観光の拡大余地はまだまだ大きい。

○個人旅行の増加により鉄道利用が拡大。さまざまな利用実態が明らかに。
延べ1274万人の訪日外国人旅行者が大阪-京都間を移動している。大阪市内の移動が圧倒的に多く、京都市内の回遊性はそれほど高くない。このほか、さまざまな地点間の流動量や交通手段別のシェアなど、多様な利用実態が明らかになっており、今後のトレンド変化を注視する必要がある。

【調査結果(一部抜粋)】

1. 関西地域への旅行経験
全体で見ると 50%がはじめての来日、66%がはじめての関西訪問となっている。台湾・香港客はリピーターが多く、70%が 2 度目以上の来日。半数は関西への訪問も 2 度目以上となっている。

2. 関西地域での滞在日数
日本での平均滞在日数は、アジア客はおおむね 1 週間以内、欧米・豪州客は 10 日~2 週間程度となっている。しかし大阪・関西での滞在日数にはそこまで大きな差はなく、たとえば大阪での滞在日数はアジア客はおおむね 4 日前後、欧米・豪州客はおおむね 5 日前後である。

3. 観光地別の認知・訪問・再訪意向の状況

・「難波」は、訪問率がもっとも高く、再訪意向(実際に訪問した人のうち「また訪問したい」と回答した人の割合)も高い。ターミナルとしての拠点性の高さに加えて、訪日外国人旅行者にとって満足度の高いエリアでもあると考えられる。

・「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」は、エンターテインメント施設の特性として、事前認知に対して訪問率が相対的に低くなってはいるが、再訪意向は高く、実際に訪問した人の満足度は高いと考えられる。

・「大阪城」「清水寺」「金閣寺」については、事前認知・訪問率の高さに比べて再訪意向がやや低くなっており、初めて関西を訪れた層にとって入門的な観光地になっている可能性を示唆している。

・「嵐山」「貴船神社・鞍馬寺」など、実際の訪問率はまだ低いものの、再訪意向が高い観光地については、これからの来訪者の伸びが期待される。

4. 観光地別の推計訪問者数・流動数
関西圏の主要観光地・エリアの 2015 年時点での訪問者数の推計を行った。大阪では難波・心斎橋エリアには年間588 万人、梅田・大阪駅エリアには年間 497 万人が来訪。京都では東山に年間 392 万人が来訪している。

また、同様に 2015 年時点での関西圏における訪日外国人旅行者の流動量(移動の延べ回数)を下記のとおりと推計した。総流動量は 9658 万トリップ、大阪府内だけで 5329 万トリップ、府県間移動では大阪-京都間がもっとも多く 1274 万トリップ(延べ 1274 万人が大阪-京都間を行き来している)と推計された。


【調査概要】
~関西国際空港で外国人旅行者向けの聞き取り調査を実施
調査対象:関西国際空港を出国する外国人旅行者 約2000サンプル
※主要9カ国・地域(中国・韓国・台湾・香港・欧州・米国・ASEAN(除タイ)・タイ・豪州)を割付回収
調査時期:2016年2月~3月
調査方法:調査員による聞き取り調査
調査内容:関西観光地の認知・訪問状況・再訪意向、移動経路と利用交通機関、宿泊先など

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[三菱総合研究所]
 マイページ TOP