Global Human Capital Trends 2016日本語版(世界最大級の人事・人材関連トレンド調査) 

2016年08月01日
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下DTC)は、『Global Human Capital Trends 2016 日本語版~新たな組織:デザインの転換~』をまとめました。本調査は、デロイトで毎年実施しているタレントとリ--ダーシップ、HRの課題に関する継続的な調査としては世界最大級のものであり、130か国、7,000人を超える管理職ならびに人事部門責任者に対するアンケートとインタビューを基に構成されており、今年で4年目を迎えます。

レポートでは企業の人材確保や人材活用に破壊的な変化をもたらしている4つの要因―①人口構成の急激な変化、②デジタル化の波 ③加速度的に変貌する時代の訪れ ④会社と社員の新たな関係性―を取り上げ、今後の組織の再編成/再設計をするにあたり重要となる10のトレンドを解説しています。

【『Global Human Capital Trends 2016 日本語版』が取り上げる10のトレンド】

・組織デザイン / 「ピラミッド型組織」の終焉と「ミッションベース型チーム」の台頭

・リーダーシップの覚醒 / ミレニアル世代がリーダーとなる時代におけるリーダーシップ開発の姿

・組織文化 / 新たな組織を動かすために今こそ「文化」を醸成する時

・エンゲージメント / 企業がいつでもどこでも従業員にエンゲージメントを図るべき時代

・ラーニング / 企業が主体の教育から、従業員を主役とした学習・人材開発へ

・デザイン思考 / 人事、人材、労働環境にもデザイン思考を取り入れられるかカギ

・HR / HR組織の使命は人事サービスの提供から人材コンサルティングに

・ピープル・アナリティクス / 様子見の時代は終わり、活用が当たり前の時代はすぐそこに

・デジタルHR / デジタルはHRに進化を超え、革新を起こす

・ギグ・エコノミー / 「雇用されない労働力」が、企業に破壊的革新をもたらす


なお、これらのトレンドについて管理職ならびに人事部門責任者に重要度を調査した結果、図表1の通り、「組織デザイン」についての関心が最も高く、92%が重要と回答しています。

【各トレンドトピックスについてのサマリー、取り上げている海外先進事例】

■組織デザイン/チームの台頭
多くの企業が、既に機能別の組織構造から移行しており、「現在も機能別の組織構造を維持している」のは大企業(従業員数5万人超)ではわずか4分の1程度である。さらに、8割超の企業が、「現在組織構造の改編をしている、もしくは完了した」と回答している。一方で、「自社の組織を効果的にデザインし直せると信じている」幹部は14%に過ぎず、同様に「クロス・ファンクショナル・チームの組成に自信がある」は21%、「ネットワークの中でどうやって人々が協働していくのかを完全に理解している」は12%と少数に留まった。
海外先進事例としてApple Inc.、Cleveland Clinic、3M、Nestle、IBM、Amazon、Ciscoなどを取り上げて解説する。

■リーダーシップの覚醒/ジェネレーション、チーム、科学的アプローチ
本項目調査結果の背景には、伝統的なピラミッド型のリーダーシップ開発モデルは、事業ニーズと変化スピードに見合ったリーダー育成に不十分と考えられるようになったことが反映されている。しかしながら、「多様なリーダー人材に向けた投資をほとんど、あるいはまったくしていない」と回答した企業は59%に上り、「ミレニアル世代のリーダー育成に秀でている」と回答した企業はわずか7%、「グローバルなリーダーの構築に秀でている」と自社を評価した企業は13%、会社全体で後継者育成をしっかり行っていると評価した企業は14%のみである。
Google (ラリー・ペイジ氏 CEO就任時38歳)、Petsmart(デビット・レンハード氏 43歳)、GameStop(ポール・レインズ氏 46歳)等、前任者よりも若く、よりグローバルに活躍し、よりデジタルに精通している新しいタイプのCEOの例を挙げる他、グローバル・インベストメント・バンクとして各種金融サービスを提供するマッコーリーグループのリーダーシップ開発プログラムの事例を紹介する。

■組織文化/文化を醸成し、戦略をドライブする
組織文化をCEOやHRリーダーは、組織文化が従業員の行動、イノベーション創出、顧客サービスをドライブすると理解しており、82%が、「組織文化が競争優位につながる」と回答している。しかしながら、多くの企業が組織文化を測定することが難しいと考えており、「自社の組織文化を十分に理解している」企業はわずか28%で、「自社に適切な組織文化がある」と回答した企業はさらに少なく19%だった。
2008年の金融危機の後、ブランド回復に取り組んでいるCity グループ、Bank of America、Wells Fargoにおける取り組みをはじめ、HP Inc.、eBay、Glassdoor等、複数の海外先進事例とともに解説する。

■エンゲージメント/いつでもどこでも
従業員にとって働きがいのある魅力的な職場環境づくりの必要性を企業が認識し始め、従業員の感情をリアルタイムに評価する新たなツール(「パルス・サーベイ(短サイクルで項目を絞った従業員エンゲージメント調査)」や「(匿名の)ソーシャル・ツール」、マネジャーによる「チェック・イン(成果達成と成長のための日常的なフィードバッグの仕組み)」等)が急速に普及し始めている。にもかかわらず、回答企業の64%が現在でも従業員エンゲージメント測定を年1回しか行っていない。また、労働人口の多様化(世代、グローバル化、人種、文化、性的指向 等)や従業員の雇用形態の複雑化(正規社員、パートタイマー、在宅勤務者、派遣社員 等)が進む中、適切な職場環境を整えている企業は11%、ミレニアル世代や他世代を職場に惹きつけることに長けている企業はわずか4%である。
米国住宅ローン会社最大手のQuicken Loansをはじめ、海外先進事例とともに解説する。

 ■ラーニング/従業員を主役とした学習・人材開発へ
技術の進歩や人口構成の変化が進み、競争に打ち勝つための従業員の継続的なスキル向上が求められる中、企業によるラーニングのあり方が問われている。4割ほどが(2015年は30%)MOOCs(大規模公開オンライン講座)を社内の従業員訓練に取り入れ、15%(2015年は5%)が先進的動画技術を活用するなど、前向きな企業が増加する一方、自社ラーニングの提供方法が「非常に効果的」と回答したのは8%に留まった。
伝統的な支払処理専門企業から、消費者と銀行・企業を結び付けるインフラを提供するテクノロジー会社への展開を図っているMasterCardをはじめ、海外先進事例とともに解説する。

■デザイン思考/自社固有のエンプロイー・エクスペリエンス(従業員の経験価値)を創造する
デザイン思考とは、従業員が常時、情報過多な状態にさらされストレスを感じている状況から、従業員一人一人の経験に焦点を当て、従業員中心のプロセスを構築する手段である。74%もの従業員が「自分の労働環境を複雑」と感じている中、「労働と情報過多の環境を手助けする仕組みを持っている」と回答したのは19%にすぎない。一方で、年間10%を上回る成長を遂げている企業には、「デザイン思考を取り入れる体制が整っている」と回答する割合が成長停滞企業のおよそ2倍であった。
オーストラリアの大手通信・情報サービス会社Telstra、GR等、海外先進事例とともに解説する。

■HR/新たな使命に向けて動き出したHR組織
HRのスキルに関し、態勢が整っていると回答した割合が2014年から14%増加している。具体的な課題において、2015年からHRの態勢が整っていると回答した増加率は、リーダーシップ開発 14%、従業員エンゲージメント・組織文化 13%、アナリティクス 11%、ラーニング 7%であった。しかしながら、HR組織への調査結果として「自社製品や利益モデルを十分理解している」は17%、「HRとタレントに関するグローバルな問題への対応に非常に優れている」は14%、「サイバーセキュリティの問題に豊富な知識がある」は8%と課題が残る状態で、企業は今後もHR組織のスキルを向上し続け、順応する必要がある。
英国最大のエネルギー会社であるEDFエナジーや、Airbnb等、海外先進事例とともに解説する。

■ピープル・アナリティクス/展開加速中!
ピープル・アナリティクスは、HRのデータとビジネスに点在するビジネスデータを集約するもので、現在フライトリスク(有能なリーダーや従業員が転職するリスク)分析、有能な候補者の選定、優秀なセールスおよびサービスチームの特性の特定、コンプライアンス・リスクの予測等、さまざまな課題に対応している。「予測モデルを開発する能力がある」と回答した企業は8%(2015年の4%から倍増)に、また「アナリティクスの準備が整っている、またはある程度整っている」と回答した企業は32%(2015年の24%から3割増)に急増した。
ピープル・アナリティクスチームをもつGoogle、Twitterや、GE等海外先進事例とともに解説する。

■デジタルHR/進化を超え、革新を起こす
世界でデジタルHRの重要度が増す一方、日本企業においてデジタルHRを非常に重要、および重要と回答した企業は61%に留まった。これは全10のトレンドのうち、世界平均と日本の回答割合にもっとも乖離がある。デジタルHRによりエンゲージメントを向上させ、従業員からのレスポンスを10倍に増加させた例もあり、SMAC(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド)テクノロジーを通じて、エンプロイー・エクスペリエンス全体に革新をもたらすきっかけになりえる。
Du Pont、インドの第4世代移動通信システム・デジタルサービス会社のReliance Jio等、海外先進事例とともに解説する。

■ギグ・エコノミー/単なる混乱か、破壊的革新か?
労働力構成が変化し、ギグ・エコノミー(正規労働者、非正規労働者、独立個人事業者など、様々な労働力が必要に応じて集結し、同一目的のために働き、目的達成とともに離散するというオープン型経済モデル)の恩恵を受ける企業が増加している。51%の経営者が、今後3年~5年に臨時的な労働力の活用を増やすことを予定しており、40%を超える企業がロボティクスとコグニティブテクノロジーの利用を拡大する見込みと回答している。そうした中で抱える課題として、法規制の不透明性(20%)、パートタイム・臨時の労働者に対する組織の拒絶反応(18%)、リーダーシップの理解の欠如(18%)が挙げられている。
配車サービス会社のUberや、動画広告クラウドソーシングのTongal、グローバル情報サービス会社Thomson Reuters等、海外先進事例とともに解説する。

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[デロイト トーマツ コンサルティング]
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