結婚の意思決定に関する意識調査(25歳以上 34歳以下の男女対象) 

2016年09月07日
内閣府は、結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~を発表。

未婚状態から結婚状態への移行を検討する際、交際へ移行する過程と交際から結婚へ移行する過程では意思決定に影響を及ぼす要因が異なることが明らかになりつつある。
経済社会総合研究所では、交際から結婚への移行に焦点を当て、若年層の結婚への意思決定についての考え方の詳細とその変化を検討するための基礎的資料となる調査を行うため、全国に居住する25歳~34歳のうち、3年前に未婚でありかつ恋人として交際していた異性がいた男女を対象に意識調査(「結婚の意思決定に関する意識調査」)を実施した。調査では主に出会いや交際、生活や暮らし、働き方、価値観、社会関係性、結婚などについて3年前と現在または結婚を決めた当時の2時点について調査した。可能な範囲で交際相手の意識に関する情報も収集した。
また平成27年8月~平成28年5月に執筆メンバー等で会し、計5回の議論を行った。

【主な調査結果】

結婚に対する希望について

3 年前の時点における結婚に対する希望について「一生の間に、いずれ結婚したい」という意見に対する考えを尋ねたところ、女性では、現在の交際状況別にいずれも 50%以上の人が「一生の間に、いずれ結婚したい」という意見にあてはまると回答した。特に、現在結婚している(結婚が決まっている)人では 69.5%があてはまると回答した。男性では、あてはまると回答した割合が最も高いのは、現在は結婚している(結婚がきまっている)人の 49.6%であり、現在の交際状況別にいずれも女性よりも低い水準となっていた(表 3-1-1)。なお、2010 年の「第 14 回出生動向基本調査(独身者調査)」によると、一生を通じて考えた場合、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者 4の割合は男性で86.3%、女性で 89.4%となっている。この違いは、出生動向基本調査は「いずれ結婚するつもり」「一生結婚するつもりはない」の二択であるのに対し、本調査では、生活満足度や将来の見通しに関する意見について、あてはまるかどうかを複数回答で尋ねた質問の選択肢の一つであるという、質問方法の違いが影響していると考えられる。

また、現在または結婚を決めた当時における結婚をすることに対する規範意識については、「ある年齢になれば結婚することが自然と考えている」に対して、男性の 53.1%、女性の 61.8%が「そう思う」あるいは「少しそう思う」と回答していた。現在の交際状況別に男女を比較すると、いずれの交際状況においても、女性の方が「そう思う」あるいは「少しそう思う」と回答する割合が高くなっていた。また、結婚している(結婚が決まっている)人はその他の交際状況にある人に比べて、肯定的な回答割合が高くなっていた(表 3-1-2)。

交際相手との結婚の希望について

実際に交際している相手との結婚意欲について、3 年前に交際していた相手との 3 年前時点での結婚意欲を尋ねたところ、「近いうちに結婚したいと考えていた」と「将来的には結婚を考えていた」が男性で 67.2%、女性で 73.5%であり、半数以上が結婚を意識して交際していた(表 3-2-1)。次に、現在の交際状況別で結婚していないが恋人がいる人の、現在の交際相手との結婚意欲は、「近いうちに結婚したいと考えている」が男性で 18.2%、女性で 20.4%と 3 年前の男性 12.4%、女性 17.6%から増加していた。また、「結婚しないだろうと考えている」も男性 10.4%、女性 10.0%で、3年前の男性 13.1%、女性 16.2%から減少していた(表 3-2-2)。

3年前の交際相手との結婚について「近いうちに結婚したいと考えていた」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「家族になりたいと思える相手だったから」が男女ともに割合が高く、特に現在結婚している(結婚が決まっている)女性で 72.6%となっていた(図 4)。
次に、「結婚相手に求める状況を満たしていると思ったから」「子どもがほしかったから」が男女ともに割合が高い傾向にあったが、「自分が特定の年齢になるから」「交際期間が長くなったから」「婚期を逃したくなかったから」といった時期に関わる理由については、現在の交際状況別にいずれも、女性の方が男性よりも割合が高くなっていた(図 1、図 2、図 4)。

現在の交際相手と近いうちに結婚したいと考えている理由は、男性では「家族になりたいと思える相手だから」が 61.4%、「結婚相手に求める条件を満たしていると思うから」が49.5%であり、女性では、「家族になりたいと思える相手だから」が 71.0%と3年前より増加し、「子どもがほしいから」が 49.2%、「自分が特定の年齢になるから」が 48.1%であった(図 3)。「結婚相手に求める条件を満たしていると思うから」については女性が 37.4%であり、男性の方が割合が高くなっており、「自分が特定の年齢になるから」については男性が 19.5%、「子どもが欲しいから」は男性が 30.9%で女性の方が割合が高かった(図 3)。

さらに、現在結婚している(結婚が決まっている)人の結婚しようと思った理由は、「家族になりたいと思える相手だったから」が男性は 65.2%、女性は 72.7%、「結婚相手に求める条件を満たしていたから」が男性は 47.9%、女性は 37.3%と男女ともに多くなっていた。
これに対し、「自分が特定の年齢になるから」は女性では 27.8%であるが、男性は 12.7%であり、男女で差が生じていた(図 5)。

また、3 年前の交際相手との結婚について「近いうちに結婚したいと考えていた」以外を回答した人の、近いうちの結婚を考えていなかった理由は、現在結婚している(結婚が決まっている)人を除いて、「結婚する必要性をまだ感じなかったから」が最も多く、「結婚を決めるタイミング、きっかけがなかったから」「結婚後の経済状況に不安があったから」が続いた(図 6、図 7)。なお、現在結婚している(結婚が決まっている)人では「結婚を決めるタイミング、きっかけがなかったから」が男女ともに最も多くなっているものの、女性はいずれの選択肢も選択する割合が低く、男女で異なる傾向を示していた(図 9)

現在、結婚していないが恋人がいる人の、現在の交際相手との近いうちの結婚を考えていない理由は、「結婚する必要性をまだ感じないから」が男性は 34.7%、女性は 23.5%、「結婚を決めるタイミング、きっかけがないから」が男性は 25.1%、女性は 37.9%、「結婚後の経済状況に不安があるから」が男性は 20.3%、女性は 22.5%と多くなっていた(図 8)。

家族形成に対する意識について

結婚したいと考えていた、あるいは結婚した理由に関して、「家族になりたいと思える相手だったから」が多いことから、家族形成に関する意識についての質問の回答をみると、まず、「父親・母親になった時の自分を(なんとなく)イメージできる」に対しては、「あまりそう思わない」「そう思わない」が男性は 60.7%、女性は 61.3%であり半数以上となった(表 3-3-1)。次に、「一生のうち、自分が子どもをもてなくてもかまわない」かどうかについては、男性の 61.4%、女性の 69.1%が「あまりそう思わない」あるいは「そう思わない」と回答していた。特に、結婚している(結婚が決まっている)人ではその他の交際状況の人よりも、「そう思わない」の割合が高く、「そう思う」の割合が低くなっており、子どもを持つことに対する意欲が高いことがうかがえる(表 3-3-2)。

結婚後の生活に関する意識について

掃除、料理、洗濯といった家事の夫婦の分業について尋ねたところ、3 年前では、「夫・妻に関わらず、時間に余裕のある方が主に行う」が男女ともに割合が高く、男性は 46.9%、女性は 43.9%であった。「妻が主に行う」と考える人の割合は男性が 18.8%、女性が 32.8%と女性の方が高く、男女ともに現在結婚している(結婚が決まっている)人がその他の交際状況の人よりも割合が高くなっていた(表 3-4-1)。

現在または結婚を決めた当時の夫婦の分業についての考えを、現在結婚していないが恋人がいる人と結婚している(結婚が決まっている)人に尋ねたところ、「夫・妻に関わらず、時間に余裕のある方が主に行う」が最も割合が高く、男性で 51.3%、女性で 45.4%であり、「妻が主に行う」は結婚している(結婚が決まっている)女性で割合が高く 37.6%であった(表 3-4-2)。
「夫が主に行う」はどちらの時点でも最も割合が低いが、女性よりも男性の方がわずかに高くなっていた(表 3-4-1、3-4-2)。

3 年前当時、結婚後自分もしくは相手の親と同居する予定があるかどうかについては、「同居するつもりはなかった」が最も割合が高く、現在の交際状況別に、結婚しておらず、恋人もいない人では、男性が 34.5%、女性が 41.2%、結婚していないが恋人がいる人で、男性が 41.5%、女性が 44.7%、結婚している(結婚が決まっている)人で男性が 64.2%、女性が 72.6%で、特に結婚している(結婚が決まっている)女性でその割合が高くなっていた(表 3-4-3)。

仕事や生活に関する意識について

仕事のやりがいや目標などについて、3 年前の時点では男女ともに「当時の仕事にはやりがいがあった」、「当時の職場の人間関係について不満に思うことがあった」、「希望すれば、5 年後も当時の職場で働き続けられそうだった」にあてはまるとした人の割合は、現在、結婚している(結婚が決まっている)人で高くなっていた。また、「当時の職場で、昇給や昇進は見込めなかった」にあてはまる割合は、現在の交際状況による差があまり見られなかった(表 3-5-1)。

現在または結婚を決めた当時においては、「仕事にはやりがいがある」、「希望すれば、5 年後も現在の職場で働き続けられる」にあてはまるとした人の割合が、結婚している(結婚が決まっている)人で高くなっており、「職場の人間関係について不満に思うことがある」にあてはまっている人の割合は、女性において、結婚している人(結婚が決まっている人)で高くなっていた。また、「昇給や昇進は見込めない」とした人の割合は男性では、結婚しておらず、恋人もいない人で 27.8%、結婚していないが恋人がいる人で 21.1%、結婚している(結婚が決まっている)人で 13.8%となっており、女性でも、結婚しておらず、恋人もいない人で 36.2%、結婚していないが恋人がいる人で 31.7%、結婚している(結婚が決まっている)人で 24.5%と、3 年前と異なり、交際状況毎に差が生じていた(表 3-5-2)。

生活への満足度や将来の見通しについて、3 年前の時点では「当時の生活に満足していた」、「自分の将来の仕事や生活に希望があった」、「今後 5 年間の収入は増えると思っていた」という意見にあてはまる人の割合は、男女ともに、現在結婚している(結婚が決まっている)人がそれ以外の交際状況の人よりも高くなっていた(表 3-5-3)。

現在または結婚を決めた当時では、「生活に満足している」、「自分の将来の仕事や生活に希望がある」にあてはまる人の割合は結婚している(結婚が決まっている)人で高く、「今後 5 年間の収入は増えると思っている」については男性のみ結婚をしている(結婚が決まっている)人の割合が高くなっていた(表 3-5-4)。


【調査概要】
・調査名:結婚の意思決定に関する意識調査
・調査方法:株式会社イデア・プロジェットによる請負調査。調査会社の登録モニターに対するインターネット調査
・調査期間:平成 28 年 2 月 29 日~3 月 25 日
・調査区域:全国
・調査対象:年齢 25 歳以上 34 歳以下の男女
・対象条件:
 「3 年前には未婚であり、恋人として交際していた異性がいた者」かつ、「現在も未婚であり、本人・交際相手とも結婚経験がない者、または、現在は既婚であり、初婚同士の者」
・有効回答数:13,321 名(目標有効回答数 10,200 名以上)
・回答者の構成:未既婚、性別は目標有効回答数に対し半数以上を確保し、地域(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)について国勢調査と比較して極端な偏りがないよう収集。

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