データセンター調査報告書2016 

2016年09月28日
インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、データセンター利用に関する調査結果を発表しました。また、本調査結果をまとめた新産業調査レポート『データセンター調査報告書2016』の販売を2016年9月29日(木)より開始いたします。

本書は、インプレスの専門メディア『データセンター完全ガイド』による監修のもと、データセンターの市場動向、サービス動向、テクノロジー動向、データセンター事業者の意向、ユーザー企業の利用動向と採用検討担当者の意向と現場の実態などをまとめた調査報告書です。2007年に第1回目のレポートを発行し、今年で10年目を迎えました。2000年の創刊以来、データセンター完全ガイドが蓄積してきた資料・データや知見をもとに、過去から現在に至るデータセンター市場・産業の変遷から将来に向けた動向予測までを網羅しています。

【調査結果ハイライト】

[データセンター事業者における現状・意向調査 注目の調査結果]

■現在の施設・設備を「すべて自社保有」している事業者は36%
データセンター事業者に対して、データセンタービジネスの根幹である施設・設備の保有(自社所有)の状況について本年度、初めて調査したところ、「すべて自社保有」している事業者は36%となりました。「一部は自社保有で、一部はDC in DC」※は28%で、「すべてをDC in DCにて調達」は34%となっています。総じて言えば、2016年の施設・設備の調査では、その保有形態がきれいに三分されています。

データセンターサービスは、ファシリティとコネクティビティ(ネット回線)をサービスとして提供するビジネスです。その一方であるファシリティの保有状況を見ると、一部の事業者のなかには「持たざる経営」へ移行していると推測されます。

※DC in DC:データセンターとして利用可能な施設・設備を保有している事業者を大家として、別の事業者がその一部を借り受けてサービス提供する形態。大家は、同業で競合他社となる事業者とは限らず、データセンター専用ビルなどを提供する不動産業者のケースもある。どちらにおいても投資ではなく費用として扱えるため、店子の事業者にとっては財務上のメリットがある。また、自社保有のデータセンターを新設していてはビジネススピードに劣ると判断した場合も、利用可能なデータセンターリソースをDC in DCにて拡充するケースもある。

■今後の施設・設備は 「DC in DCにて調達予定」が45%と最多
施設・設備(ファシリティ)における今後の調達方法(意向)では、「DC in DCにて調達予定」が45%と最多で、「自社保有の予定」の38%を上回っています。自社保有するよりも外部から調達してサービス提供した方が、ビジネス上有利になると考えている事業者が半数近くいるという結果となっています。

事業者の売上規模別に見ると、規模が大きいほど「自社保有の予定」多くなる傾向が見られます。

現在の保有状況ごとに分けて見ると、すべて自社保有している事業者は今後も自社保有の予定、すべてDC in DCで調達している事業者は今後もDC in DCで調達する意向を持っています。一部でもDC in DCで調達している事業者は今後DC in DCにて調達する意向の方が多い傾向にあります。

将来的には自社保有する事業者の数は少なくなっていく一方で、保有している競合の事業者からあるいは不動産業など他の業種からビル、フロア、そしてデータセンター用設備まで含めて調達してデータセンターサービスを提供していく事業者とに、二分していくことが予想されます。

産業として成熟していくと細かなレイヤーの積み重ねに変わっていくものですが、データセンターサービス提供という産業も、そうした変化、高度化が進行しつつあることが読み取れます。

[採用検討企業担当者への調査 注目の調査結果]

■新規または乗り換え用のデータセンターを探している時に検討したITサービスでは、62%がデータセンター(ハウジング/コロケーション)以外も検討
データセンターの採用を検討していた企業担当者に対して、新規にまたは乗り換え用のデータセンターを探している時に検討したITサービスを調査したところ、62%がデータセンター(ハウジング/コロケーション)以外も併せて検討しています(「特にない」27%と「わからない」11%以外)。なかでも「Amazon Web Service」(35%)と「Microsoft Azure」(34%)を同時に比較・検討するユーザー企業が多い結果となっています。
データセンターを探した結果は3つの採用状況に分かれ(採用した、検討継続中、採用を諦めた)、それら3つに分けて見ると、採用した企業では「特にない」が77%と多くを占めており、データセンター(ハウジング/コロケーション)と同時に他のITサービスまで採用した企業は少ないです。

一方、検討継続中と採用を諦めた企業では「特にない」がどちらも21%と低く、逆に言えば同時に何らかのITサービスを検討している状況がうかがえます。検討継続中では「Microsoft Azure」が44%と最多で、「Amazon Web Service」が僅差の42%で続きます。以降、「レンタルサーバー」が16%でその他は限定的であり、採用を諦めた企業も同様の傾向が見られます。


【調査概要】

■データセンター事業に関する意向調査
・目的:データセンター事業を運営する企業に対して、大手クラウドサービスとの連携やパブリック/ハイブリッド/ホステッドプライベート/SaaSといったクラウドサービスとVDIサービスの提供状況、ファシリティ保有状況と今後の調達意向、今後の事業の方向性や戦略(投資状況や今後の事業継続性)について調査している
・調査対象:株式会社インプレスが発行する国内唯一の専門媒体「データセンター完全ガイド」が保有しているデータセンターサービス193事業者の担当者
・有効回答数:50社
・調査手法:対象者にメールを送付し、Web上のアンケートフォームへ誘導
・調査期間:2016年8月31日(水)~9月13日(火)
・調査企画・実施:株式会社インプレス インプレス総合研究所

■データセンター担当者への実態調査
・目的:データセンターユーザーに実施した調査をもとに、ユーザー動向を把握する
・調査対象:NTTコム リサーチの保有する消費者モニター
・有効回答数:212サンプル
・調査対象:勤務先においてデータセンターを利用していて、データセンターの選定や決定に関与する個人
・調査手法:Webアンケート
・調査期間:2016年8月18日(木)~29日(月)
・調査企画:株式会社インプレス インプレス総合研究所
・調査実施:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

■データセンター採用検討企業担当者への調査
・目的:データセンターサービスを実際に採用するタイミングの検討担当者に対しアンケート調査を行い、比較・検討・採用決定現場の実際を把握することを目的としている
・調査対象:株式会社インプレスが運営する国内唯一の専門媒体『データセンター完全ガイド』のサイトで提供しているデータセンターサービスについての「一括資料請求」または「一括見積依頼」(いずれも無料利用)を、2014年7月~2016年8月(約2年間)に利用した方が対象
・有効回答数:113サンプル
・調査手法:対象者にメールを送付し、Web上のアンケートフォームへ誘導
・調査期間:2016年8月19日(木)~9月5日(月)
・調査企画・実施 :株式会社インプレス インプレス総合研究所

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