2015年度 日本の国際競争力調査(経団連会員企業278社(製造業173社、非製造業105社)) 

2016年06月21日
日本経済団体連合会(経団連)は、2015年度 日本の国際競争力調査結果を発表。

【調査結果総括】

・わが国の企業は、総じてグローバル市場で競合企業と伍していける競争力があると評価しており、将来の見通しも明るさを増している。

・国際競争力の現状評価において、「高い競争力を有している/若干高い競争力を有している」と回答した企業は約4割(38.6%)であり、3年後の競争力の見通しは「現状より高くなっている/若干高くなっている」と回答した企業は 6割を超えた(67.1%)。

・グローバル市場における日本企業の強みは「製品・サービスの性能・品質」「研究開発・技術」。弱みとして挙げられたのは「マーケティング・販売」「製品・サービスの開発・生産コスト」。

・わが国のビジネス環境については、特にアメリカとの比較において「劣る」との評価が多い。ドイツとの比較では同水準とする項目が多く見られ、ASEAN諸国との比較では優位にある項目が多い。

・競争力強化に向けては、「税負担」「規制」「労働の柔軟性」を改革すべきという回答が上位を占めた。

・IoTやビッグデータ等の利活用により、自社の競争力に影響があると考える企業が9割近くにのぼる一方、実際のビジネスに活用しているのは4割程度である。


【調査結果】

2. 日本企業の国際競争力

2-1 競合企業の国籍
・競合先としては、日本企業(42.2%)が多く、アメリカ(15.0%)、中国(11.7%)、ドイツ(9.6%)が続く。
・競合先の傾向は昨年度調査と概ね同様の水準で推移している。

2-2 競争力の現状評価と見通し
・グローバル市場における競争力の現状評価では、「高い競争力を有している(若干高い競争力を有している含む)」との回答が約4割に達し、3年後の見通しについては6割以上の企業が「現状より高くなっている(現状より若干高くなっている含む)」とした。

2-3 競争力の現状評価と見通し(回答別の傾向)
・競争力の現状評価にて、「高い競争力を有している」または「若干高い競争力を有している」と回答した企業は、3年後の競争力の見通しについても「現状より高くなっている」または「現状より若干高くなっている」という明るい展望を描いている回答が多い。
・一方、現状評価にて「競争力が低くなってる」または「競争力を失っている」と回答した企業は、3年後の競争力の見通しについても「現状と同程度」または「現状より低くなっている」という先行きを不安視した回答が多い。

2-4 競争力の現状評価と見通し(製造業・非製造業別)
・グローバル市場における競争力の現状評価では、「高い競争力を有している(若干高い競争力を有している含む)」と回答したのは製造業で4割以上、非製造業は3割未満。
・3年後の競争力の見通しについては、製造業、非製造業ともに「現状より高くなっている(現状より若干高くなっている含む)」との回答が6割を超える。

2-5 自社の強みと弱み(2015年度)
・グローバル市場における日本企業の強みは「製品・サービスの性能・品質」「研究開発・技術」が挙げられる。他方、弱みは「マーケティング・販売」「製品・サービスの開発・生産コスト」との回答が多い。

(参考) 自社の強みと弱み(2014年度)
グローバル市場における日本企業の競争力の源泉は「製品・サービスの性能・品質」「研究開発・技術」「アフター・サービス」等。他方、競合企業の強み(自社の弱み)は「製品・サービスの開発・生産コスト」「マーケティング・販売」「ビジネスモデル」等。

2-6 競争力強化に向けた今後の取組み
・今後、企業は競争力強化に向けて「新製品・サービスの開発(42.7%)」「人材の育成・獲得(32.7%)」「海外展開(32.7%)」「M&A(25.0%)」「ビジネスモデルの変革(24.5%)」に注力することがうかがえる。

3. 日本のビジネス環境に関する評価

3-1 ベンチマーク国(注1)
・ビジネス環境が優れていると考えられる国は、アメリカが半数近くを占め、ドイツ、ASEAN諸国が続く。

3-2-1 日本のビジネス環境の個別評価(アメリカとの比較)
・アメリカと比較した日本は、多くの項目で競争劣位にあるといえる。特に、「外国人の受入れ体制」「起業環境」「労働の柔軟性」「科学技術イノベーション環境(研修開発機関の質、科学者・技術者の質量)」「規制」「国内市場(市場規模、消費者の質)」等において「比較的劣る」との評価が多い。

3-2-2 日本のビジネス環境の個別評価(ドイツとの比較)
・ドイツと比較した日本は、多くの項目で同水準の競争力を有しているといえる。他方、「外国人の受入れ体制」「規制」等において「比較的劣る」との評価が多い。

3-2-3 日本のビジネス環境の個別評価(ASEAN諸国との比較)
・ASEAN諸国と比較した日本は、「国内市場(市場規模、消費者の質)」「土地・水利用(店舗や工場立地の難易度、水へのアクセス等)」「知的財産の保護」等、多くの項目で競争優位にあるといえる。
他方、「税負担」「教育制度」「外国人の受入れ体制」等では比較的劣るとの評価である。

3-3 競争力強化に必要なビジネス環境の改革
・企業の競争力強化に必要なビジネス環境の改革について、税負担(30.6%)、規制(28.5%)、労働の柔軟性(18.6%)に関する回答が多い。

3-4 3年後の改革見通し
・企業の競争力強化に必要なビジネス環境の改革について、上位5項目に関する3年後の見通しでは、高度人材を除き、「若干改善する」という回答が多い。

4.次世代技術の活用等

4-1 現状認識
・IoTやビッグデータ等の利活用が自社の競争力に影響を与えると考えている回答は9割近くにのぼる。

4-2 IoT、ビッグデータの現在の活用状況
・IoTやビッグデータを実際のビジネスに活用しているのは4割程度であるが、「一部試験的に導入している」「活用を検討している」を含めると9割近くにのぼる。

4-3 具体的な活用方法
・IoT、ビッグデータの活用は、「マーケティング、顧客管理」「製品・サービス開発」「生産」が多い。
・製造業では、「生産」「マーケティング、顧客管理」「製品・サービス開発」の順に多く、非製造業では、「マーケティング、顧客管理」「製品・サービス開発」「営業・販売」の順になっている。

4-4 競合企業との活用状況の比較
・2-1で回答した競合企業との活用状況について、「先行している(若干先行している含む)」との回答は製造業、非製造業ともに約1割に留まる。
・製造業の4割強が、競合企業と比べて活用が遅れていると回答。

4-5 活用に向けた自社の課題
・IoT、ビッグデータの活用にあたっては、「データの管理・分析を行う人材の不足」「導入メリットの不透明さ」「技術への認識・理解の不足」「セキュリティへの懸念」が課題としての認識が高い。

4-6 活用に向けた自社の課題(製造業・非製造業別)
・製造業と非製造業で課題の順位に大きな差はなかったが、「技術への認識・理解の不足」「予算の制約」の割合は製造業が10ポイント程度上回る結果となった。

4-7 政府に求める取組み
・IoT、ビッグデータがビジネスや生活で広く活用されるために政府に求める取組みは、「セキュリティ対策の強化」を筆頭に、「データ流通促進に関するルール整備」「人材育成」が続く。

4-8 政府に求める取組み(製造業・非製造業別)
・製造業、非製造業問わず、「セキュリティ対策の強化」「データ流通促進に関するルール整備」「人材育成」への取組みを求める回答が多い。製造業では「規格の国際標準化の推進」を求める声が多い。


【調査概要】
趣旨:わが国企業の競争力やビジネス環境の充実度を競合する企業・国家との比較により把握し、適切な政策立案・実行に供する。
時期:2016年3月~4月
対象:経団連会員企業
方法:選択・記入式
回答数:278社(製造業173社、非製造業105社)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本経済団体連合会]
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