「歯科診療」及び「歯科医師」に関する意識調査(10~70代男女対象、) 

2016年11月01日
日本私立歯科大学協会は、11月8日のいい歯の日を前に、10~70代の幅広い世代の男女1,000名(全国6エリア)に対して、「歯科診療」及び「歯科医師」に関する意識調査を実施しました。前回(2012年)に続き、今回が4回目の調査となります。

<調査トピックス>

【かかりつけ歯科医院があるのは3人に2人。ポイントは「人柄」 】
■かかりつけの歯科医院がある人は、全体の3人に2人(64.3%)。満足度は約80点(80.3点)。
■かかりつけ歯科医院を選ぶポイントは「人柄」(50.5%)、「技術」(46.7%)、「立地」(46.4%)など。前回調査トップの「立地」は3位に後退し「人柄」重視に。

【理想の歯科医師像TOP、男性福山雅治さん、女性天海祐希さん】
■理想の歯科医師は、「丁寧な治療」(71.8%)を「高い技術」(68.7%)でしてくれる人。さらに、「人柄がよい・優しい」(67.7%)という点も重要。
■歯科医師の仕事は、「高収入」(85.0%)かつ「やりがい」(83.0%)があり、「尊敬される」(82.2%)仕事であるというイメージ。前回調査よりポジティブな項目がアップ。
■有名人に例えると、男性では「福山雅治」さん(53票)、女性では「天海祐希」さん(72票)が1位。

【7割超が歯や口腔の健康について“自信ナシ”(74.1%)と回答】
■約7割(74.1%)が、自分の歯や口腔環境に「自信がない」と回答。
■歯科医院でのオーラルケアは、91.2%が必要だと感じているが、受診率は34.6%にとどまる。
■歯や口腔の健康に「自信がある」人ほど、健康や笑顔にも自信があり、毎日が充実。
■他人の口内環境で気になることは「口臭」(68.3%)が1位。

◆調査期間:2016年10月7日(金)~10月11日(火)
◆調査対象:10~70代の男女1,000名

<調査結果>

1:歯科診療・歯科医師に対する意識と実態

<歯科医院とのつきあい方>
◆歯科医院に「通ったことがない」人は5.1%。94.9%と大多数が通院経験者。
◆歯科医院へは「むし歯の治療」(54.8%)のために訪れる人が最も多いが、「歯垢・歯石除去」(28.9%)、「むし歯の予防」(19.9%)などの声も目立つ。

はじめに、「歯科医院への通院経験」を聞いたところ、94.9%と大多数が「通院したことがある」と回答。通院経験のない人は5.1%と極めて少ない結果となりました。また、「現在通院している」人も16.8%と全体の1割強にのぼっています。
 
「歯科医院に通う(通った)目的」としては、「むし歯の治療」(54.8%)が最多となったほか、「歯垢・歯石除去」(28.9%)、「むし歯の予防」(19.9%)、「定期健診」(16.8%)など、クリーニングや予防目的で歯科医院を利用するという声も目立っています。
 
また、「主にどのような時に歯科医院に行きますか?」という質問でも、「定期健診などで定期的に受診している」(30.3%)という回答が最も多く、「歯に痛みを感じたり、症状をはっきり自覚した時」(29.3%)を上回る結果に。定期的な歯科受診の考え方が根付きはじめている様子がうかがえます。
 
<かかりつけ歯科医院とのつきあい方>
◆3人に2人(64.3%)にかかりつけの歯科医院がある。
◆かかりつけになってからの年数は、平均「9.1」年。
◆かかりつけの歯科医院の「満足度」は、どの年の調査でも約80点で高め安定。
 
続いて、「かかりつけの歯科医院があるか」を聞いたところ、3人に2人(64.3%)が「ある」と回答。性別では、男性(58.5%)よりも、女性(69.9%)のほうが、かかりつけの歯科医院がある人が多い傾向にあるようです。年代別では、40代以降ではいずれの年代においても「ある」と回答した人が半数を超えており、50代・60代・70代と年齢が高くなるにつれて割合も増えています。
 
なお、「かかりつけになってからの年数」としては、平均「9.1年」という結果に。年代別にみると、20代が「5.5年」で最も年数が少なく、50代が「11.5年」と最も多い年数を回答しています。
 
さらに、かかりつけの歯科医院の「満足度」を聞くと、全体平均で「80.3点」となりました。こちらについては、性別や年代による違いはほとんどなく、どの世代でも80点前後の点数がつけられています。なお、前回、前々回と比べると微増しており、歯科医院への満足度は約80点で常に高めで安定しているようです。
 
<かかりつけ歯科医院のメリット・選ぶ基準>
◆かかりつけ歯科医院があるメリットは、「緊張しない」(42.0%)が最多。
◆かかりつけ歯科医院を選ぶ際の「基準」は「人柄」「技術力」「立地」。
◆「通いやすさ」以上に、「歯科医師の人物像」が重視される傾向に。
 
かかりつけの歯科医院がある方(610人)に、そのメリットを聞くと、「治療中あまり緊張しない」(42.0%)、「虫歯や歯周病が重症化しにくい」(28.7%)、「虫歯や歯周病になりにくい」(28.2%)、「歯が長持ちする」(25.2%)が上位に。精神的な安心感はもちろんのこと、治療の経過や口腔状態がわかっていることで、適切な治療が受けられると考える人が多い様子がうかがえます。
 
また、「かかりつけ歯科医院を選ぶ際の基準」についての質問では、「歯科医師の人柄がよい」(50.5%)、「歯科医師の技術が高い」(46.7%)がツートップに。前回(2012年)調査では「立地がよい」が65.0%で最多でしたが、近年は「通いやすさ」以上に、「歯科医師の人物像」が重視されるようになってきていることがわかります。
 
<歯科医院・歯科医師のイメージ>
◆歯科医師のイメージは「清潔」、「丁寧」で「信頼できる」。
◆職業としては、「高収入」で「やりがいのある」「尊敬される」イメージ。前回調査よりポジティブなイメージが強くなっている。
 
次に、「歯科医師のイメージ」について調査しました。6項目について、AとBの相反する選択肢から自分の評価に近いものを選択いただいています。その結果、歯科医師のイメージとしては、「清潔だ」(90.1%)、「丁寧だ」(80.4%)、「信頼できる」(78.3%)、「やさしい」(67.5%)などの回答が多く挙がりました。
 
では、職業として捉えた「歯科医師のイメージ」はどうでしょうか。「収入が高い仕事」(85.0%)、「やりがいがある仕事」(83.0%)、「尊敬される仕事」(82.2%)などの回答が上位になる一方、その重責からか、「ハードな仕事」(76.2%)というイメージを持つ人も多いようです。なお、前回調査と比べると、ポジティブな項目の回答割合が高まっており、歯科医のイメージが向上している様子がうかがえます。
 
<理想の歯科医師像>
◆「理想の歯科医師」三大条件は、「丁寧な治療」、「高い技術」、「人柄」。
 
自身が考える「理想の歯科医師」について聞いてみると、「丁寧な治療をしてくれる」が71.8%で最多になりました。以下、「高い技術で治療をしてくれる」(68.7%)、「人柄がよい・優しい」(67.7%)と続いています。全体的に男性より女性のほうがポイントが高く、歯科医師へより高い要望を持っていることがわかります。
 
◆理想の歯科医師、有名人に例えると…福山雅治さん、天海祐希さんがTOPに。
 
さらに今回、「この人が歯科医師だったら、診てもらいたいと思う有名人」を聞いたところ、男性では福山雅治さん(53票)、女性では天海祐希さん(72票)がそれぞれ1位に輝きました。天海さんは2011年の第2回調査から5年ぶり、福山さんは2010年の第1回から6年ぶりにトップに返り咲いています。
 
2:口内環境に対する意識と実態
 
<日本人のお口の悩み>
◆歯や口腔の悩みとしては、「食べ物がはさまる」、「むし歯がある」、「歯並び・噛み合わせ・すき歯」などが多い。
◆自分の歯や口腔の健康には、4人に3人が「自信がない」(74.1%)。
 
続いて、「口内環境」に対する意識・実態をテーマに調査しました。まず、現在の「歯や口腔の悩み」を聞くと、「食べ物がはさまる」(26.1%)、「むし歯がある」(24.5%)、「歯並び・噛み合わせ・すき歯」(22.9%)などが上位になりました。年代別では、10代で「歯並び・噛み合わせ・すき歯」(28.2%)、20代で「むし歯がある」(31.0%)、30代で「食べ物がはさまる」(28.9%)が最多になるなど、年代によっても大きな差があることがわかります。
 
自分の「歯や口腔の健康に対する自信」を質問すると、「自信がある」と答えた人は25.9%にとどまり、残りの4人に3人(74.1%)は「自信がない」と答えました。前回調査(77.8%)と比べると、やや少なくなっているものの、依然として自信を持てずにいる人が大多数のようです。
 
<歯や口腔状態による影響/自身の歯の状態>
◆歯や口腔の健康に対する自信の有無によって、口内以外の健康面や、精神面においても違いがみられる。
◆特に、「健康である」 「笑顔に自信がある」 「毎日が充実している」などの項目で差が顕著。
 
さらに、前述の「歯や口腔の健康に対する自信」の有無による影響を知るため、8つの項目について、「自信がある」グループ・「自信がない」グループにわけて質問をおこなったところ、全ての項目で「自信の有無」による回答の違いがみられる結果になりました。
 
特に、「健康である」と思うかどうかについては、2グループ間で大きな違いがみられ、歯や口腔の健康に「自信がある」グループでは84.6%が「健康である」と答えたのに対して、「自信がない」グループでは54.1%と、30.5ポイントもの差が生じました。また、「笑顔に自信がある」(27.0ポイントの差)、「毎日が充実している」(24.5ポイントの差)などの項目についても、2グループ間の差が目立っています。
 
◆10代・20代の「歯の本数」は平均28.7本。年齢とともに平均本数は減少し、 50代では25.1本、60代では24.3本、70代では21.8本。
 
今回は、「自身の歯の本数」についても調査を実施しました。ヒトの永久歯は全部で28本であり、親知らずが4本あると合計32本になります。
 
年代別に回答をみると、10代・20代ではいずれも平均28.7本ですが、年齢を重ねるにつれて平均本数は減っていき、50代では25.1本、60代では24.3本、70代では21.8本がそれぞれ平均値となりました。老化がすすむと、歯が抜けやすくなったり、もろくなったりするため、若いうちから歯の健康を意識することが重要です。
 
<歯や口腔の健康についての考え>
◆歯や口腔を健康に保つことは、「全身の健康にとって大切である」と考える人が9割以上(94.1%)。
◆自分の歯で食事を行うことが、「健康長寿において重要」と回答した人も90.0%にのぼった。
 
「歯や口腔の健康についての考え」を聞いたところ、歯や口腔を健康に保つことが「全身の健康にとって大切である」と回答した人が94.1%という結果でした。また、「歯や口腔を健康に保つことは、体の老化を防止することに役立つ」、「自分の歯で食事を行うことが、健康長寿において重要だ」と回答した人も多く、それぞれ90.0%にのぼっています。
 
さらに、歯や口腔を健康に保つことが、「アンチエイジングに役立つ」(84.8%)、「脳の健康に役立つ」(72.8%)、「肥満を防止することに役立つ」(57.9%)と考える人なども少なくないようです。
 
<気になる!他人の口内環境>
◆他人の口内環境で気になるポイントは、「口臭」「着色汚れ」「歯並び」。
◆口臭は、自分(12.4%)が気になる以上に、他人(68.3%)が気になるもの。
 
また、「他人の口内環境で気になる点」を聞いたところ、「口臭が強い」(68.3%)が最も多く、以下、「タバコのヤニ・茶渋の沈着・歯の黄ばみ」(59.2%)、「歯並び・すき歯・噛み合わせが悪い」(57.1%)、「歯垢・歯石が多い」(53.3%)と続きました。
 
なお、1位となった「口臭」(68.3%)は、自分の口臭(12.4%)で悩む以上に気になるもののようで、50ポイント以上の大差がついています。自分で気付かないうちに、口臭をはじめとした口腔トラブルで他人に不快な思いをさせている可能性もあるため、歯科医院を定期的に受診し、早めのチェックで口腔トラブルに対処することが重要です。
 
3:オーラルケアに対する意識と実態
 
<自宅でのオーラルケア>
◆自分で行うオーラルケアは「歯ブラシでの歯磨き」、「歯間ブラシ・フロス」、「マウスウォッシュ」など。男性より女性のほうがケアに熱心。
 
ここからはオーラルケアについて見ていきます。オーラルケアとは、口腔内のケア、つまり歯や歯ぐき、舌などを清潔にし、健康的に保つことを指します。オーラルケアの実施は、歯周病など口腔の病気や口臭の予防につながると同時に、糖尿病など全身病の改善や誤嚥性肺炎の予防に役立ちます。
 
「自分で行っているオーラルケア」は、「歯ブラシで歯磨き」(85.2%)が最も多く、以下、「歯間ブラシやフロスを使用する」(34.6%)、「自分に合った歯ブラシを選ぶ」(30.4%)、「マウスウォッシュを使用する」(23.2%)、「舌の掃除をする」(22.6%)と続きました。全体的に、男性より女性のほうがオーラルケアへの意識が高いようです。また、60代・70代では、歯間ブラシやフロスの利用率が大きく上がり、60代では52.1%、70代では47.9%が利用しています。
 
<歯科医院でのオーラルケア>
◆歯科医院でのオーラルケア、9割以上が「必要」と回答。
◆実際に受診している人も、3人に1人(34.6%)にのぼっている。
◆一方で、「必要だと思うが、受けていない」人も半数以上(56.6%)。
 
続いて「歯科医院でのオーラルケア」について聞いたところ、34.6%が「必要だと思うので、実際に受けている」と回答。3人に1人が、歯科医院でのオーラルケアを実践しているようです。
 
さらに、「必要だと思うが、実際には受けていない」人も56.6%と約6割で、合計すると、9割以上が「歯科医院でのオーラルケア」の必要性を認識していることになります。頭では理解しつつもアクションが起こせていないという人がまだ多数派のようです。
 
◆歯科医院で行うオーラルケアは、「歯垢・歯石除去」(87.3%)が最多。
◆10代は「フッ素塗布」、60代は「歯周病チェック」など、年代による差異も。
 
歯科医院で実際にオーラルケアを受けていると回答した人(346名)にその内容を聞くと、「歯垢・歯石除去」(87.3%)が最多で、以下、「むし歯のチェック」(67.3%)、「歯周病チェック・予防」(60.1%)、「歯磨き指導」(58.1%)と続きました。
 
年代別でも違いがみられ、10代では「フッ素塗布」が37.5%と、全体平均(20.5%)を大きく上回っているほか、60代では「歯周病チェック・予防」(80.6%)の回答、70代では「義歯のメンテナンス」(26.1%)の回答が目立っています。
 
4:歯科医療について
 
<歯科医院・歯科医療の将来>
◆高齢化社会において重要視される訪問(在宅往診)歯科診療。半数近くが認知し、利用経験者も前回からアップ。
 
高齢化が進む日本社会においては、将来的に、通院ではなく、歯科医師や歯科衛生士が自宅に来て診療する「訪問(在宅往診)歯科診療」の需要が増えていくと考えられます。
 
現時点での利用・認知状況を聞くと、訪問(在宅往診)歯科診療を自分または家族が利用したことがある人は9.8%で、前回(2012年)調査の5.4%からアップしています。さらに、認知率についても、前回の40.8%から、半数近い46.1%に上がりました。
 
◆未来の歯科医療について実現を望むもの、TOP3は、「痛みのない治療」、「歯の再生化」、「歯を抜かない治療」。
 
さらに今回は、「未来の歯科医療について、実現を望むこと」についても聞きました。その結果、「痛みのない治療」(72.3%)、「歯の再生化」(56.1%)、「歯を抜かない治療」(54.7%)が上位にランクインしています。
 
年代が高いほど実現してほしいことが増える傾向にあり、特に60代・70代では、「歯の再生化」(60代:63.2%、70代:54.9%)、「歯ぐきの再生」(60代:48.6%、70代:43.7%)などを望む声が目立ちました。

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