中小企業の経営者が考える経営状況予測・意識調査(中小企業経営者対象) 

2016年11月17日
エヌエヌ生命は、全国の中小企業の経営者1000名(会長職、社長職)を対象に「中小企業の経営者が考える経営状況予測・意識調査」を実施しました。
調査では、2020年まで、さらに団塊の世代が75歳以上となる2025年以降について、経営者の事業継続への見通しをたずねました。

【調査結果ハイライト】

・中小企業経営者、”2020年まで”は61.1%が「安定・成長」基調と“明るい”予測

・一方、超高齢化社会到来の”2025年以降“、81.3%が経済環境に”悲観的“な予測

・“明るい兆し”を見出す経営者の心情には、「安定した取引先」や「優秀な後継者」の存在

・一方で現状の悩みや課題に、“人”と“資金”が浮かび上がる結果に

・経営者の事業承継への準備については、全体の44.0%が準備していないと回答

・事業承継に先手を打っている経営者が進める対策は、「後継者の育成」と「資金の準備」

・法人向け生命保険への加入は多い(64.9%)ものの加入している保険の保障額、保障期間の充足度は半数程度


【調査結果】

1.企業を取り巻く将来予測について

1-1. 直近の将来予測、“2020年まで”を中小企業の経営者はどう見ているのか
・“2020年まで”は、「成長基調」・「良い状態で安定」が61.1%と “明るい”予測が目立つ結果に
・地域的には、関東以北で「成長基調」・「良い状態で安定」が高い傾向

■”2020年まで” 「成長基調」・「良い状態で安定」の予測が約6割と、“明るい”予測
中小企業の経営者に、2020年までの自社の業績状況の予測を聞きました。
「成長基調」13.8%、「良い状態で安定」47.3%、「下降傾向」31.8%、「悪い」7.1%と回答しています。
「成長基調」もしくは「良い状態で安定」と答えた中小企業経営者、約6割(61.1%)が自社の状況についてポジティブな見方をしていることが分かりました。

■関東以北で“明るい”との傾向
Q1の”2020年まで“の予測について、「成長基調」・「良い状態で安定」と回答した方を地域別で見てみました。
すると「関東」が66.7%でトップ、続いて「北海道」65.2%、「東北」62.9%、「中国・四国」61.0%となっており、比較的に関東以北の方が、“明るい”と予測する傾向がうかがえます。

1-2. ”2025年以降“の経済環境については悲観的、また、超高齢化は会社経営に何らかの形での”影響あり“
・“2025年以降”の経済環境について、「悪い」15.9%、「あまり良くない」65.4%と回答
・超高齢化の経営への影響、85.4% が“何らかの影響がある”と回答
・影響は、「従業員の高齢化・若年層の確保の問題」と「経営者自身の高齢化」

2025年には団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者となる時代を迎えます。日本人の5人に1人近くが75歳以上となる超高齢化社会が到来するといわれている“2025年問題“。中小企業の経営者に、2025年以降の国内経済環境とともに、この超高齢化社会の影響についての意識を聞いてみました。

■8割強が ”2025年以降“の国内経済環境について悲観的
”2025年以降“の国内の経済環境を「良い」と回答した方はわずか1.2%。「まあまあ良い」と回答した17.5%とあわせても
2割弱でした。逆に「あまり良くない」は65.4%で、「悪い」と回答した15.9%とあわせると、8割強が2025年以降の経済環境について悲観的な見方をしていることが分かりました。

■85.4%が超高齢化社会の到来は、経営に“影響がある”と回答
2025年以降の超高齢化社会が、自社の経営に与える影響を尋ねた質問では、「大きな影響がある」24.8%、「少なからず影響がある」60.6%と、あわせて85.4%が“なんらかの影響がある”と回答しています。
逆に「影響はない」と答えたのはわずか1.4%で、「あまり影響はない」13.2%とあわせても14.6%の結果になりました。
中小企業の経営者は超高齢化の影響を、大きな問題と捉えているようです。

■超高齢化社会の影響、「従業員の高齢化の問題」56.0%、「自分の高齢化の問題」43.2%
Q4.の質問(超高齢化社会の自社への影響)で、「大きな影響がある」・「少なからず影響がある」と回答した方に、その影響について聞きました。
回答のトップは「従業員の高齢化の問題(若い従業員を採用することが困難)」で56.0%、2番目は「自分の高齢化の問題」で43.2%。 次いで、「高齢化による市場の縮小」 39.1% 、「高齢化により需要の変化・市場の構造の変化に対応できない」 37.2%となっています。
市場の変化、需要の変化もさることながら、まずは従業員や経営者自身の高齢化への懸念が強いようです。

2.会社経営について

2. 会社経営についての経営者の見解 “人”と“資金” がキーポイント
・経営上の“明るい兆し”は、「安定した取引先」47.6%、「優秀な後継者」32.7%
・現在の悩みのタネは「従業員の育成と離職の防止」、次いで「売上げの獲得」が上位に

■経営者が考える“将来の明るい兆し“は、「安定した取引先」と「優秀な後継者」
会社経営にとって“将来への明るい兆し”についてお聞きました。
”明るい兆し“としては「安定した取引先の存在」が5割弱の47.6%、「優秀な後継者の存在」が32.7%、「他にはない技術、ノウハウ」28.3%、「組織、会社の⼀体感、機動性」23.0%が挙げられました。

■多岐にわたる経営上の悩みのタネの上位は、「従業員の育成・離職防止」、次いで「売上げの獲得」
中小企業の経営者が今抱えている経営上の「悩み・課題」について聞きました。
回答のトップは、「従業員の育成・離職防止」39.1%。次いで「売上げの獲得」36.0%、「顧客の開拓」30.5%、「後継者問題」25.0%、「競合他社との差別化」24.4%、「事業承継の問題」22.0%と回答しています。
大きな傾向として、「従業員」・「売上げ」・「後継者」・「事業承継」などの“人”と“資金”に関すること、「顧客の開拓」・「競合他社との差別化」など“営業的な要素“に関する課題が上位にあげられています。”資金”に関しては、「売上げの獲得」以外では「負債・借入金の返済」18.3%と「運転資金の資金繰り」17.5%が挙げられています。

3.事業承継について

3-1-a “生涯現役志向”が強い一方で “勇退できない現実” も
・経営者の現役志向、「生涯現役は当然」19.0%、「良いこと」46.3%と、“生涯現役肯定派”は65.3%
・また実際の続投意向は「仕事が生きがいで、できる限り続投したい」47.0%、しかし「勇退したいが現実にはやめられない」との回答も32.2%

■経営者は生涯現役志向が高く、「当然のこと」19.0%、「良いこと」46.3%
“経営者の生涯現役への意識”についての質問では、19.0%が「生涯現役でいることは、当然のことである」と答え、さらに「生涯現役で続けることは、良いことと思う」と回答したのは46.3%でした。非常に積極的でエネルギッシュな中小企業経営者の現役意欲を見ることができました。

■5割弱が「できる限り続投したい」、また「勇退したいと思うが現実はやめられない」も32.2%
“経営者続投への意向”についての質問では、47.0%が「仕事を続けていくことが生きがいなので、できる限り続投したい」でトップ。中小企業経営者の仕事への情熱の強さがみてとれます。
「現在、勇退に向けて準備している」と答えた方も20.8%いましたが、32.2%は「勇退したいと思うが現実はやめられない」と回答しており、厳しい現実をうかがわせています。

3-1-b 会社継続への強い意思、不安要素は“将来性”と“後継者”
・「必ず継続させたい」54.0%の⼀方で、廃業を意識する経営者は3割強に
・会社継続の不安要素の第1位“将来性”、第2位“後継者の不在”

■「必ず継続させたい」54.0%、「廃業させたい」・「廃業も視野に入れている」も34.9%と弱気な一面も
経営者に対して、現在の会社についての今後の方向性を聞きました。
54.0%が「必ず継続させたい」との回答でしたが、⼀方で「状況によっては廃業も視野に入れている」31.6%、「廃業させたい」3.3%と、廃業を意識する経営者が3割強いることが分かりました。「M&A等を検討」と回答した方は11.1%でした。

■「廃業させたい」・「廃業も視野に入れている」の理由は“将来性”、“後継者の不在”
前質問で「廃業させたい」・「状況によっては廃業も視野に入れている」と回答した方に、その理由(複数回答)を聞きました。⼀番は「この先の事業の将来性に不安がある」53.3%でしたが、「現状で後継者候補がいない」45.8%、「後継者には、この様な辛い仕事はさせたくない」29.8%などの回答が挙がっており、後継者に関連する問題が廃業意識を強めていることがわかります。

3-2. “事業承継”が突然のケース*も4割弱
・会社を継いだ時の事情、「前任者の病気や障害」20.8%、「前任者が亡くなった」17.5%で突然の事業承継 38.3%

■前任者の病気や死亡などによる突然の事業承継のケースが38.3%
事業承継経験者に“事業承継のきっかけ”について聞きました。「前任者が会社経営を引退すると決めていた時期になったため」と予定通りの事業承継は58.4%でしたが、「前任者の病気や障害のため」20.8%、「前任者が亡くなったため」17.5%と、突然の事業承継も38.3%となっています。

3-3. 経験者が振り返る“円滑な事業承継”には、「経営ノウハウや人脈の継承」や「資金面の準備」が不可欠
・経験者が事業承継で苦労したのは、「経営ノウハウや人脈などの引継ぎ・準備が不十分」48.8%、「資金不足」は42.7%

■事業承継経験者に聞く、「ノウハウの継承」や「資金面の事前の準備」が円滑な事業承継には不可欠
事業承継を経験した経営者515名の中で、「少し苦労した」・「非常に苦労した」と回答した方にその理由を聞いたところ、「先代と⼀緒に事業承継のための経営ノウハウや人脈などの引継ぎ・準備ができなかった」48.8%、次いで「事業継続に必要な資金が不足・相続で多額の資金が必要だった」42.7%と回答。課題を抱えながらの事業承継の姿が見えてきます。
円滑な事業承継のためには、事前の「経営ノウハウや人脈の継承」や「資金面の準備」が不可欠となっているようです。

3-4. 将来の課題、事業承継への備えについて
先手を打つ経営者は“後継者の育成、支援体制づくり”や“資金面の準備”
・現状で事業承継の備えは、38.2%が「後継者の育成、支援体制づくり」、「資金の準備」も36.2%。
しかし、「特に準備はしていない」との回答も44.0%

■事業承継への準備について、「後継者の育成、支援体制づくり」38.2%、
「資金の準備」36.2%と回答。しかし「特に準備はしていない」経営者も44.0%に。
事業承継のために「後継者の育成、支援体制づくり」と答えたのは38.2%、「資金の準備」は36.2%でした。着実に事業継続への布石を打っている経営者がいる⼀方で、44.0%の経営者は「特に準備はしていない」と回答しています。

■事業承継への「資金の準備」、「借入金の返済資金」49.4%と「当座の運転資金」46.7%
「事業承継の資金の準備をしている」経営者にその内訳を聞いたところ、「借入金の返済資金」49.4%、「当座の運転資金」46.7%と、それぞれ5割近くが承継後の当面の運営資金を挙げており、「自社株対策資金」30.1%、「相続対策資金」28.4%と、それぞれ約3割が承継前後のタイミングに必要な資金を挙げています。

3-5. “いざという時の備え“、法人向け生命保険への加入は多いが、保障額、保障期間への充足度は半数程度
・現状で64.9%が何らかの生命保険に加入
・しかし、加入する保険の保障額、保障期間への充足度は半数程度

■64.9%が何らかの生命保険に加入
生命保険(契約者=法人)の加入状況について聞いたところ、64.9%の経営者が、何らかの生命保険に加入していることが分かりました。

■保障総額の充足度、半数が「充分だと思う」49.5%、一方 「不足していると思う」27.9%、
「不明(わからない)」22.6%と、半数強は保障額に対して確信を持っていない状況
Q16.で、何らかの生命保険(契約者=法人)に加入していると回答した方に、その保険の「保障額(総額)について、充分だと思いますか」と聞きました。「充分だと思う」との回答は49.5%と約5割、残りは「不足していると思う」27.9%、「不明(わからない)」22.6%と、半数が保障額が適切かどうかの確信を持っていないことが分かりました。

■保障期間の充足度、こちらも約半数は確信持てず
さらに、「加入している生命保険の保障期間について、充分だと思いますか」と聞きました。
「充分だと思う」との回答は53.6%でしたが、「不足している」21.4%、「不明(わからない)」25.0%との回答が半数近くに上りました。


【調査概要】
調査名称:「中小企業の経営者が考える経営状況予測・意識調査」
調査期間:2016年10月14日から10月20日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の中小企業経営者1000名(男女30代から70代)

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