介護に関するアンケート調査(18~69歳の男女対象) 

2015年10月29日
第一生命保険のシンクタンク、第一生命経済研究所では、全国の18~69歳の男女7,256人に対して「今後の生活に関するアンケート調査」を実施し、その分析結果を元に『ライフデザイン白書 2015年』を発刊いたしました。
11月11日が厚生労働省の定める「介護の日」であることにちなみ、この調査結果の中から介護の分野に関するデータをご紹介します。

≪調査結果のポイント≫

家族の介護経験
●家族を介護したことがある人は22%。
●40代以下でも1割前後に介護経験がある。

介護の対象者
●介護の対象者は、親が4分の3。
●39歳以下の人では「自分の祖父母」が最多。

家族の介護時に困ったこと
●「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった」「家事や子育てに支障が生じた」の割合は、男性に比べ女性でかなり高い。

介護サービスに関する不安
●「外部の人が家に入ること」への抵抗感は、公的介護保険開始年度(2000年度)以降ほぼ変化なし。
●「利用料」に対する不安は、介護経験がない人で特に大きい。

介護に関する知識
●「民間の介護保険」「介護方法・技術」の認知度が特に低い。
●現在介護している人でも3割以上は、公的介護保険の「サービス内容」「制度の仕組み」「サービスを受ける方法」を知らない。

【調査結果】

家族の介護経験
家族を介護したことがある人は22%。
40代以下でも1割前後に介護経験がある。


これまでに家族を介護したことがあるかをたずねました。
図表1の通り、「現在介護している」(5.8%)、「現在は介護していないが、以前に介護したことがある」(15.7%)の合計、すなわち介護したことがある人の割合は21.5%となりました。
性別にみると、介護したことがある人の割合は、男性(17.9%)より女性(25.1%)で高くなっています。さらに性・年代別にみると、その割合は男女とも60代で最も高く、次に50代という順になっています。ただし、男女40代以下でも1割前後の人に介護経験があり、若くても家族の介護に携わる人がいることがわかります。

介護の対象者
介護の対象者は、親が4分の3。
39歳以下の人では「自分の祖父母」が最多。


家族を介護したことがある人に対し、現在介護しているのは誰か(あるいは以前介護した人で直近に介護したのは誰か)をたずねました。
図表2の通り、最も多いのは「自分の母親」(37.2%)、次が「自分の父親」(20.0%)、「自分の祖父母」(18.4%)です。自分の父母と配偶者の父母を合わせると、親が約4分の3を占めています。
性別にみると、「配偶者の母親」を介護したことがある人の割合は、男性に比べて女性でかなり高いです。さらに性・年代別にみると、男女とも39歳以下では「自分の祖父母」がかなりの割合を占めています。40代以上では自分の親が半数を超えていますが、年齢が上がるほど「自分の父親」の割合が低くなり、「自分の母親」の割合が高くなっています。これは、一般に父親に比べて母親のほうが若く、また長生きをするために、介護を必要とする時期が遅い場合が多いことによると思われます。

家族の介護時に困ったこと
「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった」
「家事や子育てに支障が生じた」の割合は、男性に比べ女性でかなり高い。


家族を介護したことがある人に対し、介護の際に困った(または困っている)ことをたずねました。性別にみた結果を図表3に示します。
男女とも「特にない」以外で最も割合が高いのは「先の見通しが立たなかった」です。
男女を比べると、「特にない」と答えた割合は男性より女性で低いです。つまり、女性のほうが困ったことが多いといえます。困ったことのうち、女性が「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった」「家事や子育てに支障が生じた」と答えた割合は、男性がそう答えた割合をそれぞれ10ポイント超上回っています。

介護サービスに関する不安①
「外部の人が家に入ること」への抵抗感は、公的介護保険開始年度(2000年度)以降ほぼ変化なし。


介護の負担を軽減するために、介護を必要とする人の自宅をホームヘルパーが訪問してケアするなどのさまざまな外部サービスがあります。こうしたサービスに対してどのような不安があるかについて、介護経験の有無にかかわらず全員に対してたずねました。この質問項目は、公的介護保険制度の開始時点(2000年4月)の少し後に実施された2001年1月の調査から設けられています。
図表4の通り、2015年では「サービスの利用料が高そう」が47.3%で最も高く、次いで「満足のいくサービスが受けられるか不安である」「外部の人が家に入ることに抵抗感」「手続きが分かりにくそう」となっています。2001年、2010年と比べると、「特に不安や抵抗感はない」と答えた割合は増えており、介護サービスに関する不安は全体的には減ったことがわかります。具体的にみると、「満足のいくサービスが受けられるか不安」と「手続きが分かりにくそう」の割合は大きく下がっています。一方、「利用料が高そう」「外部の人が家に入ることに抵抗感」の割合はあまり変化していません。
2001年1月、すなわち公的介護保険制度が始まった年度の調査時点に比べると、介護サービスの内容や利用の手続きに関する不安は減りましたが、利用料に対する不安やサービス提供者が要介護者宅に入ることへの抵抗感はさほどなくなっていないといえます。

介護サービスに関する不安②
「利用料」に対する不安は、介護経験がない人で特に大きい。


次に、介護サービスに関する不安を家族の介護経験別に示します(図表5)。
「利用料が高そう」の割合は、介護したことがない人で特に高く、49.5%と半数近くを占めています。また、「手続きがわかりにくそう」の割合も、介護したことがある人よりない人のほうがやや高いです。これらの不安は、実際に介護を経験すれば減るのかもしれません。
一方、「外部の人が家に入ることに抵抗感」の割合は、介護したことがない人や以前に介護したことがある人より現在介護している人のほうが若干高くなっています。現在介護に直面しているからこそ感じることもあると考えられます。

介護に関する知識①
「民間の介護保険」「介護方法・技術」の認知度が特に低い。


介護に関するさまざまな事項(図表6)をあげ、それぞれの認知度をたずねました。
知っている(「よく知っている」と「ある程度知っている」の合計)と答えた割合は、全項目の中で最も高い「公的介護保険の制度の仕組み」でも約3割しかありません。知っていると答えた割合が最も低いのは、「民間の介護保険」(14.7%)です。続いて、「要介護者を介護する方法・技術」(19.1%)、「要介護者に出会った際の接し方・心構え」(20.9%)、「介護にかかるお金」(23.3%)があがっています。介護費用や要介護者と接する方法に関する知識が特に少ないといえます。

介護に関する知識②
現在介護している人でも3割以上は、公的介護保険の「サービス内容」「制度の仕組み」「サービスを受ける方法」を知らない。


次に、介護に関するさまざまな事項に関して知っている(「よく知っている」と「ある程度知っている」の合計)と答えた割合を、家族の介護経験別に示します(図表7)。
どの項目においても、介護したことがない人が知っている割合は、1〜2割台にとどまっています。一方、介護経験がある人、中でも現在介護している人では、介護経験がない人に比べてどの項目も知っている割合がかなり高くなっています。介護の経験を通して得られる知識が多いと考えられます。
ただし、現在介護している人においても、「公的介護保険で受けられるサービスの内容」「公的介護保険のサービスを受けるための方法」「公的介護保険の制度の仕組み」について知っている割合は7割に達していません。つまり、現在介護している人の3割以上がこれらについて知りません。公的介護保険に関する情報が家族の介護に携わる人にも十分には伝わっていないことがわかります。


【調査概要】
・調査対象:全国の満 18~69 歳の男女個人
・調査実施期間:2015 年1月 29 日~30 日
・抽出方法:調査機関の登録モニター約 118 万人から国勢調査に準拠して地域(10 エリア)×性・年代×未既婚別にサンプルを割付
・調査方法:インターネット調査
・有効回答数:7,256 サンプル
・調査機関:株式会社マクロミル

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