APEC CEO年次調査(APEC参加21カ国・地域のCEOと業界リーダー対象) 

2016年12月02日
PwCは、APEC CEO年次調査を発表。
2016年5月から7月にかけ、APEC参加21カ国・地域のCEOと業界リーダー1,154名にインタビューを行いました(このうち、日本のCEOは68名)。

第6回APEC CEO年次調査によると、参加21カ国・地域の調査対象企業のうち、半数以上(53%)が今後12カ月間に投資を増やすと回答しました。今後1年の売上拡大の見通しに慎重で、地域の自由貿易の進捗ペースに失望しているとの報告があるにもかかわらず、このような結果となりました。

APEC諸国にとって長期的観点からの好結果は、投資増額分の3分の2以上(69%)がAPEC諸国を投資先としている点です。投資先として中国、米国、シンガポール、インドネシアに魅力を感じるCEOが増えています。地域的な分散化戦略も鮮明になっています。平均すると、PwCが調査したAPEC諸国の企業は自国以外の他の7カ国に投資していました。昨年の平均では6カ国でした。企業のほぼ3分の1(31%)は、APEC以外の国・地域に絞り込んで投資を増やす計画です。

全体として、今後12カ月間の売上拡大に大変自信があると答えたビジネスリーダーは、28%に留まりました。CEOが控えめな増収見通しを示すのは2年連続です。APECでも新進の急成長国のビジネスリーダーは、短期的な売上拡大に前回より自信を強めています。これらの国にはフィリピン(売上拡大に大変自信があるとした回答は65%)、およびベトナム(同50%)が含まれます。

今年は、アジア太平洋地域で自由貿易の目標に向けて大きな進展があると予想するCEOが2年前より増えたものの(2014年の15%に対して22%)、調査対象の過半数(53%)は引き続き進展は遅いとみています。

同時に、APEC諸国の競争環境は変化しています。今日ではより多くのCEOが、自社の競争環境におけるリーディングカンパニーは、新興国に拠点を置く多国籍企業(18%)か、APEC諸国の各地域のトップ企業(20%)のいずれかとみています。2014年には、この比率はそれぞれ10%と12%でした。最大の競争上の脅威は依然、先進国の多国籍企業です。

中国のGDP(国内総生産)成長率のペースについても、CEOの見方は分かれています。APECのCEOのほぼ半数は、今後3年間の中国のGDPは年平均5~6%かそれ以下になるとみています。にもかかわらず、CEOは自社の成長ポテンシャルを低くみていません。今後3年にわたり、ビジネスリーダーは自社のブランドを構築し、国内事業を拡大し、パートナーシップによる連携を進めたいと考えています。これらは、中国に投資している内外のビジネスリーダーに最も共通する戦略です。

APEC諸国のリーダーが警戒すべきこととしてCEOが挙げているのは、政策関連コストをめぐり不確実性が継続している点です。前年同期と比べ、コンプライアンスのコストと税負担の予測に対し「より自信がある」と答えた比率は、回答者のわずか14%でした。

回答者は、域内のクロスボーダー投資の判断に最も影響を与える要因として規制環境(透明なルール、汚職防止)を挙げる傾向にあります。半分以上(58%)が、規制環境は今後3~5年のAPEC諸国への投資判断に「より影響する」とみています。本調査結果は、企業による投資が現在、適正な政策環境と人材プール、および力強い成長見通しをもつAPEC諸国へと流入する傾向を強めていることを示しています。

また、APECの企業は、より幅広い増収戦略に目を向けています。CEOは、全社的なデジタル面でのアップグレードが、営業成績とコスト効率の目標達成に貢献し、顧客体験の改善と資産の最適化を促すと考えています。

本調査結果は、今後3年間で物流、設備、販売時点情報管理(POS)端末のリアルタイム、またはリアルタイムに近いデータ収集がこの地域では広く浸透することを示しています。

回答者の3分の1は、自社のコネクテッドデバイスの役割を統合することにより、新たな収益源が生まれると予想しています。

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[PwC]
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