平成28年 企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査(東証一部上場企業対象) 

2016年09月01日
経済産業省では、「経済の好循環」実現に向けた施策の一環として、昨年に引き続き関係省庁とも連携し、企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査を行いました。この度、集計結果の概要等を取りまとめました。

1.調査概要

平成28年の春闘妥結結果等を踏まえた大手企業の賃上げ状況等を把握し、公表するため、本年3月に東証一部上場企業1920社に調査票を送り、回収・集計を行いました。8月1日までに提出のあった727社の状況について、集計結果の概要等を取りまとめました。

2.集計結果の概要等

「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査集計結果の概要」は別添1、個社別の賃上げ状況及び経営状況は別添2のとおりです。平成28年度に賃金の引上げを実施した企業の割合は89.4%となり、平成27年度の94.9%と変わらぬ高い賃上げ水準を維持している結果となりました。また、賃金を引き上げた企業のうち、ベースアップを実施した企業の割合も平成28年度は51.2%となっており、半数以上の企業がベースアップを実施したことが見てとれます。

【調査結果】

賃金の引上げ状況について
(1) 平成 28 年度、平成 27 年度の常用労働者の 1 人平均賃金の引上げ状況
常用労働者の 1 人平均賃金の引上げ状況について、「引き上げる/引き上げた」とする企業の割合は、平成 27 年度は 94.9%、平成 28 年度は 89.4%であった。平成 27 年度に引き続き、平成 28 年度も多くの企業が何らかの賃金の引上げを実施する傾向が継続している(図 1)。

賃金の引上げ方法について
賃金を引き上げた企業のうち、平成28年度にベースアップを実施している企業は51.2%であった(図2)。
2 年連続で賃金を引き上げた企業のうち、2 年連続でベースアップを実施した企業は 46.7%と 4 割を超えている。また 2 年連続で賞与・一時金分の引上げを実施した企業は 26.2%であった(図 3)。

平均賃金の引上げ額・率について
(1) 定期昇給・賃金構造維持分引上げ額・率
定期昇給・賃金構造維持分の引上げを実施した企業のうち、定期昇給・賃金構造維持分の引上げ額・率のそれぞれの割合は、前年度と今年度とで大きな変化は見られない。月額 4,000 円以上の引上げを実施している企業が 8 割以上であり、引上げ率では 1.5%以上の企業が 7 割以上である(図 4、図 5)。

(2) ベースアップ分の引上げ額・率
ベースアップを実施した企業のうち、平成 28 年度においてもベースアップ分の引上げ額が「1,000円以上」との回答が 8 割以上であった(図 6、図 7)。

(3) 賞与・一時金分の年間引上げ額・月数
賞与・一時金分の増額を実施した企業のうち、賞与・一時金分の引上げ額が「10 万円以上」の回答は、平成 28 年度は 26.6%であった(図 8、図 9)。

(4) 過去のベースアップ実施状況について
平成 28 年度にベースアップを実施した企業のうち、9 割以上の企業(258 社)が平成 27 年度に引き続いてベースアップを実施している(図 10、図 11)。

(5) 年収ベースでの賃金引上げについて
常用労働者 1 人あたりの平成 28 年度の平均年収について、「平成 27 年を上回る年収ベースの賃金引上げ」となる見込みの企業は 52.5%(382 社)、「平成 27 年と同程度」と回答した企業は 29.6%(215 社)であり、8 割以上の企業が年収ベースの賃金引上げについて平成 27 年を上回る又は同程度と回答している(図 12)。

(6) ベースアップを実施しない理由について
平成 28 年度賃金を引き上げているが、ベースアップを行っていない企業に、ベースアップを行わない理由を尋ねたところ、「自社又はグループ会社の収益が拡大しなかったため」との回答が 25.2%であった(図 13)。

その他賃金引上げ等を巡る状況について
(1) 賃金を決定する際に重視した要素及び配分比率を高めた年代について
賃金の決定に際して「仕事(職務)や役割」を重視した割合が 38.3%、「業績や貢献度」を重視した割合が 31.3%と、「勤続年数の長さ・年齢(年功)」の 6.6%より高くなった。
また、賃上げを実施した際に配分比率を高めた年代については「10・20 代」が最も高く 40.5%、次いで「30 代」が 29.6%と、若年者への配分が高まったことが見てとれる(図 14、図 15)。

(2) 初任給の引上げについて
平成 28 年度において賃金の引上げを実施した企業のうち、初任給の引上げを実施している企業は、52.7%(327 社)となった(図 16)。

(3) 常用労働者数と平成 28 年度の賃金引上げ対象者の割合
平成 28 年度に賃上げを実施した企業のうち、賃金引上げの対象者が常用労働者の「7 割以上」と回答した企業が 88.8%と 9 割近くに上っており、広範な従業員に対して賃上げが実施されたことが見てとれる(図 17)。

(4) 常用労働者以外の労働者(期間の定めのある労働者)のキャリアアップ支援、処遇改善等の実施状況
平成 27 年度、平成 28 年度のいずれかで賃金を引き上げた企業のうち、平成 27 年度以降に「常用労働者以外の労働者(期間の定めのある労働者)のキャリアアップ支援、処遇改善、評価制度の見直し等」のいずれかを実施(または実施予定)と回答した企業の割合は、74.6%であった(図 19)。

(5) 平成 27 年度、平成 28 年度の人員計画について
平成 27 年度、平成 28 年度に「人員を増やした/増やす予定」と回答した企業の割合は、54.8%であった。また、人員を増やす場合、「常用労働者を新卒採用で増やす」が 91.8%、「常用労働者を中途採用で増やす」が 77.9%、「常用労働者以外の労働者を増やす」が 28.1%であった。常用労働者以外の労働者の増員割合に対して、常用労働者(新卒)の増員割合は約 3.3 倍、常用労働者(中途)の増員割合は約 2.8 倍と大きくなっている(図 20、21)。

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[経済産業省]
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