未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査 

2017年02月06日
子どもたちのインターネット利用について考える研究会は、第8期活動の一環として、「スマホ育児」の実態と課題把握のため、未就学児の保護者を対象に実施した、「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」の結果の概要を発表。

近年、家庭へのスマートフォンの普及が急速に進んだ結果、未就学の子どもの利用も増えています。保護者からは、もはやスマホは子育てに手放せないという声も聞かれる一方で、いわゆる「スマホ子守り」「スマホ育児」として、その弊害を指摘する声も高まっています。このような状況を受け子どもネット研では、第8期活動として「低年齢の子どもとインターネット」をテーマとした検討を進めていますが、その一環として、未就学児の家庭でのインターネットや情報機器の利用実態や、保護者の意識・知識についての調査を実施いたしました。

今回の調査では、(1)1歳児の4割、3歳児の6割がスマホなどの利用を経験し、その頻度も約5割が「毎日必ず」または「ほぼ毎日」と、スマホなどが未就学児の日常に深く入り込んでいる。(2)7割以上の保護者が自ら「使い方のお手本」を意識している他、6割以上の保護者が「子どもに必要な睡眠の目安やコンテンツとの付き合い方」について大まかには理解している。(3)「子どもに利用させること」について9割以上の保護者が何らかの不安を感じている反面、より具体的な判断材料についての知識・理解は不十分な保護者も少なくなく、保護者の8割以上は学習の必要を感じている。ことが把握できました。

今回の調査では、「警戒感を持ちつつ手探りで、スマホありの育児をしている」、「子どもの発達・成長について関心・学習意識が高い」保護者が多いことが確かめられました。一方、子どもとメディアの接触や機器利用の影響や望ましい与え方について、不十分な知識・理解のままでスマホなどを使わせている保護者の存在も確認できました。

【主なポイント】

1歳児の4割超、3歳児の6割、6歳児の7割超がスマホなどの利用を経験、6割近くは、2歳までに機器の利用を開始
・未就学児の5割以上が、なんらかの情報通信機器の利用を経験している。最も利用されているのは「スマートフォン」(34.8%)。
・2015年発表の先行調査※1と、本調査の「端末利用率」を比較すると、各年齢とも本調査のほうが10-20ポイント高い。
・情報通信機器の利用開始年齢は「2歳」が26.2%で最多。「0歳から」(9.6%)、「1歳から」(23.6%)と合わせ、ほぼ6割の子どもが2歳までに情報通信機器の利用を始めている。

※1 未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)

機器を利用する子どもの半数以上は「毎日必ず」または「ほぼ毎日」触れている
・利用の頻度は「毎日必ず」(19.9%)、3割が「ほぼ毎日」(30.7%)と、機器を利用する子どもの約5割以上は、なんらかの情報通信機器に日常的に触れている。
・「毎日必ず」「ほぼ毎日」利用する割合は、「3~6歳」層(計48.5% )より「0~2歳」層(計56.3% )が高い。
・利用している時間帯は「自宅内で遊んでいる間」(38.5%)が最多。以下、「夕食後から就寝前まで」(28.3%)、「帰宅してから夕食前まで」(24.1%)が続く。

未就学児の機器利用はもっぱら「写真や動画の閲覧」や「ゲーム」
・機器利用の内容としては、ネット接続の有無にかかわらず、「写真や動画の閲覧」が上位となった。
・0~2歳層では「機器の中にある写真や動画の閲覧」の割合が高いが、3~6歳層では「ネット上の動画閲覧」や「ゲーム」、「知育アプリ」利用が増える。
・子どもが機器を使う場面としては、「子どもが使いたがるとき」が44.4%で最多。以下「親が手を離せないとき(31.7%) 」、「親子で一緒に(25.9%) 」と続く。
・子どもにネットを使わせる理由としては、「子どもの機嫌が良くなる(53.7%) 」、「保護者の手離れの時間ができる(40.4%) 」、「機器に触れたがる(27.5%) 」に回答が集まった。

まだ利用させていない保護者の多くが考える「利用させてもよい時期」は小学生以降
・全体の4割を占める「子どもに情報通信機器を利用させていない」保護者のうち8割以上が、その理由として「まだ早すぎると思うから」を選択した。
・機器を使い始めてもよいと考える時期は「小学校低学年」が36.2%で最多、「小学生高学年」とあわせ、計59.2%の保護者が「小学生段階で利用させたい」と考えている。また、「中学生」「高校生」との回答も計22.1%あった。

7割以上の保護者が「使い方のお手本」を自ら意識、6割以上の保護者が睡眠やコンテンツとの関わりについての大まかには正しく理解
・7割以上の保護者が「子どもへの影響を考え、自身の使い方を気にしている」と回答した。
・6割以上の保護者が「子どもと一緒に番組を視聴し、その内容について話し合うことは発達に好影響を与える」と正しく回答した。その一方、「番組やコンテンツの内容が子どもの発達に与える影響は変わらない(23.2%)」や「一人きりで見せるほうが子どもの発達には望ましい(7.5%)」などの誤りを選択した保護者も。
・機器の設定やアプリの選定以前に、「視力や脳、運動能力や心理発達への悪影響の有無」(54.7%)、「睡眠時間や睡眠の時間帯と健康や成長の関係」(46.9%)と「子どもの心身への影響」に関することへの関心が高い。
・6割以上の保護者が「子どもに必要な睡眠時間の目安を知っている」と回答。

懸念や関心は高いものの、保護者自身の学習へのハードルは高い
・子どもに使わせながらも「気にしていることは特にない」とした保護者はごく少数(6.1%)にとどまった。
・子どもの安全な利用に関する知識に関しては、8割以上の保護者が、なんらかの形で機器の使わせ方や安全な利用について学びたいと回答。学習の方法では、集合型の研修以外へのニーズが高い。


【調査概要】
調査期間:2016年10月21日~2016年10月24日
調査対象:第一子に未就学(0歳から6歳)の子どもをもつ保護者
有効回答数:1149件
調査方法:ウェブアンケート方式(ジャストシステム社(Fastask)に委託)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[子どもたちのインターネット利用について考える研究会]
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