「消防職員の労働組合を結成する権利」に関する意識調査(20歳以上の男女対象) 

2017年02月16日
日本労働組合総連合会(連合)は、「消防職員の労働組合を結成する権利」に対して、どのように思われているのかを把握するため、2017年2月1日~2月6日の6日間、「『消防職員の労働組合を結成する権利』に関する意識調査」を、インターネットリサーチにより実施し、全国の20歳以上の男女(公務員を除く)1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)

【調査結果サマリー】

◆公務員に期待すること
・トップは「倫理観・責任感・使命感」で約6割、「業務に対する熱意・意欲」が約半数に
 公務員に期待することに男女差 女性は「業務の専門知識や技術・技能」を期待

◆公務員の労働組合について
・公務員に労働組合があること 半数以上が「知らない」、認知率は世代が上がるにつれ高くなる傾向
・公務員に労働組合があることの認知率 労働組合加入者・加入経験者では約6割
・公務員に労働組合があることによって期待されること 1位は「業務効率や行政サービスの向上」
 60代では「労使で責任を持つ業務体制の構築」がトップに
・公務員に労働組合があることによって心配されること 「人件費の増加」が1位

◆消防職員に期待すること
・トップは「災害対応の迅速性」で7割、「業務に対する熱意・意欲」が約6割に

◆消防職員の労働組合結成について
・消防職員に「労働組合を結成する権利」を認めるべき 賛成51.9% 反対5.8%
労働組合加入者・加入経験者では3人に2人が賛成、加入未経験者でも賛成は半数近くに
・賛成する理由 「働きやすい職場環境」「サービスの質の向上」「倫理観・責任感・意欲の向上」
・反対する理由 「本来業務に支障」「指揮命令や部隊内信頼関係への悪影響」「サービスの質の低下」

【調査結果】

≪公務員に期待すること≫
◆公務員に期待すること トップは「倫理観・責任感・使命感」で約6割、「業務に対する熱意・意欲」が約半数に
公務員に期待することに男女差 女性は「業務の専門知識や技術・技能」を期待

まず、全国の20歳以上の男女(公務員を除く)1,000名に、公務員に期待することは何かを聞いたところ、「倫理観・責任感・使命感」が最も多く57.7%、次いで、「業務に対する熱意・意欲」が47.5%、「住民への奉仕の精神」が43.0%、「柔軟なものの見方・創意工夫」が41.9%、「行政の透明性に対する意識」が40.8%となりました。モラルを持って、与えられた任務をやり遂げてほしいと感じている人が多いようです。
男女別にみると、「住民への奉仕の精神」は女性39.0%、男性47.0%と男性のほうが高く、「業務の専門知識や技術・技能」は女性42.6%、男性35.4%と女性のほうが高くなる傾向がみられました。住民のために尽くしてほしいと考えるのは男性、担当業務のプロとして働いてほしいと考えるのは女性のほうが多いようです。
世代別にみると、60代では、すべての項目において他の世代に比べて高い傾向がみられました。60代の公務員に対する期待は、他の世代より大きいようです。

≪公務員の労働組合について≫
◆公務員に労働組合があること 半数以上が「知らない」、認知率は世代が上がるにつれ高くなる傾向
◆公務員に労働組合があることの認知率 労働組合加入者・加入経験者では約6割

続いて、公務員の労働組合について聞きました。

まず、全回答者(1,000名)に、公務員にも労働組合があることを知っているか聞いたところ、知っている人(「はい」)が46.4%、知らない人(「いいえ」)が53.6%となり、知らない人のほうが多い結果となりました。
世代別にみると、知っている人の割合は世代が上がるにつれ高くなる傾向がみられ、最も低い20代では35.0%と3人に1人の割合でしたが、最も高い60代では67.5%と3人に2人の割合となりました。

また、労働組合の加入経験別にみると、加入中・過去に加入していた人では、知っている人は57.8%、加入経験がない人では、知っている人は45.2%となりました。

◆公務員に労働組合があることによって期待されること 1位は「業務効率や行政サービスの向上」
60代では「労使で責任を持つ業務体制の構築」がトップに
◆公務員に労働組合があることによって心配されること 「人件費の増加」が1位

次に、全回答者(1,000名)に、公務員に労働組合があることにより期待されること、心配されることを聞きました。

まず、公務員に労働組合があることにより期待されることを聞いたところ、「業務効率や行政サービスの向上」が最も多く45.6%、次いで、「労使で責任を持つ業務体制の構築」が38.7%、「職員の士気向上や優秀人材の確保」が35.7%と続きました。公務員に労働組合があることで、公務員の業務効率やサービスの質が上がることを期待している人が多いようです。
世代別にみると、「労使で責任を持つ業務体制の構築」は世代が上がるにつれ高くなり、60代では最も期待されることになりました。公務員に労働組合があることによって、労使が互いに責任を持って業務にあたることを期待する人は60代で6割近くを占めています。
一方、全回答者(1,000名)に、公務員に労働組合があることにより心配されることを聞いたところ、「人件費の増加」が最も多く41.9%、次いで、「業務効率や行政サービスの低下」が27.4%、「業務に対する熱意・意欲の低下」が25.4%となり、公務員の人件費が増えることを心配する人が多い結果となりました。

≪消防職員に期待すること≫
◆消防職員に期待すること トップは「災害対応の迅速性」で7割、「業務に対する熱意・意欲」が約6割に

次に、全回答者(1,000名)に、消防職員が置かれている状況や諸外国の消防職員の労働組合の結成状況を提示(※)し、消防職員に対する期待や消防職員の労働組合の結成について聞きました。

まず、全回答者(1,000名)に、消防職員に期待することは何か聞いたところ、「災害対応の迅速性」が最も多く71.1%、次いで、「業務に対する熱意・意欲」が57.0%、「倫理観・責任感・使命感」が54.4%と続きました。「災害対応の迅速性」が7割以上と頭ひとつ抜け出す形となり、災害時に迅速に対応してもらうことを期待している人は多いようです。
世代別にみると、60代はすべての項目において他の世代より高く、60代の消防職員に対する期待の大きさが窺えました。

※アンケートで提示した文章
[2015年中の火災等への出動回数は36秒に1回、救急出動回数は5.2秒に1回、搬送人員は国民23人に1人と増加しており、救急車の平均到着時間も8.6分と延伸しています。また、近年では大規模災害も頻発しており、国民の生命・財産を守る消防体制の整備が課題となっています。 他方、消防職員は労働組合すら結成できず、厳しい職場環境下で業務に従事しています。政府による諸外国消防の調査では、対象21ヵ国中、軍人が消防を担うブラジル等以外の18ヵ国に労働組合があり、その状況で任務が完遂されていることからも、日本の消防職場は国際的にも異例な状況にあると言えます。]

≪消防職員の労働組合結成について≫
◆消防職員に「労働組合を結成する権利」を認めるべき 賛成51.9% 反対5.8%
労働組合加入者・加入経験者では3人に2人が賛成、加入未経験者でも賛成は半数近くに
◆賛成する理由 「働きやすい職場環境」「サービスの質の向上」「倫理観・責任感・意欲の向上」
◆反対する理由 「本来業務に支障」「指揮命令や部隊内信頼関係への悪影響」「サービスの質の低下」

そして、全回答者(1,000名)に、消防職員に「労働組合を結成する権利」を認めるべきだと思うか聞いたところ、「認めるべき」が51.9%、「認めるべきではない」が5.8%、「どちらともいえない」が42.3%となりました。半数以上の人が、消防職員の労働組合を認めるべきだと考えているようです。また、「どちらともいえない」が4割以上と少なくはなく、判断が難しい問題でもあるようです。
男女別にみると、「認めるべき」は女性54.0%、男性49.8%となり、女性のほうが高くなりました。
また、世代別にみると、いずれの世代でも「認めるべき」が半数以上(20代53.5%、30代52.0%、40代51.5%、50代52.0%、60代50.5%)という結果となりました。

また、労働組合の加入経験別にみると、加入中・過去に加入していた人では「認めるべき」が64.0%と3人に2人の割合となり、加入経験がない人でも「認めるべき」は47.8%となりました。労働組合への加入経験がない人でも、消防職員の労働組合を認めるべきだと考えている人は半数近くを占めているようです。

では、消防職員に「労働組合を結成する権利」を認めるべきだと思う理由、認めるべきではないと思う理由とは、それぞれどのようなものなのでしょうか。

認めるべきと回答した人(519名)に理由を聞いたところ、「職員が働きやすい職場環境の構築」が最も多く78.2%、次いで、「消防サービスの質の向上」が57.6%、「職員の倫理観・責任感・意欲の向上」が41.4%となりました。消防職員が働きやすい職場環境を作るために労働組合の結成を認めるべきだと考えている人が多いようです。
男女別にみると、「職員が働きやすい職場環境の構築」は女性82.6%、男性73.5%と、女性のほうが高くなりました。
世代別にみると、60代では、「職員が働きやすい職場環境の構築」が他の世代より高く85.1%となり、「日本国憲法で保障された権利」も52.5%で他の世代より高くなりました。労働組合をつくることは憲法で保障されているのだから、消防職員にも認められるべきだと考える60代は多いようです。
一方、認めるべきではないと回答した人は少数(58名)でしたが、その理由を聞いたところ、「組合活動で本来業務に支障を来す」が最も多く46.6%、次いで、「指揮命令や部隊内信頼関係への悪影響」が44.8%、「消防サービスの質の低下」が37.9%と続きました。消防職員が労働組合を結成することで、本来の業務に支障が出ることを心配し、反対した人が多いようです。
また、どちらともいえないと回答した人(423名)にも理由を聞いたところ、「権利としては認めたほうがいいと思うものの、災害時の活動に支障が出たら困る」といった思いから、認めるべきとも認めるべきではないともいえない、という人が多い様子が窺えました。


【調査概要】
調査タイトル:「消防職員の労働組合を結成する権利」に関する意識調査
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする20歳以上の男女(公務員を除く)
調査期間:2017年2月1日~2月6日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル
実施機関:ネットエイジア株式会社

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