生物多様性に関する調査(経団連企業会員、JBBP企業会員対象) 

2017年02月20日
日本経済団体連合会(経団連)は、生物多様性に関するアンケート<2016年度調査結果>を発表。

【調査概要】
・調査目的:
 – 「愛知目標」の達成に向けて、生物多様性の主流化を推進すべく、企業の認識や取組み状況等を把握
 – 企業における取組みを充実化すべく、先進的な活動事例を共有
・調査対象:
 (1) 経団連企業会員(約1,300社<経団連自然保護協議会会員含む>)
 (2) 生物多様性民間参画パートナーシップ(JBBP)企業会員(約400社)
 ※ 2011年度から2015年度まで(2)のみを対象に実施してきた調査について、2016年度から、(1)も対象に加えるかたちで調査内容を改編・充実
・調査期間:2016年10月~12月
・有効回答数、回答率:238社、17% (うち、JBBP企業会員152社、38%)

<参考>回答企業に関する基礎情報
・回答企業のうち、製造業は約6割(144社)、非製造業は約4割(94社)
・大半の回答企業が、従業員1,000人以上、資本金3億円以上

【調査結果のポイント】

1.「生物多様性」や「愛知目標」に対する認知度や、関連する概念の経営理念・方針等への組み込みについては、これまでのJBBP企業会員対象の調査結果と同様、全般的に高い水準にある。とりわけ、経営層において、「生物多様性」という言葉の認知度は9割超、「愛知目標」の認知度は7割超である。経営層のリーダーシップによって、生物多様性の主流化が進められていると推察できる。〔問1、2、3〕

2.過半数を超える企業が、生物多様性に関する宣言や行動指針・ガイドライン等を作成し、事業活動への組み込みや関連技術開発等を行っている。経営理念等を具体的な目標設定や行動に繋げる取組みも進んでいる。〔問4、7、8、9、13、15〕

3.約8割の企業が生物多様性に関する情報公開を実施している。情報公開は、環境会計や資金支援等の「経済的アプローチ」や「資源動員(資金投下)」に取組む理由になっている。非財務情報に対する投資家の関心の高まりなどが一因と考えられる。〔問5、10〕

4.ISO14001は、2015年改定により、生物多様性に関する配慮義務が盛り込まれた。
環境マネジメントシステムとして、約7割の企業がISO14001(2004年版)を、3割を超える企業がISO14001(2015年版)を活用している。今後さらに、2004年版から2015年版への移行が進むと考えられ、生物多様性主流化の後押しになると期待される。〔問11、12〕

5.生物多様性の取組みに関する定量化や定量目標設定の難しさについては、これまでも指摘されてきており、今回の調査で改めて確認された。そのような中、8割を超える企業が定量的ないし定性的に事業との関係を把握している。必ずしも定量化にこだわることなく、柔軟に目標設定を行い、進捗管理を行う努力を様々な形で実践している。まずは、定性的な把握に努めることも重要である。〔問6、7、8、9、14〕

6.生物多様性の主流化を進める上での課題としては、「事業の利益に結びつきにくい」、「本業との関連性が低い」ことを指摘する企業が多かった。生物多様性との関係性・関わり方は、業種や企業毎に異なることから、企業価値全体の向上を見据えた長期的視点や、多様なアプローチが必要である。〔問14〕

7.今回、450を超える具体的な活動事例が寄せられた(付属資料1「生物多様性に関する活動事例集」参照)。「経団連生物多様性宣言 行動指針」で掲げた多様な取組みを各社が実践している状況が確認できた。2020年の「愛知目標」最終年を3年後に控え、民間部門における取組みを充実・強化していく必要がある。各企業においては、他社の事例を参考にして、生物多様性に関する活動の着手・充実に繋げていくことを期待したい。〔問15、16〕

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本経済団体連合会]
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