理美容サービスの利用に関する実態調査(ケアマネジャー対象) 

2016年12月20日
エス・エム・エスは、ケアマネジャー向けコミュニティサイト「ケアマネドットコム」にて、「理美容サービスの利用に関する実態調査」を実施し、ケアマネジャー(以下「ケアマネ」)652名*より回答をいただきました。

【調査の背景】

 理美容サービスは介護保険外サービスのひとつで、理容師、美容師などが要介護者の自宅や介護施設を訪問し、洗髪やヘアーカット、ひげ剃りなどを提供するものです。後期高齢者(75歳以上)が急増する2025年へ向け、地域包括ケアシステムの構築が推進されていますが、介護保険外サービスは生活支援などを補うものとして注目されており、2016年3月には経済産業省、厚生労働省、農林水産省が連名でサービスの創出・促進のために「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」を策定しています。
 本調査は、居宅介護支援事業所および介護施設に勤務するケアマネに対し、居宅介護利用者と介護施設利用者の理美容サービスの利用実態について調査したものです。
 公的介護保険外サービスは一般的に、買い物代行や通院の付き添いなどがよく利用されているとイメージしがちですが、今回の調査により、ヘアーカットや顔そりといった清潔保持を目的とした理美容サービスも、要介護者の半数以上に利用されていることがわかりました。これらのことから、衣食住にかかわるものだけでなく、QOL*維持のための保険外サービスのニーズがあることがうかがえます。

*回答内訳:居宅介護支援事業所勤務ケアマネ(以下「居宅ケアマネ」)450、介護施設勤務ケアマネ(以下「施設ケアマネ」)121、その他81
*QOL(Quality Of Life):生活の質。人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送っているか、ということを尺度としてとらえる概念

【調査サマリー】

・居宅ケアマネの7割以上、施設ケアマネの9割以上が、担当している利用者が理美容サービスを利用したことがあると回答。介護施設利用者のサービス利用実績が高い傾向。

・もっとも利用頻度が高いサービスは、ヘアーカット、次いで顔そり、シャンプー。エステやスパといった美容要素が多いサービスよりも、基本的なサービスがよく利用されている。

・利用者のサービス満足度は総じて高く、居宅ケアマネは9割、施設ケアマネも8割弱が「満足していた」と回答。居宅のほうが施設に比べ利用頻度が少ないが、「非常に満足していた」の割合が施設より約1割多い。

・サービス利用にかける費用は居宅に比べ施設のほうが低い。

・性別では男性に比べると女性のニーズが高く、居宅ケアマネの5割以上が「女性のニーズを強く感じる」と回答。

・理美容サービスのニーズについて、「ある」と回答したケアマネが居宅では8割弱、施設では9割弱と非常に高い。

・居宅ケアマネの5割が、サービス利用後の利用者に変化が「あった」と回答。具体的には「表情が明るくなった」「身だしなみを気にするようになった」など。

・3ヶ月に1回以上の利用は、居宅では約7割、施設では約8割。施設のほうが利用頻度が高い。

・利用実績がある居宅介護利用者のうち、認知症の人の割合は6割を超えている。


【理美容サービスの利用に関する実態調査(抜粋)】

調査結果1. 理美容サービスを利用したことがある利用者は居宅7割、施設9割と非常に多い
Q. あなたが担当している利用者は、訪問理美容サービスを1回以上利用したことがありますか?
◆考察
居宅ケアマネ、施設ケアマネともに「ある」との回答が多かった。特に施設ケアマネの回答は9割を超え、非常に多くの介護施設で理美容サービスが利用されていることがわかった。

調査結果2. もっとも利用頻度が高いサービスはヘアーカット、次いで顔そり、シャンプーの順
Q. 利用者が利用したことがあるサービス内容をすべてお選びください。(複数選択可)
◆考察
「ヘアーカット」がもっとも多く約38%、次いで「顔そり」が16%、「シャンプー」が約15%だった。従来からある基本的なサービスほど頻繁に利用されており、美容要素が強いネイルケアやヘッドスパ、ヘアメイクなどはあまり利用されていないことがわかった。

調査結果3. 利用頻度は居宅より施設のほうが多い
Q. 利用者が訪問理美容サービスを利用する頻度は次のうちどのくらいですか?
◆考察
3ヶ月に1回以上の利用は、居宅では約65%、施設では約80%と、施設での利用頻度が高いことがわかった。

調査結果4. サービス満足度は居宅、施設ともに総じて高い傾向
Q. 利用者の、サービス利用時の満足度をわかる範囲で教えてください。
◆考察
利用者のサービス満足度は総じて高く、居宅は90%、施設も78%が「満足」と回答。
「非常に満足」の割合は利用頻度が施設に比べ少ない居宅のほうが約1割多かった。

調査結果5. 1回あたりのサービス利用にかける費用は施設より居宅のほうが割高の傾向
Q. 利用者が1回あたりの訪問理美容サービスにかける費用は次のうちどのくらいですか?
◆考察
居宅介護利用者は3千円以下が約56%、3千円以上が約37%、介護施設利用者は3千円以下が約82%、3千円以上が約15%と、居宅に比べ施設のほうがかける費用は低いという結果になった。

調査結果6. 居宅は女性ニーズが多い傾向
Q. 訪問理美容サービスに対するニーズの男女比についてどう感じますか?
◆考察
居宅ケアマネは5割以上が「女性のニーズと強く感じる」と回答。一方で「男女比に差は感じない」も4割程度。

調査結果7. 理美容サービスのニーズが「ある」と回答したケアマネは居宅7割、施設8割超
Q. 訪問理美容サービスのニーズはどのくらいあると感じますか?
◆考察
居宅、施設ともにニーズが「ある」と回答したケアマネは非常に多く、特に介護度が高い利用者が入所している介護施設のニーズが強い傾向がうかがえる。

調査結果8. 混合介護問題やサービス提供者の数・質の課題も
 自由意見では、公的保険サービスと保険外サービスの併用や、サービス提供事業者の要介護者への理解を深めてほしい、といった意見など、様々な課題が挙げられた。

(個別回答抜粋)

・髪染めのニーズの時に、訪問介護のヘルパーと併用して利用できるようになればいいと思っているが、制度上実現は難しい。
・技術もそうだが、介護が必要な人に対する対応や言葉遣い・気遣いなどができる方がいい。
・実際、利用したいという利用者がいたが、私の地区はどんどん訪問理美容が減ってきており、時間の調整がつかなかった。そのため、利用実績がゼロとなっている。サービスを止めた理美容院の方に聞いたところ、在宅の利用者向けは特に手間が多く(駐車場の場所や移動時間の調整)、行くとしても施設等がせいぜいと言われた。
・いくつになっても、パーマをかけたり、髪を染めたりして、美しくいることが大切だと思う。
・寝たきりなどの方以外は、理美容に「外出」することにも意味があると感じる。
・(サービス提供事業者が)ヘルパー資格を持たれていると非常に安心。
・座位が取りにくい方や移乗が大変で理美容の利用が無かった方にサービス提供することで、生活に張りが出てとても効果がある。
・交通費やカット代金を明確に表示しているところが助かる。自宅でカットするため、床への養生をしっかりとしてくれて、あとの掃除までしてくださったところが評判がよい。


【調査概要】
調査対象:「ケアマネドットコム」に会員登録をしているケアマネジャー
調査期間:2016年11月22日~11月30日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:ケアマネジャー652名

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