2018 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2017 年 2 月調査) 

2017年02月23日
ディスコは、全国の主要企業18,058社を対象に、2018年卒者の採用方針について調査を実施しました。(調査時期:2017年1月30日~2月7日、回答社数:1,385社)。

【主な調査結果】

1.2018年3月卒業予定者の採用見込み
○「増加」29.3%、「減少」7.9%。7年連続で「増加」が「減少」を上回る結果になりました。

2.採用活動のスタンス
○「人数の確保より学生の質を優先」80.0%。一方、「人数の確保優先」が初めて2割台に。

3.採用活動の開始予定時期
○自社セミナー開始は3月上旬~中旬がピーク。エントリーシートの受付は半数が「3月上旬」。
○面接開始のピークは「4月」と「6月上旬」に分かれ、内定出しの開始は「6月上旬」に集中。

4.2018年卒採用のテーマと採用活動の方向性
○一番のテーマは「母集団の拡大」で、前年よりさらに増加。「採用重点層への訴求」が2位。

5.インターンシップ実施状況
○今年度実施企業は58.5%。前年度より8.2ポイント増加で、実施企業の満足度は低下しました。

【調査結果】

1.2018 年 3 月卒業予定者の採用見込み

2018 年 3 月卒業予定者の採用見込みについて尋ねたところ、前の年(今春入社予定者)よりも採用を「増加」すると回答した企業が 29.3%であるのに対し、「減少」は 7.9%。「増加」が「減少」を 20 ポイント以上、上回っている。企業の採用見込みは、リーマン・ショック後の 2011 年卒採用を底に増加傾向が続いているが、来春に関しても引き続き堅調ぶりが表れている。
従業員規模別に見ると、いずれの規模も「増加」が「減少」を大幅に上回るが、従業員 1000 人以上の大手企業において 3 割超(31.1%)が増加と回答。来期についても大手企業に牽引されるかたちで採用数が増えそうだ。業界別では、いずれも前年より「増加」が「減少」を上回っているが、前年同様「IT」「サービス業」で「増加」と回答した企業の割合が高い。
採用見込みを属性(学歴)別に見ても、すべての属性で増加傾向が見られ(グラフは次ページ)、中でも大卒理系において増加を予定する企業が多いのが目立つ。

2.採用活動のスタンス

2018 年卒採用のスタンスについては、「採用予定人数の確保よりも、学生の質を優先」という企業が 80.0%と依然大勢を占める。しかし、「学生の質よりも、採用予定人数の確保を優先」させる企業が 20.0%と、前年調査(18.9%)より 1.1 ポイント増え、1997 年に当項目を調査開始以降、初めて 2 割台をマークした。
売り手市場になると「質優先」の数字は下がる傾向にあり、今回で 7 年連続の低下。人材獲得競争の過熱ぶりが表れている。

3.採用活動の開始予定時期

2017 年卒と同じ日程ルール(3 月採用広報解禁、6 月選考解禁)で行われる 2018 年卒採用だが、企業の採用活動時期に変化は見られるだろうか。
自社セミナー・説明会の開始は、3 月上旬から中旬に集中しており、特に 3 月中旬(27.3%)は前年より 6.1 ポイント増加。前年 3 月下旬以降に開始していた企業が、早めるものと見られる。
エントリーシート受付開始は、約半数(49.3%)の企業が 3 月上旬と回答。前年より大幅に増加し(14 ポイント増)、採用広報解禁直後の 3 月上旬への集中度合いがいっそう高まる見込みだ。
なお、エントリーシートの結果通知開始は 3 月下旬が最も多く(17.0%)、3 月末までに結果通知を開始する企業は過半数に上る(51.9%)。

次に面接開始と内定出し開始の予定時期を確認したい。
面接の開始は、選考解禁直後の 6月上旬(13.7%)が最も多いものの、4月までに約 7割(67.8%)、6 月の選考解禁前には 8 割以上(81.5%)が面接開始を予定。前年以上に動きが早まる見込みだ。
内定出しの開始時期は、6 月上旬に集中(19.9%)。しかし 6 月より前に内定出しを開始する企業は 6 割を超え(61.4%)、前年(57.5%)より動きが早まりそうだ。従業員規模別に見ると、規模が大きいほど、6 月上旬の集中度合いが高く、1000 人以上の大手企業では 2 割強(25.0%)に上る。

4.2018 年卒採用のテーマと採用活動の方向性

2018 年卒採用の一番のテーマを尋ねたところ、最も多くの企業が選んだのは「母集団の拡大」で、27.9%と前年調査(24.9%)から 3 ポイント増えた。採用数の増加に伴い、母集団形成を命題とする企業がますます増えていることがわかる。一方で、前年 4位だった「採用重点層への訴求」が 17.7%で 2 位に上がり、対象となる学生にしっかりとアピールしたいとの考えも強まっている。
採用活動の方向性については、「学内セミナー」で 6 割強(64.8%)、「自社セミナー」で 5 割強(54.9%)の企業が前年より「増やす」など、引き続き積極的に学生との接点を増やす意向が見て取れる。また、「採用活動地域」「採用対象校」も「拡大する」が「縮小する」を大きく上回る。

5.自社の採用活動の見通し(難易度)

自社の 2018 年卒の採用活動をどのように予想しているのか、その見通しを尋ねた。
「非常に厳しくなる」(35.7%)と「やや厳しくなる」(46.5%)を合わせて 82.2%が「厳しい」との見方を示した。前年調査に比べ「非常に厳しい」の割合は減ったものの、「やや厳しい」が大幅に増えたため、厳しいと見る企業の割合は増加した。従業員規模での大きな差は見られないが、大手企業において「厳しい」の合計が最も高い(84.0%)。冒頭で確認したように、大手を中心に採用数は 7 年連続で増加する見込みであり、採用数確保に向け危機感を抱く企業が多いと見られる。

6.3 月より前に実施した企業広報

採用情報を伴わない企業広報について、プレ期(3 月より前)の実施状況を調査した。「企業広報はしていない」という回答は 1 割(10.2%)にとどまり、9 割の企業は何らかの広報を実施。最も多いのは「大学主催の業界研究セミナー」で 56.9%と過半数。次いで「キャリアセンター訪問」48.1%が続き、大学を通しての働きかけが多いが、「就職情報会社主催のイベントに参加」(46.8%)、「就職情報サイトでの企業情報公開」(45.6%)なども 4 割を超える。なお、企業規模が大きいほど実施率は上昇し、より多くの手法を組み合わせる傾向が強い。

7.学生にアピールしたいこと

企業は自社のどのような点を学生にアピールしようとしているのだろうか。あてはまるものを5 つまで選んでもらったところ、最も多かったのは「若手が活躍できる」(46.8%)で、「職場の雰囲気が良い」(43.0%)、「安定している」(42.3%)と続いた。
この結果を、学生に尋ねた「企業選びで重視すること」と比較してみたところ、「若手が活躍できる」は、学生側は僅か 5.7%で、大きく乖離。逆に、学生の方が高く、企業が低い項目は「将来性がある」や「給与・待遇が良い」など。学生が求めるものと、企業側が訴求したい点にズレが見られた。

8.インターンシップ実施状況

今年度(2015 年 4 月~2016 年 3 月)にインターンシップを「実施した」と回答した企業は、約 6割(58.5%)で、前年実績(50.3%)を 8.2 ポイント上回る。大手企業では実施率が 8 割近く(76.9%)に上っている。
実施時期は、夏季(8 月、9 月)は前年との変動が少ない一方、「2 月」が 59.5%から 67.6%へと 8.1 ポイント増加。「12 月」も 21.9%から 32.2%と 10 ポイント以上増加するなど、冬季の増加が目立つ。
インターンシップを実施した満足度については、「質・量ともに満足」が 36.4%で最も多いものの、前年(42.4%)より 6 ポイント減少。「量」に不満を感じる企業が増加しており、インターンシップ実施企業の増加に伴い、参加学生の動員に苦戦するケースもあったようだ。

インターンシップ実施の目的について尋ねたところ、「採用活動のための母集団形成」が最も多く、7 割強に上る(72.6%)。続く「企業 PR、イメージ向上」(63.7%)が、前年より大幅に増加するなど(19.5 ポイント増)、多くの企業が早期広報の一環として捉えていることが分かる。
インターンシップ参加学生に対して何らかの優遇策を講じるという企業は 6 割強(62.9%)。具体的な優遇策としては、「早期選考」が最も多く(39.4%)、前年より 6.8 ポイント増加した。次いで「限定セミナーの開催」(35.5%)など。インターンシップ参加者を母集団につなげるための施策を積極的に実施している様子がうかがえる。

来年度(2017 年 4 月~2018 年 3 月)のインターンシップの予定を尋ねたところ、「実施する」と回答した企業は半数を超え(52.0%)、前年同期調査(43.2%)を大きく上回った。実施予定時期を見ると、7 月~9 月が最も多く 6 割強(65.8%)。冬季(1 月~3 月)も、前年調査(47.2%)から大幅に増加し 6 割に迫る(59.4%)。いずれの時期も前年調査よりも増加しており、インターンシップは、今年度以上に加熱することが予想される。
現在、インターンシップのあり方について、多方面で見直しが進められているが、採用に結び付けることへの考えを尋ねたところ、「企業規模にかかわらず結びつけてよい」が約半数(49.8%)で、「中小企業限定で結びつけてよい」(10.8%)と合わせると 6 割強(60.6%)が肯定的だった。

9.2017 年 3 月卒業予定者の選考終了状況

最後に、2017 年 3 月卒者(現 4 年生)の採用選考状況を確認したい。4 月入社まで約 2 カ月という時点で、採用活動を「終了した」と回答した企業は全体の 83.2%。前年同期調査(82.3%)をやや上回る。従業員規模別では、規模が大きくなるほど終了率は上がり、1000 人以上の大手企業では 9 割近い(87.4%)。
採用予定数に対する内定者の割合、いわゆる「充足率」の平均は 83.7%。前回調査(2016 年10 月調査、79.9%)から 4 カ月間の伸びはわずか 3.8 ポイントにとどまり、10 月以降は充足率を高めるよりも、次の 2018 年卒者の採用活動準備へと切り替えるケースが多かったのではないかと推察される。調査時点で採用選考を終了している企業の充足率の平均は 87.4%だった。
なお、充足率についても企業規模が大きいほど高く、大手企業は 89.9%と 9 割近いが、中小企業では 78.3%と、10 ポイント以上の差が付いている。業界別では「金融」が 93.6%で最も高く、最も低いのは「サービス業」で 80.9%だった。


【調査概要】
調査対象:全国の主要企業 18,058社
調査時期:2017年1月30日 ~ 2月7日
調査方法:インターネット調査法
回答社数:1,385社
調査機関:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

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